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29 新しい武器と

 最近、ソレイユちゃんがふっくらしてきた。前は細い体格だったので、あんまり気にならかったんだが、元の体格に戻ってくると結構可愛いな。毎日、ちゃんとお湯で体を拭いているため、そこいらの冒険者より清潔だし。

 最近はお湯で体を拭くのは自分でやってもらっている。14歳とはいえ女の子の裸を直視するのは元童貞には荷が重いからだ。最初は気にならなかったのになぁ。まあ、さすがに主人が奴隷の体を拭くということ自体無いことなんだろう。自分でやるように、と言ったらちゃんと従った。

 あと、ソレイユちゃんの忠誠心がすごい。左腕と体中の傷を治したからだろうか。

うむ、これだけ可愛くて従順……あと2年ぐらいしたらいただいてしまいたい。性的に、……女性同士ってどうやるんだろうか?



「ノワール様!」

「お、おう、なんだ?」

「わ、私にも魔物との戦い方を教えてください。私はノワール様と一緒にいたいんです!」

「いや、今とか一緒にいると思うが」

「いえ、そうではなく、ノワール様だけ働いているなど奴隷としてあるまじき事だと思うんです!」


 ……確かに、今は宿屋に宿泊しているので、食事から部屋の掃除すべて宿屋側がやってくれる。すると、ソレイユちゃんのやることがないのだ。そして、私は冒険者としてソレイユちゃんの分もお金を稼いでくる。あれ? これって私の方が奴隷みたいじゃね? 


「ゴホン…………分かった、では、私が冒険者をやっているのはもう知っているな。以前に、その場合、宿屋で留守番してもらうと言ったのだが……もし望むのであれば、一緒に冒険者としてやっていかないか? むろん冒険者として活動する以上危険な場面はあるだろうが、私がちゃんとバックアップしよう。それと、奴隷は冒険者登録ができないらしいが、まあ、そこら辺は我慢してもらうしかないのだが。」

「は、はい! ノワール様と一緒ならどこへでも行きます。」

「いや、冒険者としての活動をしないかという話なんだが」

「はい。でも、私は戦いが……」

「戦えないことは前に聞いたし、レベルが低いことも知っているし。だから、もしやるなら、レベル上げからだが。……魔物を殺すことになるがその辺も大丈夫か?」

「はい! 私、やります! ノワール様と一緒がいいです!」

「そうか、わかった。」


 まあ、レベル上げに関しては絶対にやっておいた方がいいと思ったからな。この間の、アイアンリザード討伐で、スキル〈腕力強化〉に〈肉体強化〉まであるのに殴ったら骨折した。これはおそらくレベルが低いせいではないかと考えている。ちゃんとしたレベルならあんなことにはならなかったのではないかと。つまり「レベルを上げて物理で殴れ」というやつである。あと、スキルレベルの方は、明確な上げ方が不明らしい。なら、普通にレベルを上げた方が手っ取り早いと思ったわけだ。



 ギルドの練習場にやってきた。ここは、ギルドの建物に併設されているちょっと広めの空間だ。地面がむき出しで、木の柵で囲われている。冒険者が、武器の練習をしたり、ランクが上の冒険者に指導してもらったりするところらしい。たまに、決闘やランクの実力確認なんかにも使われるらしいが。

 広場の端には小さめの倉庫があり、ここには木剣や刃をつぶした剣などの練習用の武器が置いてある。これは引退した冒険者の寄付らしい。


「……初心者が使いやすい武器ってなんだ……槍かな? あとは鈍器系? とりあえず適当に持ってふるってみてくれ」

「はい」


 ソレイユちゃんがまずは剣を持とうとしているが、かなり重そうだ。手と足がプルプルしている。……それ両手剣だぞ?


「さて、私は……」


 まず剣を持ってふるってみる。スキル〈剣技〉の影響だろう。問題なく振るえる。じゃあ、他の武器は? ――斧や槍なども使ってみるが、そもそも使い方が全くわからない。力任せに振るっているだけという感じだ。弓矢はどうだろう。広場の端っこにある使い古されたボロボロの的に向かって射てみる。

 勢いよく前には飛んだんだが、的は外れた。うむ、練習すればいけそうな気もするが、私のスキルは接近戦向きなので、中距離用の弓で攻撃とかどうなんだろう。

 後は鈍器系かな。武器の中にあったメイスを振るってみる。うん。刃の角度とか関係ないし力任せに振るっても問題ないから楽だな。

 私は、剣か鈍器系の武器がいいだろう。ソレイユちゃんは……


「どうだ? 何か使いやすい武器はあったか?」

「いえ……今までこういったものは使ったことがないので……」

「そうか、なら武器屋に行った際に、初心者のお勧めを聞いてみるか」

「……すいません」



「いらっしゃい。おや、お久しぶりですな」


 鍛冶兼武器屋に行くと、いつものおじいさんがいた。


「ああ、聞きたいことがあるのだが……初心者が扱いやすい武器は何だろうか?」

「そうですね、メイスなどでしょうか。特別な技術を必要としませんし。あとは、槍などもおすすめですね。少し技術が必要ですが、リーチが長いので、余裕が生まれます。」

「なるほど……ちなみにどっちが軽い」

「それは、ものによりけりですね。柄が木製なら槍の方が軽いですが……」

「うーん……」


 とりあえずソレイユちゃんにはオーソドックスに片手でも扱える小ぶりな槍と木に革を張った円形のラウンドシールドを持たせる。……おお、結構様になっているな。槍は、和風じゃなくて西洋にあるような刃の部分が少し大ぶりな奴だ。軽装歩兵って感じだ。


「よし、ソレイユはこれでいいだろう。あとは私のだが、」

「おや? あなたは剣をすでに持たれているのでは?」

「ああ、この前折れてしまってな……」


 折れた剣を鞘からだし、見せる。


「なるほど、これは買い直した方が速いですな。しかしこのレベルの剣となると結構なお値段がしますが……」


 値段を聞いたら、小金持ちになった今の私には問題ないが、まあ結構なお値段だった。これ本当にいい剣だったんだな。……どうしよう。中途半端なものを買ってもなんかなぁという感じだし……


 これからはレベル上げに専念するのでアイアンリザードみたいな高レベルの魔物と戦うこともないだろうし、もう素手でいっちゃうか?


「……何か安くていい武器はないか?」

「いい武器はたいてい高いですからね。メイスやハンマーは刃がない分、同レベルの武器と比べて多少お安くなっていますが」

「そうか……」


 何かないだろうか……おや、樽の中に何かいっぱい武器が入っている。しかも安い。これはあれか、ワゴンセールとか特価品とか言うやつか。

 その樽の中に入っている武器をいくつか取り出してみる。……少し錆びていたり、欠けていたりと、どっちかっていうと中古品って感じだった。

 おや、これはメイス……よりもっと大きいな、六角棍もしくは金属製の棍棒といった感じだろうか、金棒? 全長2mぐらいはあるだろう。持ち手部分が1/3ぐらいでその部分だけ少し細くなっていて布が巻いてある。スリムな鬼の金棒という感じだ。トゲトゲはないが。これなら、力任せに振るっても問題ないんじゃないだろうか。


「これは」

「ああ、それですか。ただの金属の塊みたいなものだし、大きいし重すぎて取り回し辛い。だから誰も買わないし投げ売りしているんですよ。」


 ほう、持ってみた感じ、特に重いということはない。スキルのおかげだろう。あとは大きさか、確かに狭い場所とかでは取り回しし辛そうだ。だがそんな狭い場所に行くことは……森の中とかか、木があるしな。……木ごとなぎ倒したりできないだろうか……できそうな気がする。

よし、これにしよう。


 私の分は、この金棒と新しい手甲を買った。手甲は外側に金属板を張り付けたやつだ。ガントレットとか言うんだっけ? そんな感じのやつだ。

 ソレイユちゃんと合わせて結構な額になったが、一から武器を揃えたにしては安く上がった方だろう。ソレイユちゃんの方が高かったな。

あと盾はあったが体につける鎧などの防具はここには売っていない。おじいさんにそちらの防具を売っている店を教えてもらう。



 防具店に行ってみたが、やっぱり高いな。とりあえずソレイユちゃんの胸当てぐらいは買っておこう。ソレイユちゃんの体力を考えたら金属製は無理なので革製になるが。

 防具店ではソレイユちゃんの革製胸当てを買った。


 よし! これで、それぞれの武器、防具はそろったな。


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