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34 封印 1

「ありゃ人間か?」

「なんだってこんな所に?」

「すげぇ美人っすね。あ、もちろん俺は(あね)さん一筋っすよ」


 そんなこと言わなくていいよ。気持ち悪いだろ。

 あと、台座の上に座っている美女は何というかお色気たっぷりのオネーちゃんだった。20代半ばといったところか。ムチムチのバインバインだ。赤っぽい紫色の髪も何か妖艶な雰囲気を助長させている。ただ何故か台座の四方から伸びた鎖に体を縛られている。なんだ、エロいことでもされようとしていたのか。


「助けてください」


 台座の上の美女が助けを求めてきた。脳が蕩けるような妖艶な声だ。


「あ、ああ、おい、助けるぞ!」

「分かった」


 3人組が先に神殿へと入り、女性のいる台座へと近づいていく。目の前の女性以外周辺に気配は無い。

 しっかしエロい体つきだな。おい。体にうす布一枚まとっているだけのようでそれもエロい。もしかしてそっち系のお店の人だろうか。


「どうする」

「とりあえず鎖を切ればいいんじゃないか」

「そうっすね」


 しょうがないな、私も手伝おう。あ、お姉さん、後でお礼よろしく。げへへ。


「ノワール様うれしそうですね?」

「はっ! いや、なんでもないぞ」


 ソレイユちゃんがこっちを見ていた。


「そこの台座に書いてあるのは魔力を封印する魔法陣じゃな……なんでこんなところにあるんじゃ?」


 へぇ、魔力ね。そんなの封印する魔法陣があるんだ。……そうだ〈鑑定眼〉で集中すればスリーサイズとか見れないか――いや異常がないか観察してみよう。ほら、魔法陣の影響で何かあったら困るしね。


名前:ティーア

種族:リリス

年齢:327

性別;女性

レベル:94

状態:封印

スキル:魅了Lv8

    鞭技Lv5

    闇魔法Lv4

    水魔法Lv2



 ん? このお姉さん年齢とレベルがすごいんですけど。で――


「リリスって何だ?」

「なんじゃと?」

「いや、この女性の種族がリリスとなっているんだが――」

「っ! おぬしらすぐ離れるんじゃ!!」

「「「は?」」」

「ちっ! させないよ!」


 目の前のお姉さんの目が怪しく光った……ような気がしたんだがすぐ収まったのでよく分からないな……なんだったんだ?


「よし、お前たち。この封印を解くんだ」

「「「はい」」」


 おや? いきなりお姉さんが偉そうな態度になった。女王様って感じだ。性的な方の。

 あと、なぜか従順に返事をした3人組……まあ、分からなくはないが。こんなお姉さんに命令されたら誰だってなぁ。

 ……あれ?


「なんで2人もそっちに行くんだ? 3人組に任せておけばいいだろう?」


 ソレイユちゃんと学者先生もなぜか台座の方に近づいて行ったので、声をかけてみたんだが返事がない。学者先生はともかくソレイユちゃんも返事をしない。え? なんで? まさか、考えてることを見抜かれて「ノワール様、不潔です!」とか思われたのだろうか。違うんだ、違うんだよ、ソレイユちゃん。それは男なら誰しも持っている感情なんだよ。いま女だけど。


「なっ! なぜおまえだけ従わない!」

「は?」


 お姉さんがこっちに向かって何か言ってきた。何のことだ?


「何を言っているんでしょうか?」


 やべっ、綺麗なお姉さんを前にしてキャラが崩れちゃった。


「ちっ!」


 再度、お姉さんの瞳が光った……ような気がした。


「さぁ、おいで。お前は好みだから傍に置いてあげる」

「え!? マジっすか!?」


 やべっ、またキャラが……


「っっっ!!」

「あの?」


 どうしたのだろうか? 目を見開いて驚いたような表情をしている。


「くっ! そいつを取り押さえろ!」


 声を上げたと思ったら。学者先生が腰に抱き着いてきた。……なんだ? もしかしてこの人、亀○人みたいなエロジジイだったんだろうか? 

 お? ソレイユちゃんまで抱き着いてきた。なんだ?


「ちっ! お前たちも行きなさい!」


 3人組までこっちに向かってくる。何お前らまで?

 そして3人組も抱き着いてきた……違うな。何かタックルしてきたみたいだ。構えてなかったので、床に倒されてしまった。

 なんだ? もしかして、私、いやーんな感じにされちゃうの?


 ……まあそんなことはないだろう。だとするとなんだ?

 〈鑑定眼〉を使用してみると、全員、状態が『魅了』になっていた。

 そんな中、1人、デュロックが起き上がって剣を突き付けてきた。


「ふふ、なぜあなたに魅了が通じなかったのかはわからないけど、まあいいわ、好みだったのだけれど……残念ね」

「……お前はなんだ?」


 この程度の拘束なら力ずくでどうとでもなるので後回しで、疑問を聞いてみた。


「あら、あなた知ってたんじゃないの? 私の種族を言い当てていたようだし」

「リリスというのは聞いたことがないな」

「そう、じゃあ教えてあげるリリスというのはサキュバスの上位種族よ」


 なんと! サキュバスというとあの男の精を吸うというエロいやつか! なるほどスキルに〈魅了〉があったな。あれで魅了状態にしてエロいことをするのだろう! なぜ私はかからなかったのか! いや分かっている。私のスキル〈全状態異常無効化〉のせいだ。しかしエロいことするのなら私も混ぜて…………男はいらないので、2人だけの時に使ってほしかった! 


 ……あ、でも、サキュバスってことは経験豊富そう……ビッチじゃないか! やっぱりかからなくてよかったのか


「そのリリスのあなたがなぜここに?」

「そうなのよねぇ。昔ヘマやらかしちゃってここに封印されちゃったってわけ。でもそれも今日で終わりね。あなたを始末した後、ここの封印を解いてここを出るわ」

「ヘマ?」

「どっかの魔族が私を側室に、なんて寝ぼけたことを言ったんでボコボコにしてやったのよ! ほんとにむかつくわ」

「魔族?」

「ええ、あの自分を魔王だとか抜かしてたやつね、(ちん)の嫁にしてやろうとか、思い出すだけで気持ち悪いわ」

「ここを出たらどうする気だ」

「そりゃ、自由気ままに生きるに決まってるじゃない。最初はそうね……近くの街の少年少女を片っ端から食べるっていうのもいいわよね」

「……その食べるっていうのは食料的に?」

「性的によ。なにいってんの」


 こいつショタコン&ロリコンか!? いや年下好きとか言ったほうがいいのか? ビッチのくせに……私の中での評価がかなり下がった。


 まあ、なんか色々喋ってるし、ほかにも聞いておこう。勝利を確信しているような相手は、とどめを刺さずに聞いてもいないことをペラペラしゃべるらしいからな。漫画で読んだ。


 あと首に何か見覚えのある意匠の首輪がしてある。あれって奴隷の首輪じゃないのか?


「その首輪は奴隷の首輪か?」

「違うわよ! 従魔の首輪よ! 私に殴られたことが気に入らなかったのね、部下に襲わせて、ここで手出しできない状態で従魔にしようとしたみたいね。あのクソ野郎!」

「で? その従魔? にしようとした奴は?」

「隙を見せた際に魅了で部下に殺させたわよ。あと一歩遅かったら危なかったわね」

「あと一歩というのは?」

「そうね、この首輪に血をつけて個人を登録するだけだったわ……何よその残念なものを見るような眼は」


 こいつはまた頭の悪い奴がいたな。(目の前のお姉さんを見ながら)

 

 あと分かったことは、

・魔族というものがいる。

・その魔族のだれかに強制的に従わされそうになった。

・首につけているのは従魔の首輪

・従魔の首輪は従魔につけるためのもの。従魔とはファンタジーに出てくる使い魔のようなもの。なお奴隷の首輪は従魔の首輪の劣化改造品。(鑑定眼にて確認)

・このお姉さんは年下好き

・ここの封印を破ったら少年少女を片っ端から(性的に)襲うらしい。

・従魔の首輪は血をつけるだけで登録完了する状態


 あれ? 学者先生は何かが封印されているといっていなかったか? このお姉さんの事……ではないな。封印されるためにここにいるわけじゃないようだし……これは後回しか。


 うーん、話の内容的には特に問題あるようには思えない。特に犯罪とかをやらかしたわけでもないし(魔族を殺すのが犯罪かは知らない)、少年少女を襲うというのを除けば普通に封印を解いてやってもいいような気がする。


「なあ、提案なんだが」

「なによ?」

「ここを出ても人間を襲わないというのであれば、普通に封印を解いてもいいが?」

「はぁ? 何言ってんの? それが一番楽しみなんじゃない!」


 あ、そうですか。


「それにあなたが解いてくれなくても、そっちの奴らにさせるから」


 そう言って私以外の5人を見た。

 私にしがみついている4人が締め付けを少しきつくしたようだ。あとデュロックが剣を首に突き付けてきた。


「じゃあね。さようなら」


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