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31 遺跡 1

 その後、更に5日ほど同じようなことを続けた結果、ソレイユちゃんはゴブリン4~5匹までなら問題なく倒せるようになった。

 あとコボルトと戦わせてみたが。ゴブリンよりも動きが素早く、1匹ならともかく2匹以上となると結構混乱していた。――ので、私が倒した。冷静に相手を見れるようになれば2匹ぐらいならいけそうなのだが。

 オークは体格差と厚い脂肪のせいでまだ1人では多少厳しいようだった。――ので、これも私が倒した。

 この金棒(かなぼう)いいな。手入れとかしなくていいし、これでちょっと殴ったら普通に骨が砕けたりする。


 ここ数日の結果を見てみたがソレイユちゃんはレベルが5から7へと上がっていた。まあ、ザコ敵ばっかりだったしこんなものか。

 ちなみに私は、以前アイアンリザードを倒した際にレベル15まで上がっていたのだが、それからは上がっていない。


 ただ、私の方のこのレベル、確認した際には結構悩んだ。

 1匹倒しただけでこれは上がりすぎではないだろうか。確かギルドマスターのレベルが40台前半だったような気がする。一応、ギルドマスターというからにはそれなりに実力があるのだろう多分。もしかしたら事務系の人かもしれないが。あとこの世界の冒険者以外の成人の平均レベルが確か5~10だったはずだ。と考えるとこんなホイホイと上がっていいはずはないのではないか。いくらレベルが上の相手を倒したからといってこんなに簡単に上がるなら、日夜、魔物と戦っている冒険者なんてレベルはいかほどだろう。

 などということをうんうんと考えていた。まあ、結局答えなんて出なかったわけだが。


 ちなみに、冒険者はよほどのことがない限り、格下の相手しか狙わない。失敗すれば即、死につながるのだから当然だ。そのため得られる経験値は微々たるものだ。

 パーティー単位なら数の優位を生かし同格程度の相手を狙うこともあるが、攻撃した人数分、倒した際の経験値が散ってしまいあまり効率は良くない。

 また、非常に格上の相手と戦う場合もあるが、それはよほどのことがあった場合であり(この前みたいな)、念入りに準備をして大人数で倒すというのが一般的だ。そのため、パーティーの時と同じように、倒した際の経験値が人数分に分散されるので格上なのにあまりレベルが上がらないということになる。


 話を戻そう。レベル以外に、自分のステータスを見た際驚いたことがあった。


「あれ?」


 スキル欄に『棒技Lv3』があった。……あれ? スキルってこんなに簡単に増えるものだっけ? 試しに再度ソレイユちゃんを見てみる。

 ……レベルが7に上がっているのは知っているが、……あれ? スキルに『槍技Lv1』が増えてるぞ? え? スキルってこんなに簡単に習得できるものだったっけ? …………そんなわけない。確かギルドマスターのスキルが3つあるのがすごいみたいなことを言っていたし……何故だ……


 ◇◇◇


 今日は、ここ数日で倒したゴブリン他の魔物の討伐報酬を受け取りにギルドに来ていた。ゴブリン、コボルト、オークとザコばかりなので1匹あたりの報酬は大したことにはならないが、数が多かったのでいい値段になった。あと、コボルトの毛皮やオークの肉などもいい値段だったと思う。解体していないので、その分査定が下がったが、別に気にしなくていいだろう。


「あ、ノワールさんこんにちは」

「ん? ああ」


 声をかけられた方を見ると、コラットソマリ兄妹がいた。


「2人は依頼か?」

「ええ、今日は東の森をのんびりと巡ってみるつもりです。」

「この街はいい所ですよね。アイアンリザードの報酬もありますし、少しこの街でゆっくりしようと思っているんですよ。」

「そうなのか」


 そう言えばこの2人、ここへは護衛依頼で来ただけで、別の街に拠点があるんだったな。


「そう言えば、もう聞きましたか? 東の森の遺跡の話」

「ん? 何だそれは? 初めて聞くな」


 聞けば、東の森の奥深くで小規模な遺跡が見つかったらしい。本当に小規模で今まで木々の間に隠れていたらしいが、たまたま冒険者が見つけたようだ。

 遺跡自体はそう珍しいものでもないらしいのだが、古代文字なんかが書かれた壁なんかも見つかっていて学者の人がそっちをいろいろ調べているらしい。

 それに合わせて、学者の東の森での護衛依頼というのが、難易度の割に報酬のいい仕事として結構人気だそうだ。


 遺跡とか面白そうだな。暇があったら見てみたいな。まあ、あと数日はソレイユちゃんのスパルタ魔物討伐教室が続くのだが


 その後、ギルドの内で少し話をした後、コラットソマリ兄妹とは別れた。



 いつもと同じように東の森で、私が少数でいる魔物を見つけては、ソレイユちゃんに退治させるという方法を取る。


 あと、少し前に本を読んだときから使ってみたかった魔法を使ってみようと思う。


「ファイアボール」

「ギャッ!」


 火の玉ができて、バヒュンと飛んで行ったのだが、目標のゴブリンはちょっと火傷した程度だった。うーん、威力が弱い。……あ、ここ森の中だから火とか使ったらまずいんじゃないか? ……うん、今度からは『風魔法』の方を試してみよう。火傷して怒ったゴブリンが向かってきたので叩き潰しながら、そんなことを思っていた。


 さてやってきました。ゴブリン3匹がまたいた。へへへ、いいカモだぜ。


「じゃあ、魔法で1匹の気をそらすのでその間に退治するように」

「はい!」


 ソレイユちゃんに指示を出し、再度魔法を使ってみようと思う。


「はぁ!」

「ウインドカッター」


 ソレイユちゃんが突っ込むと同時に、一番離れている奴に魔法を放つ。……やっぱり威力が弱い。魔法は運よく首に当たったのだが、カッターナイフで傷つけたぐらいの威力しか出なかった。結局ソレイユちゃんが3匹とも倒してしまった。


 うーん、私には魔法の才能はないのかなー。スキルは脳筋寄りだし……


 結局魔法を使うのはやめて、いつものスタイルで行くことにした。

 魔物が数匹でいるところを狙って、ソレイユちゃんが槍を持って突っ込む……奇襲とかもやらせた方がいいかな……

 あとは、苦戦していたり、取り逃がした奴がいた場合は、私がそれとなく潰すというのを繰り返す。

 もう結構この戦い方に慣れてきたようで、ソレイユちゃんも落ち着いて相手の動きなどを見て対処できていると思う。


 お、ゴブリン8匹がいるな……これはソレイユちゃんにはきついかな? しかし、いつかは乗り越えなければならない壁だ。獅子は我が子を千尋の谷に落とす。だったか?


「ソレイユ、そろそろあれぐらいなら問題ないだろう。行ってこい」

「は、はい!」


 そう言って力強い返事をしていくのだが、ふむ、順調……あ、後ろから攻撃された……転ばされたな……あ、覆いかぶされた……タイムタイム!


 あわてて走って行って、取りこぼした4匹を即効撲殺する。


 グシャ!


「のわーるざまぁ~」

「よしよし、ヒール」


 さすがに怖かったのか拘束が解けると、涙目でしがみつかれた。

 後ろから攻撃された分については半回転して盾でうまく防いでいたようだが、転んだ際のダメージとか残っていたらまずいのでヒールをかけておいた。


「うーん、8匹は荷が重かったか。もう少しレベルが上がってからだな」

「はいぃ」


 まだちょっと涙目だ。


 やはり5匹以上はまだ荷が重いようなので、2~4匹程度の固まっている奴を探す。



 しばらく歩いた頃だろうか、結構奥まで来たと思うのだが……目の前に何かある。

 いや、何かという言い方もないだろう。石造りの遺跡らしきものがある。本当に小さくて木々に覆われてしまって遠目だと確認しづらいが多分遺跡だ。

 ギルドで兄妹から聞いた遺跡だろうか。やっぱり、あれからどこかで気になっていたのだろう。知らず知らずのうちに近くまで来てしまったみたいだ。

 いや、正直に言おう。かなり気になっていた。


 入り口部分には多数の人間の足跡と踏み固められた地面がある。焚き木など野営の後もある。


「こ、これって、あの方たちが言っていた遺跡ですか?」

「そのようだな、ちょっと見てみるか」


 こういう風化している建物って趣があっていいよね。

遺跡の周りを歩いてみる。石造りで頑丈そうだが、本当に小さい。これ何のために建てられた遺跡なんだろう。

 中をのぞいてみると、8畳ほどの広間が広がっているだけだ。奥の壁には何やら見慣れない文字列と思われるものが書かれている。……翻訳機能さんはこれには役に立たないらしい。読めない。しかも、劣化で文字が消えたり、壁が剥がれたりしていて、さらに解読しづらくなっているのだろう。

 中に入ってみると、足元にも何か書いてあった。魔法陣みたいだな。ただ、こっちも風化が激しいようで半分近く消えてしまっている。

 結局何の建物か分からずじまいだな……まあいいか。

 ――などとは思わない。地面の下の方からすごい気配がするのだが……え? なにこれ? 地下に何かあるの?

 床を足で蹴ってみる。ゴンゴン! と音がするだけだ。


「おや、誰かな?」

「きゃっ!」


 いきなり声をかけられたので、ソレイユちゃんが悲鳴を上げた。断じて私の悲鳴ではない。


「おっと失礼、お嬢さん方はここで何をやっているのかな?」


 振り返ると1人の老人が立っていた。見た目冒険者といった感じではないな。この遺跡を調べに来た学者だろうか。


「いや、少し興味があったので見ていたのだが……ここを調査している学者の方だろうか」

「ああ、そうじゃよ」

「学者殿、ここは何の建物なのだろうか? 少し気になるのだが。」

「ああ、なんでも何かを封印しているようじゃな。『何か』というのは今調査中なんじゃけど――」

「おや、お嬢ちゃんたちじゃないか、どうしたんだこんな所で」


 後ろから、『燃える刃』の3人組が後ろからやってきた。この3人は……護衛か。


「……3人は学者の護衛依頼かな?」

「あ、ああ、割のいい仕事らしいからな、今日は運がよかったよ」

「なんかこの遺跡の周りって、魔物が出ないらしいんっすよねー」

「そうなのか?」

「まあ、先に来たやつがそう言ってるってだけで、俺らが確認したわけじゃないけどな。」

「そうか、ところで学者殿、このあたりの地下は確認したのか」

「地下? 地面の下という事かな? いやしていないはずじゃが……何かあるのかね?」

「生き物の気配がある」

「モグラか何かか?」

「いやもっと大きい。人間大の気配だ。」

「なんと!」


 学者の人は大きな声を上げ驚いていた。


更新頻度がわけのわからない状態に……これはエタるパターンですわ

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