43 ちょっとお休み 2
その日は、昼間から空が曇ってどんよりした天気だった。それは夜になっても変わらず、月の光を厚い雲が隠してしまっており、空気もじめじめとしていた。
周囲は真っ暗で何も見えない。ランプの光がチラチラと部屋を照らすが非常に心もとない。
そういう日は、早く寝てしまうに限ると、いつもより早くベッドに入った。
数時間たったぐらいだろうか、私たちが居る3人部屋の一つのベッドが盛り上がり誰かがベッドから立ちあがった。
誰だろう。私は、目を瞑ったままその行方を追った。その人物はゆっくりと出入り口に近づいて行ったと思うと、音もなくドアを開け外に出て行った。
最初はだれかがトイレに行ったのかと思ったが、その人物の気配はトイレとは反対方向に進んで行く。
最初はほんの好奇心だった。私はその人物の後をつけて行った。その人物は顔に薄気味悪い笑顔を浮かべながら長い廊下を歩いていく、時折立ち止まり「うふふ……」と不気味な笑い声を出している。
もう深夜ということもありランプの灯は落とされており、周りはひときわ暗く、その人物の輪郭がようやく見える程度だ。だが笑っているのは分かった、いや、分かってしまったというべきか。
前から光がやってくる。おそらく屋敷内にいる使用人がトイレにでも起きてきたのだろう。こっちにやってくる。すると前にいた人物はすぐ壁際による。それでは見つかってしまうのではないかと思ったが、使用人はすぐ横を通り過ぎてゆく。まるで何事もなかったように。私はすぐ近くにあった曲がり角に身をひそめ使用人をやり過ごすと、すぐにさっきの人物の尾行を開始した。
その人物は目的のものがあるのだろう、特に迷った様子もなくゆっくり、ゆ~っくりと進んで行く。
私はつばを飲み込んだ、飲み込む音すらここでは大きく聞こえる。ばれていないだろうか? そんな疑問が私の心に鎌首をもたげる。
だが、その人物はこちらに気付いた様子もなく廊下を進んで行く。
やがて、一つの部屋の前で立ち止まった。
その部屋は、確か、この屋敷の主人の子供の部屋だ。そこで何をしようというのか。いや、もう分かっていることだ。疑う余地はない。
その人物は、扉の前でにまぁと口を開いた。
「うふふ、待っていてね……」
私は飛び出した。これ以上見ているわけにはいかない。この人物の目的を達成させてはならない。そう言った思いからだ。
「なっ!」
その人物がこちらに気付いた。だがすでに遅い。すべてお見通しだ。
「で? 何をしようとしていたティーア」
「痛い、痛い、ご主人様痛いです!」
「質問に答えるように、」
「わ、私はただこの屋敷の防犯をですね……痛たた、痛い、もっとぉ……」
「で?」
「……メリノ君がとても美味しそうだったので、筆おろしをですね――いだだだ、頭が割れますぅ……気持ちいんですけどもっと優しくぅ……」
「筆おろしって、まだ11歳だろうが、本人の同意があっても犯罪だぞ」
「痛い痛い、あ、そこぉ、いぃ、……でもぉ、あんな美味しそうな子を放って……いだだだ……」
「痛いようにやっているからだ」
「11歳でもできるんですよ。ほら私の種族特性で精通の来ていない子でもできるんです、いたた……ああ、いぃ」
「ほら帰るぞ、手を煩わせるな」
そのまま首根っこをつかんで自分たちに割り当てられている部屋まで引っ張って行った。
「あぁ、私の純粋な少年が……」
「お前のじゃねぇ、て言うかお前、前に宿屋でソレイユにも同じことしようとしたよな」
「あ、あれはつい魔がさして……ぐぇ」
「いいから来い!」
月の光さえない夜も更けた時刻の出来事である。
◇◇◇
ぴょこぴょこ
「よそ見しないで」
「は、はい」
ふりふり
「だからよそ見しないでください。ちゃんと相手の動きを見て」
「は、はい」
わっさわっさ
「…………」
メリノ君との訓練もひと段落ついて、休憩中
「どうしたんですかさっきは、よそ見なんかして」
「あ、あの……」
「ん? なんです?」
「み、みみ……」
「耳? 耳がどうしました?」
メリノ君の視線が私の頭の上……耳のあるところを見ている。そう言えばさっきの訓練中にも、見ていたな。頭と尻を……尻?
「耳……触ってみたいです……」
「……はあ……構いませんが」
……なんだ、興味があっただけか。そう言えばメリノ君の周りって獣人の亜人種を見ないもんな。珍しいのだろう。何事にも興味のあるお年頃というやつか
屈んで、頭の上に手が届くようにしてやる。
「さ、触ってもいいですか?」
「いいですよ」
別に触られたからといって減るものでもない。胸や尻を触らせろとかだったら……ちょっと考えたかもしれないが……11歳という年齢を考慮してまあギリオーケーといったところか……
さわさわ
「んっ」
かなりくすぐったいな。まあ、耳を触られているんだしこんな感じか。気を抜くと「ヒョヒョヒョヒョヒョ」とか声出そう
さわさわさわさわと、3分ほど触って満足したのか耳から手を離した。
「あ、ありがとう」
「いえ、どういたしまして」
「…………」
まだ何か言いたそうにしているな。視線が股間……尻の方に向かっている。シッポも触りたいのだろうか。
「……えっと、シッポも触ってみます?」
「い、いいんですか!」
メリノ君の表情がぱぁと明るくなる。そんなに触りたかったのか。このスケベめ
「し、失礼します……」
メリノ君がギュッとシッポを抱きしめる。
「んっ」
耳とはまた違う感じだ。人間だった時にはない部分だもんな。こんな――
わさわさわさ
「ん……あっ……」
すべすべすべ さわさわさわ
「んっ……あっ……んん――ハァハァ……あ、ん、んぅぅ」
さわさわもさもさ くりゅくりゅ
「ん、んんぅぅぅあぁ――――ハァ、んあ、ちょ、ちょっとまぁってぇ……」
「ご主人様が喘いでいるのはここかぁ――――!!」
「うぉ!」
「うひゃぁ!」
いつの間にかティーアがすぐ近くに来ていた。ハァハァ言いながらこっちをガン見している。今回ばかりは助かった…………シッポって狐人族にとって性感帯なのか? めっちゃ敏感だったんだが……危うくショタボーイにイかされるところだったぜ。おぉ、ヤバイヤバイ
「ご主人様ぁ、私! 私にも触らせてください!」
「嫌だよ!」
「ちょっと! ちょっとだけ!」
「嫌だっつってんだろ!」
「え、あ、あの、触られるの嫌でした……?」
こっちが申し訳ないくらいめっちゃオロオロしながら聞いてくる。
「いえ、メリノ様はいいんですよ。ただ、敏感なところなんで今後はあまり触らないでくださいね。」
「う、うん、分かりました」
「いい子ですね」
なでなで
「ちょっと! 先っちょだけ!」
「お前はしつこいよ!」
それから、たまにメリノ君が耳を触ってくるようになった。
ホラーもどきandプチラッキースケベ回みたいなものです。うまく書けなかったけど……