表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/166

01 イベント発生

ヒャッホー異世界転生だー

斉藤太陽(さいとうたいよう)さん。あなたは死にました。」

「あ、はい。」

「あなたは死んだのです。」

「……なぜ2回言ったんですか?」


 まあ、おそらく死んだのだろうとは思う。

 月曜日の朝だ。非常にだるい。会社行きたくない。ローンで車買った部長禿げろ。などと思いながら出社するために電車に揺られ、改札を出てから横断歩道を渡ろうとしてふと横を見るとトラックのフロントが見えた。というかフロントにあるトラックメーカーのエンブレムもはっきり見えた。横っ飛びにかわすなんて判断をする暇もなく、もしトラック側がブレーキを踏んでも絶対間に合わないだろう距離とスピードだった。運転席は見なかったが、たぶん居眠りかスマホでもいじっていたのだろう。そのままトラックはノンブレーキで突っ込んできて、俺は空を飛んだ。I Can Fly! そこで意識が途切れている。たぶんコントみたいに吹っ飛ばされていったのだろう。

 そして気が付いたらここだ。目の前には天使?っぽい人がいる。

 白い羽がある。天使っぽい。スーツにメガネのおばさんだ。ザマスとか言いそう。非常に天使っぽくない。でも羽があるのでとりあえず天使としておこう。非常にあってないけど。


「ん?」


 待て、状況を整理しよう。トラックにはねられ死亡。そして天使と邂逅(かいこう)。え? これって、あれじゃね?天国って所じゃね? 天使がいるんだから地獄ってことはないだろう。天国って働かなくていいんだよな? 毎日日曜日? のんびり余生とか送れたり? あ、死んでるから余生じゃないか。天国ってどんなとこだろうか? 楽園とか言われるぐらいだから住み心地とかいいんだろうな。ちょっと期待とかしちゃったり。あとメタボ腹揺らしてる部長禿げろ。


「自分の置かれた状況が理解できたようですね……なぜニヤけているのです?」

「あ、いえ、別に。」


 いかんいかん。仮にも死んだんだ。もう少し真剣そうな顔をしよう。


「まあいいでしょう。では、あなたにはこことは別の世界に転生してもらうことになるのですが。」


 キタ―――――……ってあれ?


「とはいえ転生先はあなたの住んでいた世界よりも文明的には遅れており治安も悪いです。さらに、魔物と呼ばれる人間の天敵のようなものが多数徘徊する世界です。あなたをそのまま放り出してもすぐに死んでしまうでしょう。そこで何か優れた能力などを身につけてもらうか、何か適当なアイテムを持った後に旅立ってもらおうというのが現在のスタンスとなっています。」

「あのー」

「何です?」

「天国でこの世の楽園を味わうっていうのは?」

「何ですかそれ?」

「……じゃあここどこです?」

「ここは、転生管理事務所です。まあ、死者の通るところ。賽の河原とかわかりやすいですかね。とりあえず――」


 目の前のおばさ……おっと失礼。天使が手を広げると机とパソコンみたいなものが出てきた。画面がこっちを向いているぞ。


「こちらは転生時の肉体を作る装置です。今のあなたは魂だけの状態といえますので、異世界に受け入れるための専用の肉体を造ってそこへあなたの魂を送り込みます。また、転生時の能力もこの機械で選べますのでどうぞ。」


 そう言って目の前にあるパソコン? っぽいものをさした。


 転生管理事務所? ずいぶんと似合わない名前だな。しかも、天国じゃなくて転生? なんか思っていたのと違うが心機一転スタートってことだろうか?

 残念、天国行きじゃなく輪廻転生の方らしかった。

 とりあえず、目の前のパソコン? ……もうパソコンでいいや。で、これで肉体を作る。その際何かもらえるらしい。ん?


「……これどうやって操作するんですか?」

「タッチパネルになっていますのでほしい能力の項目をタッチしていただくだけでいいです。」

「はぁ、最近の天国はハイテクなんですね。」

「あなたの世界の基準に合わせてあるだけです。まあ、それはいいのでなるべく早くしてください。後ろつっかえているんで。」


 え?後ろ?

 そう思って後ろを振り返るが誰もいない。


「別に後ろに人が並んでいるというわけではありません。それより早く。」

「あーはいはい。」


 よくわからないので流すことにした。それにしても色々項目があるな。種族って何ぞ? ちょっと待て、天使さんの言葉を思い出してみよう。『こことは別の世界に転生してもらう』。おう、日本じゃなかったぜ。

 あと、魔物とか言ってたな。ということは剣と魔法のファンタジー世界なんだろうか。なんか種族にエルフとかドワーフとかあるし。


「あ、種族の項目は変更できませんよ。あなたは人間として転生していただくので。能力はもっと下の方です。画面をスライドさせてください。」

「下の方ですか?」


 残念、種族はいじれないらしい。ドラゴンとか興味あったのに。

 下、下と。お、あった。


「てか、多いな!」


 〈能力〉と書かれた欄があったが画面に表示しきれていなかった。スライドさせていくと百項目以上あるじゃなかろうか。さらにその下に〈アイテム〉と書かれた欄もある。こっちも百項目以上ある。

 

「皆さんそこで迷われて、結構時間食うんですよね。ちゃっちゃとやてください。あ、選べるのは3つだけですから。」

「少なっ! 項目はこんなにあるのに3つだけなんですか?」

「3つだけです。」


 〈能力〉と書かれた欄にはさすがファンタジー世界だけあって魔法関係の項目が結構ある。あとは身体能力関係のこともいろいろとある。〈肉体強化〉とかそれっぽい。後、〈アイテム〉はカッコイイ名前が並んでいる。しかし、それが何か分からない。ファンタジー世界ということは剣の名前だろうか。あ、いくつか知ってるのもあるな。〈エクスカリバー〉とか〈グングニル〉なんかは知ってる。剣と槍だ。というか、え? これ神話に出てくる武器だろ。これもらえるの?

 むぅ、これだけある中で3つとなると悩むな。とりあえず〈アイテム〉よりは〈能力〉かな。〈アイテム〉は盗まれたり、なくしたりしたら終わりだし。

 とりあえず、ファンタジー世界らしく魔法関係でもとっておくか……などとバカなことはしない。そう、俺は知っているのだ。ファンタジー世界つまり地球でいう中世ヨーロッパぐらいにおいて大事なのはズバリ病気対策と衛生面だ。ムフン!


「とりあえず、回復魔法を取っておくぜ。」


 回復魔法なんだから伝染病なんかからも回復させられるだろ。多分。

 あと何が必要だろうか衛生面というとなんだろうか。掃除? 掃除の能力って何だ?ほこりがよく見えるようになるのか? うーん。

 いや、3つしか取れないなら水属性魔法で水洗いとかでもいいんじゃ。


 そんなことをしながら結構悩んだ。

 あれではどうか、これはどうだろうと画面に指を伸ばしたりひっこめたりを繰り返している。

 

「あのー。早くしてくれませんかね。あ、お勧めは上3つですよ。」


 適当に言うな。こっちは結構真剣に選んでいるんだよ。

 

 とさらに時間が経過して天使さんの貧乏ゆすりが結構ひどくなってきている。


「とりあえず、もう一つはこれかな。」

 

 そう言って、2つ目の〈能力〉のところをタッチしたところだった。


「あれ?」

  

 画面がうんともすんともいわない。ためしに上下にスクロール。他の〈能力〉をタッチ。

 だめだ、動かない。


「あのー」

「あ、決まりました? じゃあちゃっちゃと送っちゃいますね。」

「あ、いえ、なんかこれフリーズしちゃったみたいで。」

「え?」


 天使さんがこちらに回り込んできて画面を操作する。が、やはり動かない。


「本当ですね……チッ、だから古い機械こっちに回すなって言ったのに、あの課長仕事できないくせに!」


 あ、これ古いんですか。さいですか。というか天使の課長ってなんだ? あれか課長になると大天使にパワーアップとかか。そうすると社長は熾天使とかそういうのになるのだろうか。

 とか変なことを考えていたら天使がいきなり腕を振り上げた。


「きぃええええぇぇぇぇぇーー!!」


 などと女性にあるまじき声を出しながらパソコンを右斜め45度でチョップ。

 あれ、画面ぶれてノイズ走ってますけど? ジージーとか変な音させてますけど? え? 壊れたんじゃ? 壊れたら俺の転生ってどうなる――


「――ひょっ?」


 その瞬間俺の足元に突然穴が開いた。知ってたか? 人間って飛べないんだぜ。

 つまり俺はそのまま真っ逆さまに穴に落ちて行った。


「ふぅ、やっぱり古い機械は駄目ね。とりあえず課長のところに行って新品と交換してもらわないと。あら? 斉藤さん? ……もう行ってしまわれたのですか。」

 

 そういえば、あの人も異世界転生の可能性について考えていたようですね。まあ、思考を少々誘導させてもらいましたが。

 なぜか最近ここにきて転生ですか?オレTUEEEEEできるんですか?なんて聞いて来たりする人が増えていますからね。あれうっとおしいんですよね。こっちはわざわざ特典までつけて転生させてあげているのに、えーサービス悪くないっすか? とかどうしろと?

 おっと、少々変な方向に考えが進んでしまいましたね。しかしこの機械大丈夫でしょうか? 斉藤さんに干渉したまま壊れてしまいましたが。

 まあいいでしょう。何かあったら課長のせいにしましょう。


「まあ、大丈夫でしょう。」


 そんなことを考えながら天使はツカツカとどこかへ歩いて行った。

勢いだけで書き始めました。

プロットとか今後の予定とか一切ありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ