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閑話 勇者ヤマモト 2

 ふっと目の前が明るくなると――


 吾輩、豪華な大広間にいたでござる。


 目の前には美少女が立っているでござる。質素な修道服のようなものを着て手を前に組みこちらを見ているでござる。この子が吾輩を召喚したのでござろう。というか、可愛いでござるな。これは第一ヒロイン決定でござろう。


 さらに辺りを見回すと、その奥には何人かの槍と鎧で武装した兵士と思われる方々。そしてさらに奥には豪華な椅子があり、そこに座っているのは威厳たっぷりなおじいちゃん。その椅子の傍らにはこれまた皺が目立ち始めたキツそうな女性が立っているのでござる。たぶん国王様とか王妃様でござるな。


「お待ちしておりました。勇者様」


 目の前の第一ヒロインが話しかけてきたでござる。ここはかっこよく返すところでござろう。


「は――

「おお、成功したのか聖女よ」


 おっと、国王様が横から割り込んできたでござるよ。せっかくのカッコつけのシーンが台無しでござる。しかし、相手は国王でござるからな。下手なことを言えば首が飛ぶでござるよ。がまんがまん。


「はい国王様。この通り成功してございます。」

「よくやった。では勇者殿をこちらへ」

「はい」


 目の前の第一ヒロイン、もとい聖女様が国王様の前に行くようにと、耳元に小声でささやきかけてきたでござる。おぅふ、耳は弱いでござるよ。


 聖女様の後に続いて国王の前に行くと、聖女様が屈んで片膝を地面につけ頭を下げた。たぶん、王様に謁見なんかをするときのマナーでござろう。吾輩も同じようにするでござる。


「勇者よ、よくぞ参ってくれた。といってもそちらは混乱しているだろう。まずは説明からせねばならんな。」


 そう言って自己紹介の後、色々と説明してくれる。そう言えば吾輩、勇者として呼ばれたことは知っているのでござるが、それ以外は何にも知らないでござるからな。


 話はやたらと壮大で長かったでござるが、端的に言えば、魔物の活動が活発化している。また、教会からの神託もあり、おそらく魔王復活の前兆もしくは復活している。そのため古くからの教えに従い異界より魔王を倒すべく勇者を召喚した。というものでござった。

 ありきたりでござるな。

 ただ、考えようによってはひどい話でござる。一般人をいきなり召喚して魔王と戦わせるわけでござるからな。まあ、吾輩はそんな心配はないのでござるが。


「ところで勇者殿、その装備は…………いや、やる気があるのは感じられるのだが、文献などでは勇者殿を召喚した際は特に何も装備しておらず、こちらで用意する必要があると書いてあったものでな」

「これの事でございまするか。吾輩は勇者として魔王を倒すべくこの世界に参ったのでございまする。そう、これは吾輩の意志の表れでござる!」


 決まったでござる。今までの勇者は着の身着のままで放り出されていたのでござろう。まさに布の服状態。だが吾輩は神様から頂いたチートがあるのでござる。見よこのチートを



聖剣:エクスカリバー

聖盾:プライウェン

聖鎧:ウィガール



 こんな具合でござる。


「そ、そうか今代の勇者は頼もしいな。では明日、共に旅立つ仲間を紹介しよう。今日の所は部屋をあてがうのでゆっくり休むといい。」

「はは、分かりましたでござる」


 ◇◇◇


 一晩、豪華な部屋でゆっくり休んだ後、昨日と同じ部屋に通される。

 玉座に座っているのはもちろん昨日も見た王様でありその傍らには、同じく王妃様が立っている。


 そしてその両側の壁際には数名の完全武装の兵士たちとは少し毛色の違う数名の男たち


 おや? 今日は仲間を紹介すると聞いていたのでござるが、ヒロインたちはどこでござろう? 後から部屋に入ってくるのでござるかな? 昨日の聖女様も姿が見えないようでござるが


「勇者よ、昨晩はゆっくりと休めたかな?」

「はっ、あのような豪華な部屋をあてがってもらい感謝するでござる」

「そうか。では早速で悪いが勇者殿には魔王討伐に旅立ってもらいたい。むろん腕利きの仲間もそろえている。」

「感謝いたしまするでござる。……あの、それでその仲間は……」

「ああ、そうだな紹介していこう。ではまず盾役(タンク)としてガウリール! および攻撃役(アタッカー)としてゲイル!」

「「はっ!」」


 国王の紹介と共に、国王の横に立っていた鎧の上からでもわかる筋肉ムキムキの体で髭の生えたおっさん2人が返事をし一歩前に進み出た。


「え?」


「そして、我が国の筆頭魔法使いであるオルフ!」

「はい!」


 同じく、国王の横に立っていたひょろっとし、ローブをまとった初老の男性が返事をし前に進み出る。


「は?」


「教会の中で優秀な回復魔法使いであり回復役(ヒーラー)であるヒャロン!」

「はい」


 20代半ばと思われるメガネをかけた几帳面そうな男性だ。特に装飾性のない質素な神官服に身を包んでいる。


「以上が君と共に魔王を倒す仲間となる。諸君、勇者殿を頼んだぞ! 勇者殿、見事魔王を討ち果たしてくれることを期待する!」

「「「「はっ!」」」」

「…………」

「ん、どうかしたか勇者よ?」

「ヒロインは?」

「ヒ、ヒロ……なんじゃそれは?」

「…………さ、詐欺でござるよ――――!!」


 勇者の声が謁見の間に響き渡った。



 勇者ヤマモトの旅の始まりである。


ホントにこいつどうやって主人公と絡ませよう……

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