03 転生しました 2
あの後、とりあえず自分の体で興奮するナルシストではなかったことにしておこう。他人のおっぱいとか揉んだら興奮するかもしれないしね。女の子同士のスキンシップ的な感じ? うひょー夢が広がる……と、まあそれはおいおい考えればいいや。
とりあえずは、服を着直し再度状況の確認に努めることにした。といってもワンピース一枚だけですけどね。下着すらありませんけどね。
日も高いし、周囲には大型の獣などいる感じではなかったため(といっても、目視と音による確認だけだが何となくいないと分かった)とりあえず、湖から離れ草むらに座り込み、ステータスの内容を考察することにした。といってもどう見たらよいのか。
とりあえず、種族、性別、年齢は外見と相違ないことをついさっき確認した。確認してしまったといった方がよいだろうか。
となると後は名前とレベル、スキルの欄だが、レベルが1なのは分かる。放り出されてすぐなんだから当たり前といえば当たり前なんだろう。初期からレベルカンストとかだったらチートキタコレとかだったのかもしれないが、まあそこまでは都合よくないということだ。
名前は何故か(無し)となっているな。一応転生前には斉藤太陽という名前があったのだが。まあ、バリバリの日本人男性の名前なので今の自分には合っていないだろう。そう考えるとよかったのかもしれないが、名前を変えたとしてそれがステータスに反映される条件は何なのかよくわからない。宣言すれば反映されるのか、それとも何かしら手順が必要なのか……まあ、今すぐというわけでもないしこれは後回しにしてもいいだろう。
次にスキルだ。おそらく転生管理事務所で言っていた能力のことだろうが、まず、すぐに目を引くのがその数だ。9個ある。天使によると1人3つまでということだったのでこれはうれしい失敗ではないだろうか。この世界の人間に対するスキルがどういった者かはわからないが、天使に聞いた話では『優れた能力を身につけてもらう』『能力かアイテムを3つまで』ということなので、9個というのはかなりすごいことではないだろうか。ただ問題はスキルの後についているLv.10という数字だ。これがどの程度なのかよくわからない。具体的にいうと10/10なのか10/99なのかによってかなり異なってくるだろう。前者ならかなりすごいことになるだろうが、後者なら微妙な能力に早変わりだ。何とか上限レベルなど分からないだろうか? ステータスさんもう少し親切でも罰は当たらないだろう。
と、スキル欄を睨むように見ていると、すっと説明が出てきた。ん? これは、 と思ってもう1回別のスキルに焦点を合わせるようにするとそのスキルの説明が出てきた。おお、なんだか使い方がわかってきたぞ。
それによると、
スキル:鑑定眼Lv.10(対象の情報を見れる)
全状態異常無効化Lv.10(状態異常を無効化する)
気配察知Lv.10(気配を察知できる)
回復魔法Lv.10(全回復魔法使用可)
肉体強化Lv.10(肉体が強くなる)
腕力強化Lv.10(腕の力が強くなる)
脚力強化Lv.10(足の力が強くなる)
剣技Lv.10(剣の扱いがうまくなる)
アイテムボックスLv.10(容量制限無し)
……ざっくりしすぎだろ。
他にも色々と試行錯誤してみたがやはりというかなんというか、これ以上の説明は出てこなかった。
ただ、説明が出た際にその能力の使い方が頭の中に浮かんできたというか理解したというのだろうか。……言葉にするのは難しいな。まあ、頭の中に何か新しいひらめきが浮かんだ時みたいな感じがしたとでも思っておいてくれ。
とりあえず、スキルを使うことに関しては問題ない。つまり、今すぐ〈鑑定眼〉や〈回復魔法〉を使え、と言われても使えるということだ。試していないが。……まあ、試そうにも、試す必要がある場面ではないのだが。そもそも鑑定するものもないし、けがもしていない。いや、ちょうどいいのがいるな。
いつの間にか、少し離れた場所で鹿らしき野生動物がいて、湖で水を飲んでいる。ここからだと少し離れているがいけるか?
スキルの〈気配察知〉を使う。すると気配がわかるという感覚が理解できた。どうやらかなり精度もいいようで、相手との距離が結構正確にわかるし、敵愾心の有無なんかも何となくわかる。
「へぇ、こういう感覚なのか」
今まで生きてきた中で、相手の気配を感じるなどしたことがない。実際に気配を感じるというのは何か新しい感覚器官が増えたような感じだ。ただ、全力で〈気配察知〉のスキルと使うとそこら辺の小動物の気配までつかんでしまい、頭がつかれるので、とりあえず敵愾心の有無や、害獣かどうかを判別する程度のセーブ方法を学ぶ必要があるだろう。とりあえず、人間大以上の生物が来たときのみ反応するように何とか力をセーブする――までに結構時間がかかった。
あとは、〈アイテムボックス〉も試してみるか。
そこら辺に落ちていた石を1個つかんで〈アイテムボックス〉に入れてみた。その後、取り出してみる。問題ない。
次に、大きさの違う石を3個つかんで〈アイテムボックス〉に入れてみて、その後任意の大きさの石を取り出せるか試してみたが、こちらも問題はなかった。〈アイテムボックス〉は簡単だな。
そのほかにも繰り返しステータスを見るなどして、ステータスの出現のさせ方などはだいぶスムーズにできるようになった。表示させると視界の一部をステータスが占めてしまうため移動中などに見ると注意力が散漫になるので、ある程度慣れが必要だろう。ただ、ゲームによくあるHP(体力)やMP(魔力)といった項目がないが、あれは、現実でそういったものを単純な数値データで表すのが難しいからだろうか? それとも、まだ隠れステータスがあるのかは不明だ。俺は前者ではないかと予想しているが、あくまで個人的な感覚での勘である。もしかしたら後者であるかもしれない。
そういえば、転生管理事務所でアイテムも何か選べたような気がするが、そこら辺に落ちてないだろうか――落ちてないですか。そうですよね、そこまで都合よくないですよね。はい、わかってますよ。
周囲を見渡しても特に何も落ちてはいないので、今現在の俺の持ち物は、服一枚だけのようだ。
あと、〈肉体強化〉や、〈腕力強化〉、〈脚力強化〉と何か脳筋みたいなスキル構成になってるのがちょっと気になるところだ。せっかく、ファンタジー異世界に来たんだし魔法とかも使ってみたい。しかし使えるのは〈回復魔法〉のみ。他の魔法は使い方が全く分からない。これは書物等で勉強すれば使えるようになるのだろうか? それとも誰かに弟子入りでもする必要があるのか?
……とりあえずは、ずっとこんなところにいても仕方がないので移動しようか。水は大量にあるがそれ以外何もないしな。できれば人間のいる町や村などに行けるといいんだが。野宿とかしたことないしな。
いや待て、服一枚しか着ていないうえ一文無しだぞ? その上手ぶら。絶対、不審者だろこれ。どうするべきだ? とりあえず町なり村なりに行く前に何か用意すべきだろう。では何を? 服か? 全然思い浮かばない。
そもそも、この世界のことを何も知らないだよなぁ。どこに町があるのかとか以前にここがどこかもわかっていない。先ほど一文無しといったが、そもそもこの世界のお金がどんなものかも分からない。確か文明が遅れていると聞いたような気もするし、ファンタジー世界とすれば中世ヨーロッパ程度の文明レベルか? となると、使われているのは貨幣自体に価値のある金銀銅の硬貨だと思うが。うむ、考えれば考えるほどわからなくなっていく。
とりあえず、森を突っ切るべきか、しかし迷いそうだよなぁ。とはいえここでじっとしているのはまずい。それ以外のことはその時になってから考えてもいいだろう。というかもうどうしようもない。
どの方向へ移動しようか考えているときに、スキルの〈気配察知〉に反応があった。
「何だ? 動物か?」
森の中からこちらへ向かってくる。2つの気配、敵愾心のようなものも無いし、移動速度もゆっくりだ、そこまで強い感じもしない。ただ、普通の動物とは何か違うな。しかも、方向的に考えてこちらのいる場所のすぐ近くに出てくることになるだろう。敵愾心が無いのはこちらを見つけていないからだろう、肉食性の動物で見つけた瞬間襲ってくるということも考えられる。
とりあえず隠れて様子を見ようと、近くの木陰に隠れて様子を見る。
それから少したった後、
ガサガサッ
森の茂みをかき分けて出てきたのは2匹のゴブリンだった。
長文を書くのは難しいですね ム~ン