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115 王様のお誘い

うーん、短いんで前話と合わせてもよかったかもです。

「さて、先ほど言った勧誘の件であるが……ノワール殿、ティーア殿、ソレイユ殿、魔王退治に興味はないかね?」

「「「は?」」」


 いきなりのことに私たちは全員で頭の上に?を浮かべた。


「ふむ……この世界に魔王がいるというのは知っているな」

「そのことならば」


 魔王という魔族を束ねるものがいるというのは知っている。魔族を束ねるといっても、すべての魔族というわけではなく人間に敵対的な者のみで構成され、さらに人間側を攻撃し自身の支配地域を広げようとしている。私見ではあるが見方によっては異種族による領土戦争と見ることもできた。

 ちなみに魔族の中にはティーアみたいな人間に友好的な者や興味のない者なども一定数いてそれらは魔王軍に参加していない。それぞれが勝手に暮らしている。なお少数ではあるが人間の街で暮らしていたりもする。


 まあそれはともかく、魔王軍というのは人間にとっては害となる集団である。特にトップの魔王は人間を絶滅させろ! というほどに過激な魔族であるそうだ。


「実はその件にて、魔王を退治するため我が国の友好国であるカモンヴェール王国が勇者召喚を行った。そうして順調に魔王軍に対抗していたのだが、少し前に勇者殿のパーティーが解散して、再度パーティーメンバーを集めているという情報が入った。そのため、我が国からもパーティーメンバーを出してはどうかという意見が各所から出ているのだよ。その際には是非君たちにと思ってね。……ちなみにティーア嬢は魔族であるがそのあたりはどうかね? 無論無理強いをするつもりはないが」

「私は別にかまわないわよぉ。同族サキュバスならともかく、魔族って言っても種類は様々だしぃ。人間より同族意識は薄いの。」


 これは以前にもティーアから聞いていた。サキュバスなどは人間の精を糧にしているため人間に対しては比較的友好的である。そのため魔王軍には参加していない。その他にも人間に友好的な魔族に分類される種族というのがある。あと、知能が低すぎて命令系統などを理解できない魔物なども魔王軍に参加していなかったりする。

 ちなみにサキュバスの経営するエッチなお店も人間族側の街にあったりする。極上の快楽を味わえるともっぱらの評判だ。尚、そこを利用した者は3日は賢者タイムがとけないらしい。


 まあ、それはともかくティーアがいいのであればこちらは特に断る理由などはないのだが


「なるほど、ティーア嬢は問題ないと。で、どうかね? ノワール嬢たちは実力も申し分ない。もちろん魔王討伐の暁には国としてそれなりの報酬を用意する。今のところ冒険者として何か長期の依頼など受けていないと聞いているが?」


 仕事の状況なども知られているようだ。


「それはその、ありがたいお話ですが……私たち冒険者ですよ?」

「かまわない。我が国から魔王討伐者が出ると言うことが重要なのだ。それは国益になる。君たちの素性も調べているが……素行などは問題ないと聞いている。フーカ公爵家やメープルローズ子爵アリシアさんとも仲がよいようだし、レベルは以前聞いているが十分どころではないだろう? あのレベルならば大活躍間違いなしだ。ならば推薦しない理由はないだろう。」


 冒険者と言うことは身元の保証がないという意味でもあるのだが、国の大物貴族と仲がいいということでそれを後ろ盾とすれば問題ないそうだ。人柄なんかも一応調査済みらしい。

 といっても私は18歳以前の経歴が不明だしティーアも封印前の経歴が不明だ。ソレイユちゃんはこの世界で生まれた人間のため調査すれば出生から調べられるのかもしれないが。


 まあ、別に私も変なことをしようとは思っていない。仲間の意思を確認すれば受けてもいい。そして、ティーアは問題ないと。ではソレイユちゃんは?


 ソレイユちゃんの方に目配せすると、私はノワール様に従います的な視線を返された……ような気がする。


 実質、王様の指名依頼のような物だ。仲間が問題ないのならいいだろう。魔王というのは話を聞く限りでは人間に敵対的なようだし。


「わかりました。そのお話お受けします。」

「おお、そうか! ありがたい。勇者殿はあと1週間程度でこの国に来るだろう。その後は勇者殿とパーティーを組み魔王を倒してほしい。」


 聞けば、すでにパーティーメンバーをこの国からも。という話はカモンヴェール王国側にしていたそうだ。私たちが受けなかった場合は、この国の将軍や隊長格の人物などそこそこのレベルで戦術などにも明るい人物や有望な冒険者などを見つけ推薦するつもりだったそうだ。

 ちなみに、アリシアさんやカーマインさんは爵位をもらったため現在非常に忙しくそういった暇が無いそうだ。

 人類の敵の魔王退治より書類仕事の方を優先とはどうなんだとも思うが、さすがに国として爵位持ちの貴族をホイホイ前線に放り込んだりはできないらしい。例外は指揮官として参戦する場合などであるがその場合は安全が確保されていたり、人間同士の争いであり捕虜が認められている場合などがほとんどである。(貴族の子息などは代りがいる場合これより扱いが軽い場合がある。)

 とはいえ国家存亡の危機などになればそんなことも関係なくなるのだが、今のところそこまで戦況は悪くないそうだ。


「必要な物資など詳しい話などは、勇者殿が合流してから詰めようと思っている。勇者殿が到着したら使いの者を屋敷にやるので、それまでは冒険者の依頼など受けないでいてくれると助かる。その間の生活費もこちらで持とう。……宰相」

「はい、こちらが1週間分の生活資金となります。念のため余裕を持たせてありますが足りなければおっしゃってください。」


 そう言って、宰相さんがテーブルの上にお金が入っていると思われる袋をどさっと置いた。別にお金には今は困っていないが、もらえるのであれば貰っておく。

 なお後で調べた結果6万フラム(約60万円)ほど入っていた。一人あたり1週間で20万円か……余裕だ。というか多くない? ただの騎士爵なのだが、王様の感覚だとこのぐらい使うとか思われているのかな?


「ありがとうございます。」


 お金の入った袋を受け取ってアイテムボックスにしまう。


「うむ、では勇者殿のパーティーメンバーの件、よろしく頼むぞ。」

「はい。」


 ティーアにこそっと聞いてみる。まあさっきも聞いたけれどティーアの方は本当に問題ないのだろうか。


「そう言えば、ティーアは本当によかったのか? 魔王軍に加わっていないとしても人間側に味方するのは?」

「別にかまわないわよぉ。人間側が魔族って一纏めにしているけれど、種族が違うと価値観から全く違ってくるの。この辺は人間族には分かりづらいかしらぁ」

「ふーん、そんなモンなのかね」


 よくわからないが別に人間側に味方したからと言って、肩身が狭くなったり良心が痛んだりはしないそうだ。むしろ魔族同士でも考えの違う者同士で争うのは当たり前なんだとか。

 最初の頃は人間族で言う人間と獣人、エルフとかの違い程度かと思っていた時期もあったがそれよりも違いが大きいらしい。



 まあとにかく、1週間は自宅待機という状態になったわけだ。一応生活資金も貰っているし、冒険者として活動しなくてもいいだろう。

 とはいえ、何もしないでだらだら過ごすのもあれなんで以前やっていた魔道具の制作なんかをまたやってみてもいいかもしれない。



「まあ、ちょっと待ちたまえ」


 会話も終わって今後の予定などを考えつつ、席を立とうとしたところで王様に声をかけられた。

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