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28 討伐の後に

 結果としては、領主軍が出る前に終わった。ただ、領主軍が出なくてよかったからと言って簡単な討伐ではなかった。冒険者28名中死亡4名、重軽傷者15名となった。奴隷は4名全員死亡となっている。ちなみに怪我をしなかった9名は私と離れていた魔法使い、弓兵である。まあ、私は怪我をしたのだがすぐ治したためカウントされていないだけなのだが。

 傷を負ったものはすぐさま後方に行って回復魔法をかけてもらうらしい。ただクライスデールさんは軽傷だが領主軍との話があるのか残ったままだ。


「お嬢ちゃんは回復魔法が使えるんだったな。なら、後ろに行って手伝うことがあるようなら手伝ってやってくれ」

「ああ、わかった」

「ちょっと待て、一応護衛のための人を出そう。おいお前! このお嬢ちゃんについてやってくれ」

「分かりました」


 クライスデールさんと何か話していた領主軍の隊長っぽい人が何か護衛をつけてくれるといっている。今更護衛が必要なのか?


「いや、一応領主様より教会の方からちょっかいを出させないように言われているからな」


 教会からの護衛という意味だろうか。まあいいや


 後方に行ってみると、怪我をした冒険者が教会の回復魔法使いから治療を受けていたのだが、


「おい、こっちの3人は特に怪我がひどいようだが治療はいいのか?」

「ああ、そいつらはもうダメだ。治しようがない。」


 特に怪我のひどい奴がいた……というかほとんど死にかけの奴……腹が裂けていたり、手足を喪失してたり、血泡を吹いていたりした奴がいたので(こういうグロ映像にも耐性がついてきたな……)、近くの回復をしていた魔法使いらしき男に聞いてみたが回復させられないらしい。そういえば、中位の回復魔法使いまでしか助っ人に来ていなかったな。しかもその人たちも、他の怪我人を回復させているのだが、かなり辛そうで息が荒い。……あれって魔力切れとか言うのだろうか? もう手いっぱいという感じだな。


「一応、ギルドマスターからは聞いているが、私が回復魔法を使える件に関して、領主がちゃんと対応してくれるということでいいんだな。」

「はい、自分はそのように聞いております」


 一緒についてきた領主軍の人に一応確認する。まあ、一隊員がそこまで詳しく知っているとは思わないが、


「ならいい。そっちの3人の治療をするからどいてくれ」


 パーティーメンバーだろう人が一緒にいるがどかせて、エクスヒールをかける。


 3人ともすぐ治った。


 それに、一応私の方もエクスヒール3回使ったが特に魔力切れとかの症状はない。そう言えば自分の最大魔力とかいまだに把握して無かったな。後でやろう後でやろうと思って結局やらないパターンだ。


 いきなり痛みが消えたのか、死にかけだった3人は何が何だかわからないようだ。そこにパーティーメンバーがよかったとか言いながら抱き着いている。うんうんよかったね。


 それと、回復を行っていた教会の魔法使いがこっちを見てめっちゃ驚いている。あと周りの怪我を治療中の冒険者も似たような反応だ。これ大丈夫だよな。ちゃんと領主さんが守ってくれるんですよね。


「あ、ノワール様! お帰りなさい!」

「ああ、ただいま。」


 近くで馬車と一緒にいたソレイユちゃんがお出迎えしてくれた。少女のお出迎えとか心が癒されるね。ハグしたい。


 少しするとクライスデールさんが現れた。


「よーし、全員治ったか? あの魔物の死体は領主軍の方が、今、街に早馬を走らせている。ここには領主軍が見張りにつくから、俺らは先に帰るぞ! あと、領主様には話が通っているが、こっちのお嬢ちゃんが回復魔法を使えることはなるべく他言しないでくれ」


 いや、それ教会の人がいる前で言っちゃっていいんですかね。



 その後は街へ戻るだけだった。西門に着いたのが夕方頃だったのでその場で解散だ。今日はゆっくり休んで、明日、ギルドへ再集合。そこで今回の討伐の報酬などが支払われるらしい。

 8名ほどの犠牲が出たがアイアンリザード相手ならその程度は許容範囲らしい。一応損害が大きくなりそうなら、ある程度弱らせたところで領主軍にバトンタッチするという作戦もあったそうだが、今回は順調だったので冒険者のみで対処したらしい。

 私にとっては8名死亡は結構大きな損害だと思うのだが……まあその辺は命の価値の違いというやつだろうか。


 ◇◇◇


 次の日ギルドへ行ったのだが、昨日回復させた冒険者パーティーだろうか、がお礼を言ってきた。お礼を言われるのは普通にうれしいのだが、大の男が涙と鼻水たらしながら顔を近づけてくるのはやめてほしい。


「あれが、黒い天使様」

「黒い天使様……」


 あと、昨日の話が伝わっているのか、かなりの人間がこっちに注目している。黒い天使ってなんだ?


「こんにちはノワールさん」


 お、ちょうどいいところにコラット、ソマリ兄妹が、


「昨日のあの回復魔法すごかったですね。さすが黒い天使様と呼ばれるだけはあります。」

「……その黒い天使様ってなんだ?」

「えっと、昨日のあの死にかけの3人を救ったのでそう言う2つ名がついたみたいです。」


 ソマリちゃんが教えてくれる……え? そんな中二な2つ名が普通につくの? て言うか、黒い天使様ってなんだよ。黒いって、堕天してるじゃん。


「おーし全員集まってるな! これよりギルドマスターより報酬が渡されるからな全員静かにするように!」


 みんなのリーダー、クライスデールさんがやってきた。その後ろにギルドマスターと袋を抱えた職員が続く。あの袋は報酬かな?


「みなさん、昨日はお疲れ様でした。昨日の討伐では――――」


 その後、ギルドマスターが話し始めるのだが……長いよ! 朝礼時の校長先生の話みたいになっているよ。周りの冒険者もちょっとイライラしだしている


「――――ですので、今から報酬の配りたいと思います」


 おお! と、みんながざわついている。そして、ギルドマスターが隣に続いていた職員から小袋を受け取って冒険者一人一人に手渡ししていく。


 私の番だな、


「ノワールさんお疲れ様でした。今回、回復も手伝っていただいたので、多少他の人より多めにしていますので」


 そう言って小袋を渡してくれる。……中をのぞいてみると、おお、結構入っているな。金貨で100枚近く入っているのではないだろうか。

1日の報酬としては破格だろう。危険やレベルに見合っているかどうかと聞かれると分からないが。

 ロックリザードではなくアイアンリザードだったことで、かなり多くなったようだ。その上私は回復の分、色を付けてもらったらしいからな。

 なおこのお金は、今回の依頼の報酬と合わせて、領主の方にアイアンリザードの素材を売った分も含まれるのでこんな大金になったらしい。


 これで武器を新調できるかな。


 その後はもうすぐに解散となった。というかみんなお金を受け取った後は思い思いにおしゃべりしたり、ギルドを出て行ったりしてたので自然解散という感じだ。


 よーし、少し休んだら、武器の新調に行くぞ……と、その前にギルドに練習場があるらしいので寄ってみよう。


 英気を養うため何日かだらだらした。


黒い天使様(笑)という二つ名ですが今後出てくる予定がないです……

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