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35 封印 2

 ふっふっふ、いつから私が劣勢だと錯覚していた?


「どぅら!」


 一気に拘束をはねのける。その後、剣を突き付けていた、デュロックにも蹴りを入れて吹っ飛ばす。


「なっ!」


 5人が宙を舞った。

 地面に落ちる前に、ソレイユちゃんと学者先生を回収する。少女とお年寄りだからね。3人組は若いんだから耐えろ。

 回収した2人は多少抵抗していたようだがこのくらいなら問題ない。アイテムボックスから縄を取出し簀巻(すま)きにする。

 おっと、3人組が起き上がってこっちに向かってきたよ。どうしよう? 同じように簀巻きにするか?


 ガンッ! キンッ! ガッ!


 3人の攻撃をさばきながら考えるが、この攻撃をかわしながら1人1人簀巻きにしていくとなると結構厳しいな。


「な、何やってるのよ! さっさとやっちゃいなさい!」


 ……悪いな3人とも、あとで治療してやるからな。


 とりあえず、片足をポキポキポキ! と折っていく。単純骨折になるように力加減するところがミソだ。

 折った後は適当に封印の台座から遠ざけるように吹き飛ばす。


「さてと、あとはあなただけだが、全員の魅了を解いてほしいんだが」

「ふん! 誰が! あなたの方こそ、私の方がレベルが高いんだから降参したら?」


 なんというんだろうか、確かにレベルは凄く高かったが、小物臭が半端ない。あなた封印されてるんでしょ? 確か学者先生が魔力封印の魔法陣とか言っていたし、体に巻きついている鎖で身動きもとれないようだし。


「くっ! こうなったら3人の(かたき)だ」


 親指を犬歯でちょっと噛み切る。血が出てくる。


「え!? ちょっと待ちなさいよ! それをどうする気よ! それに3人をやったのはあなたでしょう!?」

「はっはっは! 観念せよ」

「え!? うそ!? ちょっと待って!!」

「ちょっと動くな!」


 がしっ!! と顔をつかんで固定する。動いたら首輪にちゃんと血が付かないだろ。


「ま、待ちなさいよ! あ、い、痛い痛い!!」


 ちょっと強めにつかんでやった。

 ……ん? 顔に赤みがさしているななんでだ? あ、よだれ垂れてる


「い、痛――気持ち、いい、あ、もっと、もっと強く!!」

「は? 何を言ってるんだ?」

「痛い……でも気持ちいい! でも痛い……いい、は、はぁ、はぁ」


 ちょっと、このお姉さんの様子が怪しくなってきた。さっさと首輪に血をつけてしまおう。

 首輪に血の付いた親指を押し付ける。……ソレイユちゃんの時と同じだな。これでいいのか?


 よかったらしい。すぐに首輪が淡く光った。すぐ鑑定する。


 よし! 職業が『ノワールの従魔』になっている。


「よし、じゃあ全員にかけた魅了を解いてもらおうか」

「嫌よ!」

「あ?」

「あ、痛い……気持ち、いい……痛い痛い、あんっ、でも気持ちいい……」


 頭をつかんだままだった手に力を込める。というか首輪の方はどうなっているんだ? ちゃんと命令しなかったから効力が発動しなかったのか?


「さっさと解除しろ!」


 ドスッ! とわき腹を小突いてやる。


「うぐっ!」


 少し体が前かがみになった。体を縛っている鎖のせいでわき腹を手で押さえるということができないのだろう。ただ顔は何故か赤みがさしており恍惚としていた……


 …………こいつマゾか!?


 しばらくすると復活したようだ、


「……わ、わかりましたご主人様ぁ」


 んん? 何かいきなり変なことを言われたな…………後よだれ垂れてるぞ。



「「「いっっだあぁぁ!!」」」

「あ、あれ? なんですかこれ?」

「こりゃ、どうなっとるんじゃ?」


 あ、3人組の悲鳴とソレイユちゃんと学者先生の困惑声が聞こえてくる。


「とりあえず、私が許可したとき以外はスキルの〈魅了〉は禁止だ。いいな!」

「わかりましたぁ。ご主人様ぁ」


 ちゃんと命令したので首輪の効力があるはずだ。

 まずはソレイユちゃんと学者先生の縄を解く、その後3人組のところに行ってハイヒールをかけてやる。それで全員回復したようだ。


「で? どういう事じゃ?」

「何でいきなり足が折れていたんっすか!?」


 全員、魅了中のことは覚えていないようなので、さっき話していたことを教えてやる。


 しかし、このお姉さん、頭の悪いうえに年下好きのマゾとか言う残念美女だったとは……しょんぼりだ。なんというか見た目はすごくいいのに内面を知っちゃうともうエロい目で見れない。くそぅ! 性格さえまともならばストライクなのに!


「魅了されていたとはな」

「サキュバスとかエロいっすね」

「いやまあ、止めようとしたのは分かるんだが……もう少し穏便にできなかったのか?」

「そ、そんな、私がノワール様に……」

「気にするな。あと、そっちは男なんだからそれぐらいがまんしろ。ちゃんと直してやったろう」


 ソレイユちゃんにフォローを入れつつ、3人組には厳しい言葉をかけてやる。ノリーカーだけは変なこと言っていたが……


「あの……ご主人様ぁ。この封印解いてくれたらうれしいなぁーと」


 お姉さんがこっちを伺うように言ってくる。


「こう言っているんだが、どうする?」


 とりあえず、他の人の意見を聞いてみる。


「ワシゃどうでもいいの」

「べつにいいんじゃねぇの」

「特に悪さをしているみたいじゃなかったみたいっすしね」

「というか、お嬢ちゃんが従魔? にしたんだろ?」

「……従魔ってなんだ? ……おい、学者殿」

「あー、なんじゃ、……従魔か? 強力な魔道具を使用しているという以外は、使い魔と同じじゃ、確か。……ワシそっち方面詳しくないし……」


 あの私、使い魔というのもよく知らないんですけど……後で調べるか……


「じゃあ封印解くぞー。一応〈魅了〉は使わないよう言ってある。」


 そう言って、鎖を固定している台座部分を愛用武器の金棒で思いっきり叩き壊す。鎖の方を壊さなかったのは、金属製の鎖よりもおそらく何らかの岩製の台座の方が脆いだろうと思ったからだが。


バキンッ! バキンッ! バキンッ! バキンッ!


 とりあえず鎖での拘束は解けたようで、ジャラジャラと体を縛っていた鎖が台座の上に落ちていく。


 ちなみに、この鎖は魔力と体力を封じる魔道具で、かなり価値のあるものだと分かったのは後の調査での話である。封じている対象がレベル94もあると普通の金属製の鎖では簡単に引きちぎられてしまうということだろう。


「ありがとうございます。ご主人様ぁ」

「ところで使い魔の契約解除とかどうやってやるんだ?」


 封印を解いたのはいいが使い魔とか飼う気ないぞ。とりあえず少年少女を襲わないように(肉体言語で)何度か言い聞かせれば放置でいいんじゃないか? もし問題があるなら『燃える刃』の3人組に押し付けてもいいしな。


「そんなもん出来るわけなかろう。使い魔は主人の寿命が尽きるまでの一生もんじゃ」

「はぁ!? ちょっと待て!!」


 なにそれ聞いてないんですけど。奴隷と一緒で契約解除とかできるとか思っていた。


「よろしくお願いします。ご主人様ぁ」


 めっちゃ甘えてくるんだが、内面を知ってしまった身としては、あんまり関わりになりたくないな。



「…………ん? ちょっと待つんじゃ! 古代文字でここには何かが封印されていると書いてあったんじゃ。おぬしが封印されておったのか?」


 ああ、そういや、そこが疑問だったんだよな。この遺跡が何年前のものなのかは知らないが、このお姉さんは結果的に封印されていただけであって、封印自体が目的ではなかったはずだ。


「それなら私がここに連れてこられた時に、もう寿命か何かで死んでたわよ。ここは偶々(たまたま)見つけただけらしいけど、残っていたこの施設を、あのクソ魔族が儀式の祭壇にしようと再利用したみたいだし。」

「そ、そんな……」


 あ、学者先生が目に見えて落ち込んでいる。まあ、仕方ないか、この遺跡もう人(魔族?)の手が入っていたようだし。


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