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113 お呼び出し

 朝、パンとミルクにて朝食をとろうとしたが、朝食はそれだけと寂しいとソレイユちゃんがベーコンエッグとサラダを作ってくれた。

 食材は昨日の夕食に行った際に一緒に購入しておいた。結構遅くまで開いている店があったのでよかった。

 それにしても凄いぞ、ソレイユちゃん。片手間にそんなことができるなんて。ちなみに私は朝一で料理とかしたくない。


 そんなことでそれなりの朝食の後、冒険者ギルドに向かう。

 王様から言われたAランクへのランク変更手続きのためである。仕事についてはどうしようか? お金もあるし、この頃パーティーや引っ越し等でバタバタしていたから休んでもいいし。何かいい依頼があったら話し合いで受けるか決めてみてもいい。


「というわけで、どうする?」

「別に受けていいんじゃないかしらぁ」

「そうですね。休みすぎな気もしますし」


 あ、あれぇ。休んでもいいと思っていたのは私だけだったようだ。前世の土日とかの癖が抜けていないのだろうか。こっちでは7日(週)に1~2日休みとか決まっているわけでは無いみたいだし。それこそ冒険者なんて年中無休で活動してたりもする。



 冒険者ギルドに行くと、相変わらず私たちの肖像画と名前が飾ってある。ダンジョン攻略者として、次の攻略者が出るまではこのまま飾っておくそうだ。次の攻略者が出たり、攻略者が多くなってきたらその時に表示方法をまた考えるらしい。


「おや、仕事を受けに来たのかい?」


 なぜか、受付前にギルドマスターがいた。


「いや、今日はランクの変更手続きに来たんだが」

「ああ、そういえばそうだったね。ちょっと待ってな。おーい!」


 ギルドマスターが受付嬢に声をかけたら、手の空いていた人が対応してくれる。といってもすでに職員のほとんどは何度か見たことがあるが。今出てきた人も何度か対応してもらったことがある受付嬢だ。


「ランク変更ですね。少々お待ちください。これが黒いカードですか……あ、黒いカードといえば少し前にアリシアさんたちがランク変更で来ましたよ。――はい、できました。すごいですねえ、Aランクなんて。私初めて見ましたよ。」

「ありがとうございます。」


 受付嬢からギルドカードを返してもらうとランク表示がAになっていた。これだけだと微妙に実感がわかないな。カードの色が変わったときのほうがインパクトが大きかった。


「で、お嬢ちゃんたちはこれからどうするんだい? またダンジョンに行くのかい?」


 ギルドマスターが聞いてくるが、さすがにこの短期間で2度目のダンジョンアタックとかやろうとは思えない。


「いや、ダンジョンはさすがに……何か割のいい仕事はないだろうか?」

「ダンジョン外で割のいい仕事となると迷宮都市(こっち)じゃなくて王都側のギルドのほうがいいんじゃないか?」


 なるほど、習慣で迷宮都市側に来てしまったが、確かにダンジョン外だと王都側の方がいいのかもな。

 うーん、そうだな。


「じゃあ、王都側のギルドにも行ってみるよ」

「ああ、わかったよ。またこっちにも顔を出してくれよ。こっちのギルドじゃあんたらは有名人なんだから」

「わかった」


 ランクアップも済ましたし、ギルドを出て王都側に行ってみることにした。

 まあ、結果としてはそんな旨い話はなかったんだが。


 王都関連ということで移動中の護衛依頼だとか貴族関係の依頼がいろいろあったがいずれも拘束期間が長かった。やはり王都は物流の中心であり貴族も多いからだろうか。「屋敷の警備」なんていうのもあった。1年契約らしいが、冒険者に依頼するようなものなのだろうか。

 逆に討伐依頼などは少なかった。これも王都だから兵士さんが多いためだろうか。


 王都側のギルドにも話が伝わっていたのか、私たちに注目している冒険者の人は多かった。視線をひしひしと感じた。ただ、声をかけられたりはしなかった。遠巻きにひそひそと話をされている程度だ。どうも聞き耳を立てていると騎士爵とAランクということで『近づきがたい方々』になっているらしい。



 外で昼食をとって家に戻ってきたところで、家の前に誰かいるのに気づいた。誰だろうか? 近づいていくと相手の人もこちらに気づいたようで、


「ノワール様ですか?」

「はい、そうですが」

「王城よりこちらを預かっております。」


 そうして、手紙だろうか? クルクル巻いた巻物に蝋で封がされたものを渡された。


「では、明日馬車を回しますので、よろしくお願いします。」


 そういってその手紙を届けに来た人は戻って行ってしまった。

 何だったんだろうか?


「あら、手紙ねぇ。これ王族の紋章よ」

「え?」


 横からのぞき込んできたティーアが蝋に押された紋章を見てそう言ってきた。

 マジか? 王様からだろうか?


 家の中に入って、3人で手紙を開いてみると……王様からだった。フルネームが書いてあるが王様の名前とか知らない……がティーアの方が知っていたので教えてくれた。

 あなた魔族ですよね? なぜ私より人間の事情に詳しいのでしょうか?

 内容は、定型の挨拶文から入って、結論としては相談したいことと依頼したいことがあるので明日王城へ来てほしいというものだった。


 まあ、今は依頼等も受けていないため問題ないが。

 王様と会うのかぁ……一応こちらは3人で来てほしいと書いているので、王様とサシで対面とかではないらしいし、……アリシアさんも来るのだろうか?

 相談と依頼内容とかは書いていなかった。現場でということだろう。手紙に書けないようなことなのだろうか。


 翌日、昨日の人が言った通り、朝方に王家の紋章が描かれた馬車が家にやってきた。


「ノワール様、ティーア様、ソレイユ様、お迎えに上がりました。」

「あ、はい」


 そうして私たちは王城へと招かれたのだった。

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