表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
151/166

142 決着

視点変更あり

 はいノワールちゃんです。

 今まさに戦いの行方が決まる! と言う所ですね。

 何気にヤマモト君頑張っているね。レベル差から早々にアリシアさん達主体になるかと思いきや、もう長い時間ヤマモトが中心で主役を張っている。

 凄いぜ、ヤマモト。一緒に旅した中で精神面は非常に誠実で正義感の強い人物だと言うことは分かっていたが。これでイケメンだったら言うこと無いんだろうね。


 さて、私は早々に魔王に吹っ飛ばされてフェードアウト。

 鎧を壊されたのは非常に残念だった。剣『レウィシア』と盾『ラナンキュラス』、拳銃は回収済み。そのぐらいの時間であればヤマモトでも戦線を維持できるであろうと考えて別々の場所に飛ばされていたのを回収してきた。

 その後戦場に戻ろうと思ったが、タイミングを計りかね今に至る。


 ヤマモトが頑張っているしソレイユちゃんやアリシアさんたちも絶妙な位置取りでヤマモトを目立たせている。

 あれであればもうちょっと持たせられるかと思い着替えも行うことにした。鎧を脱ぎインナー……タイツっぽい下着だけだからな今。

 戦闘に耐えられるようなアクティブな服なんてあったかな……




 はい、着替えました! 着替えシーン? そんなの無いよ?

 動きやすさを重視して短パンにスポーティーなブラ着用。靴はかなり前に購入していたスニーカー(みたいな靴)を、あと何気に着る機会が無かったジャケットを羽織っている。このジャケット、店頭で見て気に入っていたんだけれど着る機会無かったんだよね。全体のコーディネイトとしては近未来風? サイバーパンク? とかそんな感じ。

 中世風のこの世界でやると絶対に浮くので出来なかったデザインだ。魔王領なら目撃者もあまりいないしいいだろう。

 それにしても、いやー、素材がいいとこういう格好も様になるよね(自画自賛)。


 となると、剣と盾は合わないな……ごめんね(アイテムボックスにポイー)。銃はカービン化キットを外し、拳銃に戻して腰にホルスターをつけてそこに装着させる。こういう格好だと銃とかが妙に似合う。


 さてさて戦況は、おおっと、あの魔王何気にすばしっこいな。ヤマモト君だけでは無くてアリシアさんですら捉えきれていない。

 というか、私も捉えられない。どういうことだ。今もヤマモトの一撃を躱して消えた魔王が、全く別の場所から現れて一撃を加える。どうにか気付いて受け止めるヤマモトであるが、このままではジリ貧。

 昔の偉い人が言いました。「当たらなければどうと言うことは無い」と言う状態かな。ヤマモト達の方は疲労が蓄積して言っている感じだし。


 戦場を離れた位置から俯瞰できるというのは、思えばいいことであるのかも知れない。あそこに突っ込んでいっても解決策が無いしな……


 ヤマモトはアリシアさん達と連携をとり前後左右から挟撃をかけようとするも又消えた。


 ……あれ、おかしくない?


 さすがに同レベル帯のアリシアさん達の目まですり抜けるというのはちょっと考えられない。

 おっと今ヤマモト君が大技で魔王の上半身を吹っ飛ばしたぞ! レベル差が凄いのにやるな! ヤマモト!

 

……んん!? 死んでないぞ!?


 うーん、あの回復スピード……(コア)のある系の魔物だろうか。うーん、なにかカラクリがあるのかも知れない。スキル〈気配察知〉等も使用してよーく見てみる。よーく、よーく……


その結果はすぐに出た。

 何のことは無い、使い古された手だった。あのドラ○もんですら劇場版で出てきた手だ。


 まあつまり本体は別のところにあって、今ヤマモト達が戦っているのは腕とか足とかの部分になるのだ。

 じゃあ本体はどこかというとおそらく下である。……つまり地下……では無くヤマモト達のいる一帯の地面が魔王の体となっている。だって〈気配察知〉が反応したし。でもちょっと妙だ。気配が若干希薄というか、ぶれていると言うか……

 ただ、まあ、魔王が消えたり現れたりしているのは、多分モグラたたきの要領だ。地面に引っ込んで別のところからニョキッと出てくる。

 だからさっきの前後左右の挟撃なんかも躱されたのだ。魔王は()に逃げていたのだ。


 タネが分かると「なんだぁ」といった感じ。まあ分かっているから言えることなんだろうけれど。


 そう考えると確かにその予兆みたいなのはあった。ヤマモトやアリシアさんが周囲に被害を与えたり、地面を大きく削るような攻撃をすると魔王の動きが鈍っていた…………ような気がする。


 となると魔王が言っていた【木製人】と言う技、実は【土製人】では無いのか?


 ただ、そうなると別の問題も出てくる。魔王の体が大きすぎてさらに人型で無いため、急所などが分からない。まあ最終的にはあの辺り全て吹き飛ばせばいいのかも知れないが。

 うーん何か無いだろうか……〈鑑定眼〉は弱点とか分かるのだっけ? ……そういえば確か称号に〈神眼〉と言うのがあったはず。これなんとなく使えそうじゃね?


「〈神眼〉!」


 掌を目の前に持ってきて指の間から対象を見るポーズを決めながら技名を叫んで魔王を見てみる。


 …………

 ……

 …


 何も起きなかった。そもそも称号〈神眼〉て何よ?


 ん? でもなにか妙な感覚が……おお! 何か精神面に変化が! ……ただなんとなくムカムカしてきただけだった。しかし――

 おや? 魔王の姿が見える。見えるぞ! (〈勇者王〉の能力)


 魔王の本質は存在力。スライムのような不定形生物でも、植物系の魔物でも無い……空間操作? さらに魔王の中心は次元の狭間に潜っている! 体は地面だがコアは異次元! 何と高度なっ!

 さっきドヤ顔で地面が本体! とか言っちゃったのが恥ずかしいっ!


 ……で、本体どこ?


 ムムム……いるな。


「……そこだっ!!」


 何も無い虚空に抜き手を放つとその手の先――指の先端が揺らめき次元の狭間に突き刺さる。


「どぉらっしゃぁぁ!!」


 そしてそのまま布を裂くように空間をひん曲げると、目の前の空間が裂け、真っ暗な空間が現れた。そしてその中に浮かぶ妙にリアルな青い心臓。

 その心臓はどくんどくんと脈打っていた。


  タッタッタンッ!


 腰に差していた拳銃を抜きその心臓めがけて鉛弾を打ち込む。レベル300越えなので多少心配だったが普通に効果があったようだ。


 穴だらけになった心臓は、脈打つ力がだんだんと弱くなりそしてしぼんで、最後にはミイラのようになって……そしてそこからさらに砂のようにサラサラと崩れていった。


 これで一件落着! ……なのだろうか?


 引き裂いてしまった空間をペタペタと貼り付けながら考える。

 えーとアレ本体だよな?



 ポーン! 称号『次元の渡航者』を獲得しました。



 ◇◇◇



 魔王と対峙する勇者達。その顔には焦りの色が混じる。


「くそぉでござる! このままではっ!」

「まさか私すら追いつけないなんて……」

「さすがは魔王と言ったところか」


「フフフ、どうした? もう終わりか勇者達よ。意外にあっけないものだ。まあ絶対強者の私に挑んだのだ。妥当な結末であろう。では行くぞ! 【メガス――――グッギャァァァァァァァァァッッッッッ!!!!」


 余裕の表情で勇者達を見ていた魔王。そうして勝敗を決定づける一撃を放とうとしたまさにその瞬間、魔王の顔が驚愕、恐怖、激痛にゆがみ断末魔の悲鳴が辺り一帯に響き渡る。その悲鳴は魔王だけでは無く周囲の空間から発せられているようであり、地面が波打つ。


「な、なんでござるか!!」

「なっ! 地震!?」


 地響きから地面がまるで生き物のように波打ち、そうして……



 ――時間が経つにつれて徐々にそれは静まり、そして最後には最初から何事も無かったかのように勇者達と魔王がいて、そしてただの地面が周囲に広がる。


「な、何だったのでござるか?」


「おーい! ヤマモトー! 今だ、攻撃しろー!」


 そのとき最初に吹き飛ばされたノワールが大声を発しながらやってくる。


「ノワール様!」

「ご主人様!」


 その声に皆が反応し安堵した表情を浮かべる。


「いや、こっち見てないでさっさと止めさせよっ!」

「ぶべらぁっ!」


 棒立ちの魔王。その視線は先ほどもまでとは一点、混乱に満ちている。そんな魔王を放置してノワールの方を見ている状況に、ついイラッとしたノワールが合流すると同時にヤマモトに飛び膝蹴りをかます。


「そ、そうですわ! 魔王はまだ健在ですわよ、皆さん!」


 アリシアが慌てて魔王の方を向くが魔王は一向に動こうとしない。その状況にノワールを除いた皆が疑問を浮かべる。

 その中で回復が早かったのはダン子だ。


「ダンジョンアルゼンチンバックブリーカー!!」


 ちょろちょろと近づいていったダン子が体格の大きい魔王を担ぎ上げ中折りしようとする。誰もが体格差から成功しないであろうと予想するが、何とダン子は成功させ……それどころかベキベキ! という本当の木のような音を立て真っ二つに折れる魔王。


「な、何と!」


 それにヤマモトが驚愕する!


「ウワハハ! こやつ弱いぞ!」


 そのままダン子は姿勢を変え


「ダンジョンキャメルクラッチ!!」


 倒れた魔王の背後から乗りあげ首をへし折ろうとして……ベキベキィッ! と言う音と共に魔王の首がもげた。


「なんちゅう脆い魔王じゃ。」


 その魔王の首を手で掲げながらそう呟くダン子。


「はっ! ダン子殿、油断してはいけないでござる。とぉぉぉ!」

「はぁっ!」


 我に返ったヤマモトが剣を振るい魔王の体を切断する。そうしてそれに追撃を咥えるようにアリシアやフェン子が攻撃を加えていく。


「やっ、やめっ! あっ! あ゛ぁぁぁぁぁーーーーー!!!!」


 さっきとは打って変わって、なすすべ無く蹂躙される魔王。

 そのままヤマモト達による攻撃の連打が続きついに魔王はバラバラの木片に成り下がった。


「……やったでござるか?」


 何気にフラグを立てるヤマモトであるが、今回に限ってはフラグになり得ない。心臓を先に潰してしまったのだから。


「こ、これだけ粉々なんですし、死んだのでは?」

「気配も消えました」


 アリシア達も慎重に気配を探って魔王を倒したのか確認する。

 ソレイユやティーアは油断なく構えてはいるが魔王が再び動き出す気配は無い


 そうして一定時間が経過するも何も無い。


 ヤマモトの称号〈勇者〉とノワールの称号〈勇者王〉には直感的に分かった。魔王は死んだのだと。


 これにて魔王戦は終わることになる。

トリックとかはやっぱり苦手です。

何気に美味しいところを持って行くダン子

そしてファッションをコロコロ変える主人公

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ