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02 転生しました 1

「うむぅ……。」


 意識が覚醒してきて、今自分が横になっているとわかる。ゆっくりと目を開けてみた。


「知らないてんじ――あ、空だった……」


 一回やってみたかったネタだがそもそも天井がなかった。

 ゆっくりと上半身を起こす。

 周囲を見る。

右手には小さめの湖がある。日の光を反射してキラキラ輝いている。

左手には森がある。木がうっそうと茂っている。奥の方が暗くてよく見えないぐらい茂っている。

 俺はその湖と森の間の草むらに寝ていたようだ。

 なるほど、ここが天使が言っていた地球とは違う世界か。日本のどこかや地球の他の国という感じは、なぜかしなかった。事前に説明されたからだろうか? なんといえばいいのだろうかよくわからないな。すっと理解したという感じだろうか。

 ……しかし、何もないな。とりあえずは、

 

「ここはどこ? 私は誰? ……やめよう、むなしくなる。」

 

 ゆっくりと立ち上がる。草むらに寝ていたせいで体のいたるところに草や土がついている。

 少し伸びをしてみるが、体が固まっている感じはなかったので、長時間地面に横になっていたという感じではないのだろう。意識が途切れる前の記憶を思い返し、今の状態を考えると、異世界に放り出されて、すぐ目が覚めた感じか?


「さて、先ほどから気になっていることを確かめていこうか。」

 

 声に出したことで不安が強くなる。だって俺の声じゃない。なんというか女の子みたいな可愛らしい声だ。でも自分が発しているとわかる。だからこそ何だろう妙な気分だ。むずむずする。

 あと、体についていた草や土を払っているときに気が付いた。頭の上に何かついている。あと、胸と尻にも何かついている。やばい、なんだこれ?


「とりあえず確認を……どうやって確認するんだよ!」


 などと自分で自分に突っ込みを入れている場合じゃない。天使さんの言う事が確かならここはファンタジーな異世界のはずだ。ならば、あれがあるんじゃないか。レベルというかそういうのを見る方法。そう、ステータスとかいうやつだ。今になって思い出したが、自分はラノベなんかも色々と読んでいた。だから無論、異世界転生ものなんかも多少ではあるがかじっている。ステータスなんてどうやって誰が測っているんだよ。とか、現実にHP1の状態で放置したらどうなるの? とかどうでもいいことなんかを考えたこともある。

 そういえば、転生管理事務所? ではなぜか異世界転生の可能性を考えなかった。なぜだろう?普通に思いつきそうなものだが……。

 まあ今はそんなことより確認すべきことがある。


「むん、ステータス」


 ……出ない。


 ならば、手を前に出して腰を落として、こう、手から何かを出すような感じで、ホォウァー


「出でよ、ステータス!」 


 ……出ない。


 頭から何か、みょんみょんと出すように、こめかみをもみながら、みょんみょんみょん

 

 「むむむ、はぁ!」 


 ……出ない。

 え?もしかして無いの、ステータスさん。おーい、出てきておくれよ。ほれほれ、そんなに怖がらないで。ほら、いい子だから出でおいでー……


「……出てこない。」


 これは、どうするべきか。ステータスがないとなるとこの世界はレベル制ではないのかもしれない。うーん。と目をつぶって考えていると、目をつぶっているはずなのになぜか文字みたいなものが浮かんでいる。ん? ん~?

 目を開けた後、よく目を凝らしてみると文字列が並んでいる。すわ、もしやステータスか。


 今度はその文字を見ようとしながら目に力を流し込む感じで「ステータス」と言ってみる。するとくっきりと見えるようになった。なるほど、目の前に半透明の画面が出てくるような仕様ではなく、網膜投影みたいな感じだったのか。確かに他人に見られるといったことを考えるとこの方がいい気がする。

 まあ、とりあえずはステータスだ。確認だ。

 


名前:(無し)

種族:狐人族

年齢:18歳

性別:女性

レベル:1

スキル:鑑定眼Lv.10

    全状態異常無効化Lv.10

    気配察知Lv.10

    回復魔法Lv.10

    肉体強化Lv.10

    腕力強化Lv.10

    脚力強化Lv.10

    剣技Lv.10

    アイテムボックスLv.10



「おひょう!」


 妙にかわいらしい悲鳴が出た。


「……お、お、落ち着け。落ち着くんだ。まだあわてるような時間じゃない。」

「ふー ふー はー」


 とりあえず深呼吸をしてみる。そして、再度ステータスを確認。

 うん。見間違いじゃないな。


 性別:女性


「……なっ、なんじゃこれー!!」

「えっ、なにこれ? マジなの? マジで?」


 とりあえず確認だ、確認。……ど、ど、どうすれば確認できる。

 そ、そうだ、すぐそこに湖があった。水もきれいだったし自分の姿を映すことができるんではないだろうか。

 

 そう思い湖のすぐ(ふち)に立ち、恐る恐る湖面を覗き込む。

 かわいい女の子がいた。ケモノ耳とシッポを生やした超美少女だ。

 

 頭にある耳を触ってみる。水面に映っている少女も同じ動作をする。モフモフモフ……

 尻についているシッポを触ってみる。水面に映っている少女も同じ動作をする。モフモフモフ……

 胸についているおっぱいを触ってみる。水面に映っている少女も同じ動作をする。モミモミモミ……


「……ちゃうねん。そうじゃないねん。」


 手をついて四つん這いになった。俗にいうorzのポーズだ。

 自分の姿を見たときに、スーッと理解した。というか理解できてしまった。ああこれはまごうことなき自分だと。転生前の自分とまったく姿が、というか性別すら違うというのになぜか頭が理解している。


 じゃあなぜ、耳やシッポ、おっぱいを触ったのかって? そりゃあねぇ、あれだよ、男の性っていうの、ねぇ。まあ、結果は全然楽しくなかったわけだが。

 いや確かに転生前にはケモ耳っ娘かわいいな~。嫁にしたい。とか、女の子のおっぱい揉みたい。とか思ったことあるよ。しかしこれはないだろう。なんで自分がケモ耳美少女になってんの? 違うだろ! そういうのは恋人とか嫁にしたいんであって自分がなりたいんじゃないんだよ!

 多分、というか十中八九、転生管理事務所であの転生用の機械が壊れたことが原因だろう。どうすんだよこれ? リコールとか効かないの? そもそも連絡手段がないよ。

 しかし、ずっとこうしているわけにもいかない。とりあえず立ち上がってもう一度水面の自分の姿を見てみる。


 ここで再度ステータスをオープン。2回目ともなると使い方もなんとなくわかってくるのでスムーズだ。


 種族:狐人族


 多分、耳とシッポはこれだろう。しかしなんだろう、耳とかの毛が黒い。狐の毛って茶色じゃなかったか? 赤い狐と緑の狸なら知っているのだが、黒い狐? 俺が知らないだけで黒い狐とかいたのだろうか。もしくは、この世界にはいるとかか?

 あとは、年齢も18歳になっている。転生前はすでに成人していたので若返っている。……18歳にしては少々幼い顔立ちだったような気もするが。あれ? 18歳ということは美少女じゃなくて美女か?

 

 取り合えず、周囲を見渡して誰もいないことを確認してみる。あとこの耳のせいか耳がよくなっている気がするので耳を澄まして何かいそうな音がしないかどうかも確認した後、思い切って服を脱いでみた。スポーン! ワンピースを脱ぐと全裸になる。……下着とかつけてなかったぜ。

 再度、水面で姿を確認する。

 

 腰まで伸びた黒い髪に頭に生えた耳がキュート。シッポも同じく黒くて先端が白っぽくなっている。しかもわりとボリューミー。顔立ちは非常に整っており贔屓目に見ても美人だろう(見た目幼いのでギリ美少女といってもいいかもしれない)。胸は巨乳といってもいい程度であろうか。腰もくびれており、ボンキュッボンというほど肉感的ではない(というかそもそもそこまで大人な外見には見えない)が、非常に均整がとれている。ただ、服は質素な白のワンピース一枚だけで下着すら無い。スッポンポンで放り出されたわけではないらしいがもう少しサービスしてくれても……

 

 と、ところで狐耳美女の全裸を水面越しにだが見ているのに全然興奮しない。というか、興奮する部分がなかった。


 おおムスコよ逝ってしまうとは情けない。……ムスコがいなかった。前世では童貞で魔法使い予備軍だったが、ついに実戦使用することなく逝ってしまわれたようだ。わりといいやつだったのに……


 とりあえず、再度胸を触ってみよう。さっきは服の上からだったし、生で触ると何か新しい発見があるかもしれないしな。へっへっへ


 ……もみもみ

 ……もみもみもみもみもみもみ


 「コレジャナイ……」


ようやく異世界へきました

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