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閑話 魔王軍

魔王軍とかの現状です。

 エドクス王国北方城塞都市アガバンサス


 ここは人類生存圏と魔王生存圏が接する一か所であり、人類でも最も強固な砦の一つがあることでも有名な地である。

 ここで現在人類軍――エドクス王国王国軍アガバンサス駐留軍と魔王軍との熾烈な戦いが繰り広げられようとしていた。


「打って出るぞ! 騎兵部隊続けぇ――っ!!」


 アガバンサス城塞の魔王圏側の門より、エドクス王国軍の騎兵200騎が飛び出していく。


「グォォォ――!!」


 それに対するのはライノセラスと呼ばれる(サイ)の魔物だ。横一列に並んだそれは固い皮膚と大きな体躯、そして自慢の角により、騎兵隊の突撃を受け止める。

 体格と重量の差で騎兵隊は打ち負けそのまま体制を崩す。そしてそれは後続の速度をも殺すことになる。

 騎兵隊の足が止まったところにライノセラスとその後ろに詰めていた魔物たちが突進し、騎兵隊を蹂躙する。


「うわぁぁぁ!!」




「クソッ! 騎兵隊は全滅か……投石を開始せよ! 弓兵、矢を射ろ! 魔法兵攻撃開始!」


 騎兵隊を蹂躙したそのままの勢いを維持し城塞に近づいてくる魔物たちに石や矢、そして魔法が降り注ぐ。その数は雨のように隙間なく降り注ぎ、多数の魔物が倒れる。

 しかし、ライノセラスやその他の固い皮膚など強固な防御力を誇る魔物たちは雨のように降り注ぐ矢など、何事もないようにスピードを緩めることなく城塞に向かって突進し、壁に取りつく。


「くっ、おのれぇ、魔族どもが! 勇者様さえいれば!」


 指揮官は悪態をつくが、どうにもならない。そう言っているうちに壁に取りつく魔族の数がどんどんと多くなっていく。


 ちなみに、勇者は今この場にいない。なんでも仲間内で問題が発生したらしくカモンヴェール王国に戻っているという話だった。


「絶対にここを死守するんだ! われらの後ろには無辜の民がいるのだぞ!」

「司令官! あれを!」


 城壁の上で矢を射ていた一人が上空、遥か彼方を指差す。


 空に黒いしみが複数見える。なんだ、あれはと指揮官は目を凝らす。

 それはどんどんと近づいてきてその輪郭をあらわにする。


「バカな! 陸と空から同時にだと!」


 徐々にその姿を鮮明にした敵。それはワイバーンの群れだった。そのワイバーンの群れは一直線にこちらに向かってきている。

 それは今まで経験したことの無い陸空同時侵攻だった。


「魔法部隊は上空のワイバーンを狙え! 弓兵はそのまま地上の敵を相当せよ!」


 かくして乱戦にもつれ込む。


 ワイバーンが上空から火炎弾を吐き、城壁の兵を焼く。地上の魔物はその突進力を生かし門を破ろうとする。


 そこかしこで兵の悲鳴が聞こえ、分厚い門がきしみを上げる。




「フフフ、粘りますねぇ。まあ時間の問題でしょう。」

「そうですな、この調子ならば半日もあればあの要塞を落とせるでしょう」

「ええ、魔王様はさらなる贄をお求めです。我ら魔王軍魔王軍16将軍としても気合を入れなければ」

「まあ、16将軍が2人もいる上に、魔王様より預かった精鋭5000騎がつくのです。万に一つも負けは無いでしょう」


 後方に陣取っているいかにも総大将のような二人が話し合っている。そう、この二人こそ魔王軍16将軍の者たちである。


「おや? どうやら門が開いたようですね。では、我々も進軍するとしましょう。」




「城門破られました!!」

「くっ! 城壁上の兵は半数を残し門の増援に向かえ! 住民の避難は!?」

「すでに完了しています!」


 魔物の進行を予期し、可能な限り頑丈に作られた城門ではあるが、数時間、数百回の突進の末ついに、その門が破られる。


 そうしてなだれ込んでくる魔物たち。

 質量ともに魔王軍が圧倒しておりすでに、城門も破られた。ここが落ちるのは時間の問題だろう。

 魔族の進行の予兆を早くに察知できたことにより、住民はすでに非難できていることが不幸中の幸いだろうか。


「何としても魔物どもをここで食い止めるのだ! 全軍――」

「おやおや、ずいぶんと勇ましいですね」


 城塞の指揮官が指揮を出そうとしていたところ城塞に飛んで(・・・)きた影が二つ。


「何者だ、貴様ら!!」

「名前を聞くときはまず自分からとならわなかったのですかねぇ」

「そもそもたかが人間ごと気に名乗る名などない」

「まぁ、16将軍の1人とでも言っておきましょう」

「私もいるので2人だがな」

「なっ、馬鹿な! 魔王軍16将軍だと!!」



 城塞指揮官の顔が驚愕に染まる。魔王の腹心である16将軍それが2人もこの場にいるのだ。いくら武勇に優れた指揮官とはいえ一人で相手をするのは厳しいだろう。


「だが、諦めるわけにはいかない! ゆくぞ!」


 城塞指揮官はそう言い、腰の剣を抜き手前にいた一人に切りかかってゆく。

 相手は2人いるが幸い仲間を助けるような動きは見せない。

 一撃二撃と打ち合うが、


「ふむ、こんなものですか」

「なにっ――ぐぁ!!」


 三撃目をひらりと躱され、代わりに腹を切り裂くような一撃をもらう。


「一番偉そうだから期待したのですが、期待外れでしたね」

「ば、ばかな……これほどまでに差が……」

「私のレベルは53です。」

「おのれぇ……」


 こうして、城塞指揮官を失った王国軍は各個撃破され、間もなく城塞都市アガバンサスは魔王軍の手に落ちることとなった。

閑話はかなり前に書いていたので少し書き方の雰囲気が最近と違うかもしれません。

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