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37 報告は簡潔に

 コンコン!


「失礼しますギルドマスター」

「やあ、よく来たね。ノワールさんに…………おや? これはまた美しいお嬢さんだ。私はここでギルドマスターをしているファラベラというものです。よろしくお嬢さん(キラーン☆)」

「はぁ? 私に色目を使っていいのはご主人様と可愛い少年少女だけよこのク――ッッ! よろしくお願いしますぅ」


 ややこしくなりそうなので、足を踏んで黙らせた。


「あー、報告をしたいんだが良いか?」

「今こちらの御嬢さんのお相手をしなければならないのでね、報告は後で――」

「ギルドマスター……」

「も、もちろんだよ。座って座って。」


 ギルド職員がめっちゃ睨んでる。ギルドマスターってこんな扱いなのかな?


 うながされて座った――といっても4人がけのソファーが対面に2つあるだけなので、ソレイユちゃんとティーアは立ったままだ。

 それから、例の遺跡の内部に潜ったことと、お宝が残っていたことを伝える。なお、学者先生は今ここにはいない。長期間あそこで調べるための準備と、知り合いの他の学者に声をかけに行っている。


「ほう、地下に遺跡の続きがね」

「ああ、転移魔法陣以外の出入り口も確認してきた。学者先生は次の護衛も俺らに依頼したいといっているんだが、遺跡やお宝の価値なんて俺らには分からないからな。ギルドから人を出してもらいたいんだが」

「分かったよ。じゃあ、遺跡の財宝の鑑定に人を出すように言っておこう。次はいつ行くんだい?」

「学者先生は、準備ができ次第すぐとか言っていたが、俺らも準備をしなければならないからな、明日か明後日じゃないか?」

「うーん、そこら辺は学者の方とも相談かな」

「あとは……お宝とかは残されていたが、昔に魔族がすでに入っているらしい」

「なに!? 魔族が? 何のために?」

「それは……ノワールさんから聞いた方がいいかな……」

「……分かった。ノワールさん、なぜ魔族がいたのか知っているのかい?」


 こっちに振ってきた。出された紅茶を優雅に飲もうと思っていたのに……


「……ああそれは、こっち――ティーアを隷属させる目的だったらしいな。」


 そう言ってティーアを指す。今のところ後ろで静かにしているようだ。黙っていれば好みなのに。


「そちらの魅力的な女性を……そう言えばその人も奴隷なのかな?」

「はぁ!? 私を奴隷なんかと一緒に――


 ゴッ!!


 ――な、んでもないですぅ。」

「ティーアがつけているのは従魔の首輪だそうだ。……使い魔のものと同じだと聞いたが……私はよく分からないのだが……」

「従魔の首輪だって!! それは本当かい!?」


 ギルドマスターが身を乗り出してくる。近いよ。離れろよ。


「ああ、なんだそんなに過剰に反応して? どうかしたのか」

「どうかしたも何も、従魔の首輪は自分より格上の魔物なども従えられる魔道具だよ! しかも作成方法はもう失われてしまっている。」

「ほう、すごいものだったんだな。」

「凄いものというか……コホン、で、その従魔の首輪をなぜ彼女が」


 ギルドマスターがようやく座り直した。


「確か、昔、魔族のだれかが彼女を嫁にとか行ったが、本人が拒否したため無理矢理この首輪をつけて従わせようとした…………だったかな。で、そこで動きを封じられていたところに我々がたどり着いたというわけだ。」

「魔族が嫁に……ということは、彼女は人間ではないのかい?」

「ああ、リリス……サキュバスの上位種……だったかな……だそうだ」

「ブフォォォ!!」


 ギルドマスターがいきなり噴き出したぞ、汚いな。


「なんだ? 汚いな」

「け、けほっ、き、汚いとか言っている場合じゃないよ!! 高位の魔族じゃないか!? なぜここに連れてきたんだ!? というかそこにいたのならなぜそのままに――」

「ああ、それなら問題ないぞ、今は私の従魔になっているからな。なんでも儀式の途中で放棄されたらしいので、従魔にするのは簡単だったぞ。契約解除ができないのは想定外だが……」

「はぁ!? ノワールさんの従魔に…………本当かい?」

「本当だよ、まあ、この首輪が破壊されない限りだが」

「破壊はたぶん大丈夫だと思うけど……え? 本当に?」

「おまえ! ご主人様の言葉を疑う「黙ってろ」――はいぃ」


 また何か横から言おうとしてきたので、首輪につながった鎖を少し強めに引っ張ってやった。扱いが難しいのか素直なのか分からんな

 ギルドマスターは何か考え込んだままだ。これでは話が進まんのではないか?


「で? 従魔……というのがわからんのだが、問題があるのだろうか?」

「いや……ちょっと待ってね…………前例がないから規則があるわけではない……ので……使い魔と同じ扱いでいいかな? 使い魔の場合は登録するための書類があるんだけど……」

「そっちがそれでいいんなら、いいんじゃないか?」

「わ、分かったよ……じゃあ手続するので来てもらえるかな」

「なんだ、そんなことも冒険者ギルド(ここ)で出来るのか?」

「まあ、役所や学院でもできるけど冒険者ギルド(ここ)でもできるよ」


 学院というのは、初めて聞いたな。学校があるのか? 


 その後、使い魔の登録用の書類にサインをして、また魔力を登録させられた。一応これで人間社会ではティーアは正式に私の使い魔として認められたようだ。いまだ従魔と使い魔の違いが分かってないんですけど……


「あー、奴隷を持っているなら知っているかもしれないけど、使い魔も奴隷と同じで問題を起こせば主人が罰せられるから気を付けるようにね」

「ああ、分かった」

「そ、それで、えーと…………ノワールさんも遺跡調査の護衛に?」

「いや、私は行かない。後で、分け前のみもらう約束だ。」


 一応、私も発見者の一人なので分け前をもらえることになっている。


「じゃあ、あとは護衛の3人との調整だね。ノワールさんは、……本当は聞きたいことがいっぱいあるんだけど……今日は帰ってもらっていいよ……」

「分かった。それでは」

「ではまた今度」

「おう、じゃあな。お嬢ちゃん」

「お疲れ様っす。姉さん」


 そう言って、ギルドマスターと3人組を残して、私たちは冒険者ギルドを後にした。

 ギルドマスターはちょっと疲れた感じだったな、後、分け前っていつ入ってくるんだろう? 調査を終えた後なら結構後かな?



 その後は毎度おなじみ、女性用下着屋、服屋、靴屋へと行く。


「ご主人様ぁ、これとかどうですか」


 おい、そんなエロい下着持ってくんなよ。心が揺らいじゃうだろ。

 あ、店員さん、こっちの人の下着を適当に。冒険者なんでなるべく動きやすいのを。

 ティーアが多少ふてくされていたが、これから冒険者としてやっていくんだぞ? そもそもそんなエロい下着とかどうすんだよ。やめろよ。誘惑するなよ。キャラ崩れるだろ。


 後、服屋と靴屋にも行った。前と同じように奴隷の首輪と勘違いした店員がいたのと、これは初めて気づいたのだが、背中に蝙蝠のような羽があったらしく、仕立てるのに、ちょっと時間がかかってしまったが、目的のものは買えた。……ちゃんとした服着てもエロい体つきしてんのなこいつ。


 あと首輪から伸びる鎖はいらないだろこれ。そう思って外そうとする。


「それを外すなんてとんでもない」

「何を言っているんだ?」

「いえ、あのご主人様。私としては引っ張ってもらったほうが……」

「却下だ」


 うまく外れないな……


 カチャカチャ……バキン!


 あ、変なところから外れた。まあ、ちゃんと鎖は外れたしいいか。


 後は武器か


 いつもの武器屋に行って、武器を買う。彼女にはスキルに〈鞭技〉があったので、そのまま鞭だ。やっぱり高いな。武器。


「また、綺麗なお嬢さんですな。」

「まあ、そうかもな。で、おじいさん。鞭でおすすめを……予算はこのぐらいなんだが」


 予算を提示すると適当なのを3つほど持ってきてくれた。


「どれがいい?」

「そうですね、やっぱり調教に使うのであれば――」

「待て、調教とはなんだ? 魔物と戦うんだぞ? …………あれ? そう言えばティーアは魔族? だったよな。魔物と戦っても問題ないのか?」

「え? ご主人様が私を調教してくれるんじゃぁ」

「そんな予定はない。それで、魔物と戦うのは問題ないのか?」

「問題ありませんよぉ。ご主人様ぁ。人間だって動物を狩ったりするでしょう」

「なるほど確かに。分かった、問題ないんだな。じゃあ武器はどれがいい」

「……この程度ならどれでも同じですよぉ」

「フフフ、まあ、この値段の武器ですからな。お眼鏡にかなうものはないのかもしれませんな」


 あれー? おじいさんがそれ言っちゃうの。安物ではないし、これでも結構なお値段するんですけど……


「……そうか……おじいさんのおススメは?」

「まあ、そちらの御嬢さんが言われたように、この値段の武器ならどれでもさほど変わりはしませんよ」

「……そうか、ではこれをもらおう」


 まあ、例の遺跡のお金が入ってくるまでは、手持ちのお金でやっていかないといかないからね。

どれでも同じなら別にどれでもいいかと、適当に1つ選ぶ。


「はい、まいど」


 ティーアに防具は必要かと聞いたが、スピードが落ちるので必要ないといったので買っていない。


 武器も買って一通りティーアの装備が整った。これで明日から、もう冒険者として活動できるな。3人パーティーといったところか。……冒険者登録しているのは私だけだが……

 まあ、聞いた話、奴隷や使い魔をパーティーにいれるのは別に珍しいことではないらしいしな。奴隷は肉壁、使い魔はサポートメインらしいが…………このメンバーだとレベル的にティーアがメインになるのか? まあ、レベル上げしないといけないので、ティーアはしばらくバックでサポートメインかな。



「何だい、また奴隷を買ってきたのかい」


 宿屋のおばちゃんにまた見つかった。


「……3人部屋は開いているだろうか……」

「ああ、開いているよ。」


 以前と同じようにまた部屋を変わった。またちょっと宿代が高くなった。


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