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24 奴隷の扱い 3

「すみません。取り乱しました。」

「で? どうかな? 腕の方に問題はあるか?」

「いえ、特にありません。……あの! ご主人様! ありがとうございました。」

「いや、ソレイユこそ痛かったろうによく我慢したな」

「あ、はい、斬られたときは痛かったですけど……腕を元に戻すためだったんですね。」


 めっちゃキラキラした目でこっちを見てくる。少しこそばゆいな。あと、なんだろうか口調が少しましになったな。さっきまで途切れ途切れで話していたのに。エクスヒールって栄養状態も回復するのか?


「ご、ご主人様! さ、先ほどのは回復魔法ですよね! ご主人様は回復魔法が使えるのですか。すごいです。」


 ああ、そういや回復魔法の事、口止めしておかないとな。


「とりあえず、服を着なさい。あと、回復魔法の件はなるべく口外しないように」

「え、どうしてですか? こんなに素晴らしいのに」

「いや、上位の回復魔法は教会の管轄らしいから。特に教会に興味はないんだよ私は。」

「わ、わかりました。ぜっったいしゃべりません。」

「うん、そうしてくれると助かる。あと早く服を着なさい。風邪をひくぞ。」

「あ、はい」


 いそいそと服を着ていく。あ、そうだ。


「それとそのご主人様というのはどうにかならないか?」

「え? い、いけなかったでしょうか?」

「いけないというわけではないが、……普通奴隷は主人のことを何と呼んでいるんだ?」

「……ご主人様だと思いますが……あの、気に入らないのでしたら……」

「いや、気に入らないとかではなくて、呼ばれ慣れていなくてな。ほら何かあるだろう……一応名前はノワールというんだし、……ノワールさんとか……」

「……で、では、の、ノワール様で……」

「だからその様というのを……いや、まあいいや。うん。それでいいよ。」


 まあ、妥協してくれたみたいだしいいだろう。これから慣れていこう。とりあえず着替えが終わって、今が午後3時頃といったところか、夕食には少し早いな…………ヤバイ、さっき斬った際の血が床にシミを作ってしまっている。……女将さんに汚すなと言われているのに……


「は、早く拭くんだ!」

「え、あ、はい!」


 あわてて、床を2人で拭く。


「やばかった」


 一応目立たない程度には拭けたと思うのだが……あ、さっき斬ったソレイユちゃんの腕の肉片が……これはどうしようもないのでアイテムボックスに放り込んでおく。あとで処分しよう。


 まだ少し時間があるな。少し冒険者ギルドを見て行ってみるか。依頼を受けるのは無理だが、確かあそこには魔物とかの資料を一般に開放していたはずだ。ちなみに写して持って帰る場合はお金を取られる。



 冒険者ギルドに着くと、とりあえずカウンターに行く。もちろんサレールさんのカウンターだ。え? 今日もいない? 休み? ……仕方ない、また空いているカウンターに行くか。


「すまない。少し聞きたいことがあるのだが」

「はい、何でしょう?」

「奴隷を冒険者登録させることはできるのだろうか?」

「ああ、できませんね。奴隷は基本、所有者のものですので、もし何か奴隷が依頼を達成などされたら、それは主人の功績となります。」

「そうか……ん? それなら、奴隷を使って依頼を達成させて、ランクを上げようとか考える奴がいるんじゃないのか?」

「まあ、そういう手合いがいないとは言えませんが。そういうのは基本、報酬目当ての人たちですね。ランクを上げる際にはちゃんと審査しますので、そう言ったことでランクは上がりませんよ。」

「そうか、……わかった。ありがとう」


 そう言ってカウンターを後にしたんだが、……え? 私、ギルドマスター権限とかでDランクまで上がったんだが……審査? とか無かったんですけど。


 まあいいや、その後、一般開放されている本を置いている本棚に行き、薬草関係の本を適当に持ってくる。


「こういった知識はあるか?」

「い、いえ」

「じゃあ、読んでおくといい。私は冒険者だからな、何か頼むことがあるかもしれん」

「わ、わかりました。頑張って覚えます。」


 いや、暗記する必要はないんだけどね。ちょっと知っておいてくれれば。……まあ、私は読んだことないんだけどねー。最近魔物の討伐依頼ばっかりだったし。薬草採集なんて最初に1回やったっきりだし。

 ……私も読んでおこう。

 そう思い、同じような本を本棚から取ってきて読む。


「……なんだこれ……」


 本なんだが、明らかに手書きだ……考えてみれば当たり前か。印刷技術とか無いんだろう。……いや待て、魔道具とかあるんだし印刷できる謎道具とかあるんじゃないか? ただ、地球みたいに決まったフォントが無いだけかもしれない。


「まあ、読めるからいいか。」


 黙々と読んでいく

 黙々黙々……

 黙々……

 黙…

 すやぁ……


「……はっ! 寝てしまう所だった。…………それにしても知らないことだらけだな。」


 この前の薬草採集だってその薬草がどう使われるのか知らなかったしな。この前の薬草はポーションの材料として使用されるようだ。

 ポーションとか言うのもよく分かっていない。単純に考えれば水薬なのだが、前の世界のものと違って即効性があるようだ。

 特に、回復魔法が教会の管轄なので、冒険で傷ついた人なんかは教会に行くまで待てないからこのポーションに頼ることになる。……たまにヒール程度なら使える魔法使いがいるそうだが……

 ポーションにも回復魔法と同じく回復量に応じたランク分けみたいなものがあるらしい。最上級の回復ポーションなんか誰が買うの? とか言うレベルの値段だ。一番安いものでも1回の使いきりだと考えると結構なお値段だ。

 そのほかにも、解毒ポーションや麻痺を治すポーションなんてものもある。まあこの辺は、私は〈回復魔法〉や〈全状態異常無効化〉のスキルがあるので関係ないが……いや、ソレイユちゃんに持たせておいた方がいいかな。何かあったときに、私がそばにいないということがあるかもしれないし。


「あと、魔物の方の本も読んでおいた方がいいだろうか?」


 魔物にも結構な種類がいるそうだし……いや、また今度にしよう。もう暗くなってきたしな。

 隣で同じように本を読んでいるソレイユちゃんに声をかける。黙々と読んでいるな。


「おーい」

「はっ! はい!」

「そろそろ帰ろうか」

「え? ああ、そうですね」


 その日は、本を返して宿に帰った。


 ……あ、床に座るなって言うの忘れてた。


「汚いので椅子に座りなさい。今後もだ。」

「あ、は、はい! すいません。せっかく買ってもらった服なのに。」

「いや、そういうことではないのだが……」


コミュニケーションが難しい……


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