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150 世界観の崩壊 3

 ゴォォォ! とエンジン部を90度回転させ炎を吹きながら垂直着陸する宇宙船。それを見てざわめく皆。

 『船』として見れば普通かも知れないが、『航空機』としてみれば非常に大きな機体。それが皆の前に着陸する。


「見たことの無い魔物です」

「なんじゃこヤツは!」

「ヤバいですわ。黒くて大きくて硬そうですわよ!」

「いや、これは魔物では無いのではござらんか?」


 その姿を見て、皆が警戒し、構え、武器に手を伸ばす。


「待って! 違うの! 魔物じゃ無いの! 説明するから! 待って!」


 もうさっきからビックリしすぎて私の“出来る女”キャラがブレブレである。もうこの世界に来て長いんだし、このキャラもすっかり定着してきたと思っていたのだが。


「――んっん゛ん゛っ……待って欲しい。警戒する必要は無い。あれは私が邪神から手に入れた戦利品だ。」

「戦利品じゃと?」

「どういうことですの?」


 何とかキャラを戻しつつ皆に説明する。


「魔王城を探索中に地下に初代勇者が封印した邪神を見つけたんだ――」


 何とか言葉を選びつつ説明するのだが、大丈夫だろうか。邪神とか宇宙人とか分かるのか?


「まあ、初代勇者様が封印した邪神ですか」

「邪神というと“ウロボロス”が有名ですね」


 私の説明に、アリシアさんとカーマインさんが声を上げる。“ウロボロス”と言うものは私は知らないな。やはり現地の貴族だけあって歴史にも詳しいのだろう。


「ウロボロス? いや“プラウラー”という名前だったが。どうも言葉が通じないため間違って封印されたようで、実際には邪神では無かったのだが……宇宙人って分かるかな?」

「う、ウチュウ人ですか?」

「それは国の名前ですか? それとも人種の名称?」


 うーんどうしたものか?


「空に浮かぶ星は分かるな? それは全て太陽のように自分が光っていて……うーん……」


 うーん、恒星、惑星云々って説明すると何気に難しいな。


「……空の星々には私達と同じように人が住んでいるところがあって……」


「何を言っていますの? よく分かりませんわ。」

「確か聞いたことがあります。確か私達の住む地面は丸いとかいう学説があったような……」


 待て待て、そこからか……そもそもこの世界の惑星の定義とかどうなっているんだ? 冒険者に関係ないからその辺全然知らないぞ。天動説万歳の世界なのか?


「説明はもっと時間をかけてしよう。とにかくあれは邪神と間違えられて封印された“プラウラー”と言う人がいたんだがその人が乗っていた乗り物なんだ。」

「乗り物……馬車……いえ、船のような物ですか?」

「そう、もっと高度で星の海を渡る船なんだ。今は私の支配下にある」

「フォォォ! なぜファンタジー世界にSF要素を盛り込んだのでござるか!?」


 ヤマモトが何か言っているが無視だ。

 とりあえず帰り道に時間をかけて説明するとして、今は目の前の宇宙船が敵では無いことが分かれば良い。


「これが乗り物……」

「大きいですね……以前に見た軍船より大きいです」


 皆、私の言葉を信じたようで宇宙船を遠巻きに眺めている。宇宙船はこの時代の帆船と比較しても大きい。地球の艦船類と比較するなら小さい部類だが。


 さてこの辺りで宇宙船の説明をしておこう。胴体が中央にドーンとあり、前方にコックピット。両脇にエンジンがある。側面は人間用の、後部には大型のカーゴドアが設置されている。

――と、こういう説明をすれば地球の軍用輸送機と同じ配置のように聞こえるが全く違う。大型ヘリコプターやティルトローター機の方が近い。

 まず見た目であるが『亀』のようだ。甲羅の部分が胴体となっており、各種機械類、居住区、荷物室がある。頭の部分にコックピット。手足の部分が4基のエンジンとなっている。

 生物や航空機のような流線型では無く全体的に角張っている。宇宙だと空気抵抗がないのでこれでも良いんだろう。翼は一応あるのだが胴体に比して非常に小さく揚力では無くエンジンパワーで飛んでいるようだ。

 武装の類いはデブリ除去用の砲が2門。

 クルーはプラウラーさん一人だったが、製造メーカー推奨は5~8名。補助AIを使用すれば一人でも動かせるらしいが。

 この宇宙船は探査船扱いなのだが、どちらかというと調査員や調査機器の移動目的で使用する為、比較的小型のようだ。


 と言うのが外見とラプラスから得た情報。


『〈ラプラス〉よりノワールへ。宇宙船〈シルトクレーテ〉は経年劣化による損傷が少なからずあります。また、燃料が1割を切っています。早急にギガ進化を要請。』


 ここでラプラスが思考に割って入ってきた。どうやらギガ進化……自分と同じ事をやって欲しいらしいのだが、大丈夫だろうか? また変なことになったりしない?


『不明。〈ラプラス〉の能力を持ってしても予測は不可能です。』


 うーん、触れて魔力を流し込むとまたおかしな事になりそうだ。離れた位置から魔力をちょっと流し込む感じで、


 むぅん! スキル〈錬金術〉〈鍛冶〉〈細工師〉〈魔道具技師〉! 称号〈神代の鍛冶師〉!


 みょんみょんみょん! と魔力を送り込んだ。少しすると抵抗感があったので魔力を送り込むのを止めた。これでどうなった? 足りなければもっと近づいてやってみるか?


『成功。宇宙船〈シルトクレーテ〉は進化しました。』


 おっと、成功したらしい。外見は変わっていないが、どれどれ……〈鑑定眼〉始動!



名称:シルトクレーテⅡ

種類:探査用宇宙船

全長:70m

メインエンジン:ヒッグス場制御によるワームホール機関

武装:粒子砲×2、空間偏向シールド等

所有者:ノワール

能力:銀河間移動、ワープ、重力制御、他多数

説明:別銀河探査用の宇宙船。特殊なワープ機能により宇宙のどこでも100日以内に移動が可能。探査船のため居住性は中程度。荷物もいっぱい乗る。ナノマシン技術により自己修復機能を所持。メインエンジンを含めエネルギー切れの心配無しと燃費は極上。ただし生活用品は自動では補充されません。



 よく分かりませんね。凄い宇宙船としか……最も身近な宇宙船がスペースシャトルだからね。アニメに出てくるような宇宙船クラスの性能はあるのだろうか? マ○ロスとか?


『それ以上です。現状望める最高レベルの宇宙船となるでしょう。』


 ……良くわらからないし、移動手段として考えておけばいいや。まあ別に自動車の構造を完全に理解していなくても免許は取れるし。

それに、これで飛行しての移動が可能になるわけだし、将来的にはこの世界(惑星)の他の大陸とか行ってみたりしたいな。


 とにかく、まずは帰り道だ。これに乗れば多分すぐに人間領――エドクス王国まで行けるだろう。


「と言うわけで皆、これに乗って凱旋だ!」


 ヘイカモン! とジェスチャーをするも皆困惑顔だ。分かるよ。どうやって乗るんだろうね。ドアノブどこだよ。


「なにが、と言うわけでなんです」

「これに乗るんですか? どうやって?」

「どこまでもついて行きます。王よ」


 ラプラスに聞いてみる。

 馬車も持って帰らないといけないので、後部ドアを開けたいのだが。


『思考による操作が可能です。』


 考えれば実行できるそうだ。SF作品とか見ると音声操作とか思考操作とかあるけど、あれって言い間違いや雑念とかが混じったら誤作動するんじゃ無いかといつも思っている。


『指向性のある思考にのみ反応します。』

「それってギャグか?」

『……』


 まあ、とにかく考えれば良いんだな。オープンドア! と念じるというか普通に考えたらガコン! 音がして黄色いランプが回転しながら後部ドアが開いた。


「なんじゃこやつ、ケツが開いたぞ!」


 その光景に皆が驚いている。まあ生き物だったらどういうヤツなんだよと思うだろうが、


「これ、乗り物だって言っただろ。後ろから荷物の積み卸しをするのは馬車も同じだろうに」


 そう言って先頭に立ち、後部ドアを上って船内に入る。胴体部の後部が荷物室になっているのだが広いな。全長でいえばジャンボジェット機ぐらいあるのだが、この宇宙船は横にも広いため余計に広く感じる。馬車とか余裕で乗るだろう。


「ソレイユちゃん。悪いけど馬車をこっちまで持ってきて」

「あ、はい、分かりました。」


 そう言って馬車を取りに戻ってすぐに戻ってくる。馬たちはおとなしいもので、ソレイユちゃんの指示に従いゆっくりとカーゴドアを上って荷室に入ってくる。


「そこいらの壁に繋いでおいて。多分気密とか大丈夫だと思うけれど。」


 さあ、皆乗ったな。ドアを閉めて出発だ!

宇宙船の大きさはジャンボジェット機が70mちょいだったのでそれぐらいにしてますが、これで十分な居住性を確保できるのかは不明。船で70mてどのぐらい?

あと、SFっぽい用語については適当なので聞かれても答えられません。

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