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109 パーティーが終わって

 昨日行われたパーティーは特に何事もなく終了した。……たぶん。


 ただ、ちょうどパーティー中の王城に魔物が入り込もうとしたようで、少し王様周辺があわただしかった時があった。結局時間をおかずに退治されたという報告が来て元の落ち着きを取り戻したのだが。


 なお、私のダンスの2曲目はメリノ君からお誘いいただいた。まあ、フーカ公爵家の騎士だというのは周りも知っているので特に話題にもならなかった。多少恨めしそうな視線が周囲から投げかけられていたよう感じたが。ダンスは間違わなかった。すごいぞ私。


 メリノ君はその後ソレイユちゃんとティーアも誘っていた。さすがだぞメリノ君。それでこそ紳士だ。


 あとティーアと踊っていたイケメンはどうやら王子様だったようだ。どうりで周りがざわついていると思ったよ。でも1曲目に誘うのは不味いんじゃないだろうか?

 もしかしたら私が教えられた付け焼刃の知識では知らないような何かがあるのかもしれない。王子様の方から誘ってきたようなのでこちらに非は無いだろう。


「モテるんだな」


 私の知らないところで変な人脈ができていたようで少しぶっきらぼうに言ってしまう。


「あら? 妬いてくれているのかしらぁ」

「……別に」

「んもぅ、心配しなくても一番はご主人様よぉ」


 まあ、王子様はティーアのストライクゾーンからは外れているから本人は何とも思っていないのか。

 と考えていたら隙を狙って腕を首に絡ませ唇を奪ってきた。

 まあ、いつもの食事(ドレイン)だが。案の定、唇を奪われて数秒もしないうちにティーアの方が酔ったようにふらついて倒れ――そうになったので支えてやった。


「相変わりゃずしゅごいわぁ~」


 そんなうわ言にももう慣れたものだ。

 

 …………


 嘘でーす。見た目はストライクど真ん中なんでいまだにドキッとしまーす。


 ちなみにファーストキスからセカンド、サードとすべてティーアに奪われている。と言うかティーア以外とキスしたことがない……。それってどうなんだ? それ以前に女性同士でのキスはカウントするのか


 ソレイユちゃんとメリノ君が側にいるのだが何かもじもじしている。メリノ君なんか顔を真っ赤にしている。お子様だからキスシーンが恥ずかしいのだろうか。でもソレイユちゃんはもう何度か見ているはずだが……

 メリノ君は女性同士のキスシーンとか見るのは初めてなんだろう。むしろ何度も見ているとかあったら怖い。

 そんなことを思いながら腰砕けになっているティーアをソファーに座らせる。

ちなみに今はメリノ君の家にいる。この後、貴族街専門の不動産屋さんが来て私たちがもらった家を案内してもらう予定だ。


 ソレイユちゃんが視界の隅で「よし!」とか言いながら両手でガッツポーズをしているのだが何をしているのだろうか? と思ったら、


「あ、あの! ノワール様少し屈んでいただけますか?」

「? ああ、分かった」


 なんだろかと思い、屈むと


 チュッ!


「――ホワッ!」


 ソレイユちゃんがホッペにキスしてきました。ホヮーイ?


「え、えへへ……しちゃいました。」


 ソレイユちゃんは顔を真っ赤にしてもじもじしている。何この可愛い生き物。え? 私今日死ぬの?

 ふわ~、幸せ~


「そ、その、いつもティーアさんだけずるいなって……私もノワール様の事はす、好き……ですし……えへへ」


 ソレイユちゃんかーわーいーいー


「あ、あのっ!」


 そんなことを思っているとメリノ君まで声をかけてきた。

 何だ、メリノ君もしたいのか?

 ソレイユちゃんとはダメだぞ。メリノ君とソレイユちゃんが恋仲とかになったら色々寂しいだろ。


「……いえ、なんでもないです……」


 遠慮しているようだ。男の子だもんな。カッコつけたいんだろう。女の子同士のスキンシップの中に男一人で気まずいのかもしれない。まだ子供だしそこまで考えてはいないか?


 そんなことをボヤ~と考えながら、いまだ幸せな気持ちが抜けきっていない私は――


「よーし、メリノ君にもしちゃうぞー」


 チュッ!


 とかふざけながら額にキスしてやった。別に酔っているわけではないが、少しおかしなテンションになっていたかもしれない。

 まあ、欧米の映画とかで親が子供に挨拶代わりにやっていたみたいだしこのぐらい良いよね。


「――っ!!」


 と思っていたら、メリノ君の赤かった顔がさらに赤くなり――


 バタンッ!


 立った姿勢のまま後ろへ倒れてしまった。

 あれ?

 見るとメリノ君は目を回して気絶していた。



 ◇◇◇



「ノワール様、お客様がお見えです。」


 メリノ君家のメイドの一人が来客があったことを伝えてくれる。

 さっきから少し時間が立っているため私もティーアもメリノ君も回復済みだ。


「分かりました。」


 そう言って客人を出迎えるため応接室に向かおうとしたのだが


「ノ、ノワールさん!」


 メリノ君に呼び止められた。なんだろうか?


「ん? なんだ?」

「あ、そ、その……」


 何か言いにくそうにしている。


「もしよかったらこれからも家に遊びに来てください。いつでも歓迎します!」

「ああ、有難う。また訪ねさせてもらうよ。」


 そんな提案をしてくれた。

母親はキャリアウーマンだし、私達がこの家からいなくなったら寂しくなるのかな。

 でも学院に行っているんだし、同年代の友達と遊んだりしないんだろうか。前世の話だが、私がメリノ君ぐらいの年齢の頃は同じクラスの友達とワイワイ騒いでいたような記憶がある。

 そんなことを考えながら不動産屋さんの待っている応接室へと向かった。


 応接室にはいかにも金もってますと言った感じの小太りのオジサンが座っていた。

 私たちが室内に入ると、立ち上がり


「お初にお目にかかります。私、貴族街で邸宅や土地などを販売しています――」


 そんな自己紹介を始めた。

 私たちが対面の席に着くと不動産屋のオジサンも座り直した後、これから行く邸宅の位置や大きさなどの説明をしてくれる。


 位置は貴族街の隅の方ではあるが迷宮都市に近い側なので冒険者の私たちにとっては何かと便利だろうということだ。ギルドや冒険者用の店などは全て平民街にあるので、平民街が近い方がいいだろうと気を使ってくれたらしい。

 ただ隅っこにあるにしてはそれなりの大きさの物件らしく、また庭も大きいらしい。

 フェンリルもいる私たちにとっては良い話だ。家の中には入らないからなアイツ。


 忘れがちだが今フェンリルはメリノ君の家の馬小屋――は狭いらしく庭で食っちゃ寝の生活をしている。

 フェンリル子供はアリシアさんの家で甘やかされている。アリシアさんによって「アレクサンダー」と名付けられた。おとぎ話の英雄の名前だそうだ。最近、お手とお座りを覚えたらしい。あと「ワン!」と鳴くらしい。……ペット街道まっしぐらだ。

 

 そうして話がひと段落すると、実際に見てみようということになった。

 希望すれば今日からでも住めるらしい。まあ、家具などが無いので実際には数日後になるだろうけれど。



「ノワールさん! ホントに! またすぐ来てくれても……」


 そんなメリノ君の声をありがたく思いながら、私たちの家へと向かって行った。と言っても今日はこっちに戻ってくるんだけれどね。

一緒にお風呂に入った中なのにデコチューで撃沈するメリノ君ェ……

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