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12 テンプレと明日の用意

 誰かがナンパでもしているんだろうか? それよりも明日のことだ。とりあえず、明日の用意をしないとな。ソロだから日帰りのほうがいいんだろうが……それだと狩の時間が短くなってしまうな……


「おい!待てって言ってんだろ」


 何か騒がしいな。ギルド内っていつもこんななのか?


「おい!コラ!」

「ん? 私に言っているのか?」


 一人の男が肩をつかんできた。どうやら私に声をかけていたようだ。

 声をかけてきたのは3人組の冒険者のようだ。1人が肩をつかんでもう1人が反対側へ、最後の1人が入口をふさいでいる。3人とも年季の入った革鎧を着ているな。いや、単にボロいだけか。匂いとかきつそうだな。2人は剣を腰に下げ、あと、入口をふさいでいる奴は斧を担いでいる。木を切るやつじゃなくてバトルアックスとか呼ばれるヤツだ。


「私に何か用か?」

「へへ、ねぇちゃん、どうだい? 俺たちとパーティを組まないか? 手取り足取り色々教えてやるぜ。」

「……いや、少し1人で試したいことがあるので遠慮しておく。」

「まぁまぁそう言わずにさ。俺、Dランク冒険者なんだぜ? へへへ」


 さっきからニヤニヤと薄ら笑いを浮かべているが何がしたいのだろうか?

 ……ああ、もしかしてナンパされているのか? 男にナンパされるとか気持ち悪いんですけど……いま女だからいいのか? あれ? これお約束ってやつかな。まあどうせ、明日は1人で行動するし、これからも買い出しとかあるんで、断るんだけどな。


「すまないが他をあたってくれ。じゃあ」

「おい待てよ!」


 再度肩をつかもうとしてきたので、手で払うと、


「痛ぇーな!てめぇEランクだろ!Dランクの俺が教えてやるっつってんだよ!」


 なんでEランクって知ってるんだ? まあとにかく、


「必要ない。」

「なっ、てめぇEランクごときが生意気だぞ。」

「そうだそうだ」

「ちょっと美人だからって調子に乗りやがって!」


 ……おや、なんか怒り出したな。これは、ナンパから恫喝(どうかつ)にチェンジしたのか?


「ちょっと!ギルド内で揉め事はやめてください!」


 おお、サレールさんが仲裁に入ってくれた。……絡まれて、女性に仲裁してもらうってカッコ悪くないか? 

 あと、周りの目が厳しいな。冒険者の評判を落とすなよ。といったことを考えているんだろうか? どうせなら行動に移してもらいたい。それと、すこし興味深々といった視線もあるな。こっちはなんだろう? 新米冒険者がどう対処するのか見ものにしているのかな?


「うるせぇ!だいたい、ギルドは冒険者同士の揉め事には介入しないんじゃなかったのかよ!」

「うっ、それは……」

「へへへ、つうことだ」


 そういやそんな決まりを最初に聞かされたな。まあ確かに、犯罪とかならともかく今のところは口げんかみたいなものだしな。

 あとサレールさんに怒鳴った途端周りの目が一層厳しくなった。サレールさんみたいな美人受付嬢はやはり人気があるのだろう。中にはあからさまに3人組に敵意の視線を向けている奴もいる。あいつらは多分本気で惚れてるやつらか。


「つうわけで、俺らを馬鹿にした落とし前きっちりつけてもらおうか」

「落とし前?」

「ああ、とりあえず有り金全部だしな。さっき金貨もらってただろう。それだよ。」

「そうそう、あと金出した後は4人でゆっくりと楽しもうや。朝までな。げへへ」


 げへへとか初めて聞いたな。それにしても、いきなりカツアゲかよ。いや、額が大きいから強盗のほうがあっているだろうか?


「サレールさん、少し聞きたいのだが」


 後ろを振り返ってサレールさんに質問する。


「へ、あ、はい」

「さすがにうっとおしくなってきたのだが、この場合、相手に手を出したらどうなるのだろう? 暴行罪とかで捕まったりするんだろうか?」

「あー、いえ、喧嘩程度でしたらとくに問題ありませんが……」

「そうか、では、諸君、私は特に興味がないのでこれで失礼する。もしこれ以上絡んでくるようなら少々痛い目を見てもらうことになるが?」


 すると、3人の顔がみるみる赤くなっていく、


「てめぇ!上等だ!やってみろよ!」

「Eランクごときが調子に乗るなよ」

「へへ、泣いても許さねぇからな、ちょっと痛い目を見てもらった後、俺らが楽しんでやるよ。」


 そういいつつ、ファイティングポーズをとる。さすがに剣を抜くことはしなかったか。……まあ、殺したらナニもできないしな。その辺の頭は回るらしい。


 とりあえず、最初に肩に手を置いていたやつが一番近かったので、腕をつかむ。


「お、なんだ」


 そしてそのまま、入口のところをふさいでいる奴のほうに向かって投げた。

 2人まとめて思っていたよりあっさりと扉の外まで飛んで行った。


 ぴょーん ドガッ! ドガラシャァン! ゴロゴロゴロ――


「なっ!」


 横に立っていたもう1人が驚いている。

 とりあえずアゴにぱーんち。こうすることによって脳を揺らし相手をダウンさせるのだ。……と漫画で読んだ。


「はがはがぁ」


 ……力加減を間違えてアゴが外れてしまったらしい。やっぱ素人がすぐできるもんじゃないな。とりあえずチョップ!


ゴッ!


 頭にチョップを食らわせるとそのまま倒れた。口から泡みたいなものを吐いているな。あと、ギルドの外に転がって行った二人が戻ってこない。どうしたんだろうか? ……まあいいか。

 再度、サレールさんのほうを向くと


「ここの片づけは任せていいだろうか?」

「あ、はい」


 はいとかいいながら、いやそうな顔をされた。


 ギルドを出てみると、向かいの建物で男2人がのびていた。完全に気を失っているな。しーらないと。


 とりあえずは、明日の用意のためそのままにして街へ繰り出していった。


 ◇◇◇


 武器屋の前に来ていた。オーガの買取でちょっとお金がたまったが、本格的な武器や防具をそろえるとなると安物でもギリギリだろう。

 とりあえず、ショートソードはまだ使えるので、必要なのは防具といったところか。ただ、盾を持つのも何か違う気がする。スキル構成から言って私はスピードタイプだろう。となると、盾を持たずに一撃離脱の戦法とかになるのかな。

 とりあえず武器屋に来たんだから中に入ってみる。


「いらっしゃい」


 カウンターにいたのは、結構歳のいったおじいさんだった。鍛冶(かじ)とかするようには見えないが店番の人だろうか。

 とりあえず店の中を見て回るのだが、……高い……ものすごく高い

 中程度の値段の剣ぐらいなら全財産はたけば買えないこともないが。


「何かお探しかな?」


 カウンターにいたおじいさんが聞いてくる。


「ああ、明日から魔物の討伐に行こうと思っていてな。何か適当なものがあればと思ったのだが」

「ほう、剣を使うのですかな?」

「ああ、だが所持金が足りないので、これで済ますつもりだ。すまなかった冷やかしに来たみたいになってしまったな。」


 そう言って腰の剣を見せる。


「お嬢さんは初めて見ますが、冒険者ですかな?」

「ああ、そうだが」

「なら護身用のナイフなどはお持ちですか」

「む……いやそういえば持っていないな」

「ナイフでしたら、本格的な武器よりも安くなっておりますよ。――こちらです。」


 なるほど確かに、護身用でなくとも討伐証明部位をはぎ取るのにナイフは必要か。解体は……できないな。知識がないし。

 おじいさんの指した方には結構いろいろなナイフがあった。安いのから高いのまでピンキリだな。

 色々と見て回った後、所持金と相談した結果、中の下程度の値段のナイフを購入した。サバイバルナイフみたいな結構ごつい奴だ。短剣よりは短いが。

 あと、目についたのがグローブだ。そういえば、オーガを殴ったとき手が痛かったな。そう思い手甲(てっこう)を買った。予算は少し残しておきたかったので、金属の奴じゃなく何かの丈夫な革を使ったヤツだ。


「いい買い物ができた。ありがとう」

「お役にたったようで何よりです」


 そう言って店を出て行った。

 あと必要なものは、昼食用の保存食と夜になった時のためのランタン、それと……


「すまない、森を歩くための丈夫なブーツがほしいのだが」


 靴屋に行ってブーツを予備も含めて二足買っておいた。今までは、ゴブリンのところにあったブーツを使っていたからな。こっちも武器ほどの値段ではなかったものの結構いい値段がした。


 とりあえず、必要なものはすべて買ったかな。初めての討伐依頼ということでたぶん何か足りないものがあるんだろうが、それはその後に生かせばいい。思ったよりお金が余ってしまったな。オーガ様様だな。

 ……さて、明日からさらに稼いでいかないとな。

 そう思いながら宿屋に戻って行った。


このころになると主人公は自分が強いんじゃねとか思い始めています。

ただ、日本人的謙虚さ(笑)と心配性な性格、またやっちまったキャラ作りで自慢やら目立つ行為やらはしないでおこうと思っている感じです。

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