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104 レッツパァリィィィ!

もう少し先まで考えて整合を取ってと思っていたのですが、期間があいちゃったので1~2話程度を先に投稿します。

 豪華絢爛。パーティー会場には多数の貴族やその令息、令嬢が様々なドレスを着て場を賑やかしている。パーティー会場となるホールも綺麗な細工のシャンデリアや、緻密な彫刻の柱、シミひとつない白一色の壁等この国の中枢である王城ならではの豪華なものである。

 すでに日は沈みかけているが、雲が少なく夕日が空を紅に照らしていた。

 といってもその光景は窓際等で見ることができるだけで、パーティー会場である室内にはすでにシャンデリアの明かりが灯されているのだが。


 パーティー開始の時間の前とはいえすでにすべての貴族が会場に集まっている。一部ではすでにグループができ始め話し声も聞こえてくる。

 さすがに国王主催のパーティーで遅刻して来る奴はいないだろう。



 やがて、パーティーの開始時間が訪れるとともに演奏隊がBGMを流し始める。

 また司会の男が出てきて言葉を発する。


「ジルス=フィレ=エドクス国王陛下、エレーナ=フィレ=エドクス王妃御入場!」


 壇上の扉が開かれ、今回の主催者でありホストである国王陛下とエスコートされた王妃が順に入場してくる。

 会場にいる皆はそれを拍手で迎える。

 ちなみに会場には先に入場した中には宰相さんやこの国の第一王子であるルーカス王子の姿もある。アレックス第二王子は勿論不参加である。


 そうして少し間を置いた後、国王が手を上げると会場が一気に静まり返る。


「皆の者、本日はよく集まってくれた。本日は――」


 そうして本日のパーティーの趣旨が国王から語られていく。

 出席者にはあらかじめ知らされている内容ではあるので、この場で伝えるのは一種の様式美だ。


「では本日の主役のご入場です。」


 司会の人がそう言うと同時に扉が開きアリシア達5名が会場入りする。


 アリシア嬢はともかく他の4名については他の貴族達は全く知らないので、司会の人が順に名前を上げていく。


「事前には聞いていたが全員美しいですな」

「あれで腕も立つとは」

「アリシア様はもう終わりかと思いましたが……」

「見事な逆転劇ですな。メープルローズ伯も鼻が高いでしょう」

「冒険者の3名はなんでもフーカ公爵家が囲っているとか」

「ほう、公爵が……手が早いですな」

「以前より支援されていたとか」


 等々、この場にいる様々な貴族たちが5人を見て思いを言い合っている。

 そのような中一人の青年が頬を赤らめ彼女たちを凝視していた。


「…………美しい」


 ルーカス第一王子がそっと呟いた言葉は周囲の喧騒に飲まれていった。


 ◇◇◇


「では本日の主役のご入場です。」


 そうパーティー会場の中から声が響いたと思ったら、目の前の扉が開いた。


「さあ、行きますわよ」


 アリシアさんを先頭に私たちは会場に入っていく。

 私たちはその後に続くのだが、アリシアさん、カーマインさんと入場していく順に私たちの名前が告げられていく。

 パーティー会場には老若男女様々な人たちがいるが全員が質の良い衣服を纏いこちらに注目している。

 冒険者たちに注目されるならともかく、こういったお上品な人たちに注目されるのは初めてで何ともむず痒い。とはいえ、このパーティーが終わればどうせ会うこともない人たちである。旅の恥はかき捨て……ではないが失礼のないようにさえしておけば十分だろう。


 そうして私たちは国王の前で横一列に並ぶ。

 並び終わると国王が口を開いた。


「この場にいるアリシア嬢、カーマイン嬢、ノワール嬢、ソレイユ嬢、ティーア嬢。この5名は自らの力を持って前人未到の偉業を成し遂げた者たちである! 迷宮踏破という偉業を称え本パーティーを開催するものとする!」


 国王がそう宣言すると周囲から私達5人に対する拍手が巻き起こる。


「陛下、本日は(わたくし)たちのためにこのような場を設けていただけたこと大変うれしく思います。」


 そうしてアリシアさんに習い5人全員で礼をする。


「うむ、では各人に褒賞を言い渡す。」

「はい。」

「まずはアリシア嬢、その勇気と能力を称え子爵の位を授けるものとする。」

「ありがとうございます。」


 王様がアリシアさんの方を向いて褒賞を言い渡し、アリシアさんが一礼する。


 アリシアさん、子爵となったわけだが元の伯爵令嬢と比べると正直どっちが上なのか分かりにくい。一応、令嬢はあくまで『親が偉い』という状態なので、爵位を持っている方が偉いらしいのだが。

 私のように貴族に疎いものだと「伯爵家の令嬢でしてよ! オホホ」と「子爵でしてよ! オホホ」だと前者の方が偉そうに聞こえるが、間違いらしい。

 なお、アリシアさんはメープルローズ家の長子なので将来的には伯爵家を継ぐ可能性が高い。そうなった際には子爵位は王家に返還するか後継者を見つけ跡を継がせるなどするらしい。



「カーマイン嬢、その勇気と能力を称え男爵の位を授けるものとする。これからは貴族として王国のために尽くすことを期待する。」

「はい、ありがとうございます。誠心誠意王国のため尽くすことを誓います。」


 一応、貴族位は色々と手続きがあるので、この時を以て、と言うわけではなく、この場では周知する目的で国王は発言している。それに対して、カーマインさんは深々とお辞儀をする。

 なお、カーマインさんは貴族となった際には家名が必要なのだが、それは後日でよいと言われている。いきなり決めろと言われても困るしね。



「ノワール嬢、ソレイユ嬢、ティーア嬢はすでにフーカ公爵家騎士のため、今回は冒険者として今後の活躍を期待し1億5000万フラムの褒賞と王都貴族街にその拠点となる邸宅を与えるものとする。今後ともその腕を存分に振るってほしい。」

「「「ありがとうございます。」」」


 私たちも事前の打ち合わせ通りの褒賞が送られる。貯金の35億に比べたら、少ないような気もするだろうが、それでも日本円で約15億円である。それにこのお金は税金から出ているため文句は言わない。そもそも今はお金に不自由していない。

 邸宅の方は一応事前に言われてはいたが実物は未だ見ていない。近日中には、案内してもらえるそうだが。


 そうして私たちも一礼して、褒賞の受け取りは終了と……


「また冒険者組合よりも、ノワール嬢、ソレイユ嬢、ティーア嬢はAランク、アリシア子爵、カーマイン男爵はBランクへと昇格させる旨報告があったのでこの場で伝えておく。」

「――っ、それは、重ねてお礼申し上げます。」


 おっと、王様からの褒賞だけでなく冒険者組合からもあったらしい。

一応Aランクは実績を積んで行ってなるものなのでそれなりの年月を要するのだが、今回は迷宮踏破とレベルという観点から私たちをAランクとしても十分以上の実績があるとの事で決定が下ったらしい。

 アリシアさんたちは冒険者になってから日も浅く迷宮攻略以外、冒険者として活動していないためBランクとなっているようだ。

 レベルだけならば更にその上のAAランク(最高位のランク)にもなれそうなのだが、何分それは英雄などの実績を収めた者のランクとして設定していたため、迷宮踏破を以てしても実績不足となるようだ。

 

 ランク変更手続きについては次回ギルドに行った時にしてくれるそうだ。



「もし王家に仕えたくなったらいつでも言っていいぞ。」


 頭を下げている私たちに、国王がボソッとそんなことを言ってきた。



「さて、諸君。今回アリシア嬢達が迷宮から持ち帰った『宝』の中から一部が王宮に献上されることとなった。もう気づいている者もいるであろうが、目の前にある台座、そこに乗っている物が今回献上される『宝』である。」


 その掛け声とともに、パーティー会場の上座に20ある台座の横にそれぞれ控えていた衛兵が被せてあった布を取り払う。

 そうして現れたのは王城ですらめったにお目にかかれない魔法道具(マジックアイテム)や宝石、聖なる武具等である。


 招待者からは「おお~!!」と言う歓声が上がった。


「ではパーティーを開催する。皆の者は十分に楽しんで行ってくれ。」


 そう国王が言うと、立ったままこちらや『宝』を見ていた招待客が思い思いに動き始めた。

ギルドのランクについては7話に書いています。

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