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小話② 「猫の集会 猫に金貨」

 月の夜。

 猫たちはとある空き地に集まっていた。


 今日の議題を持ってきたのは山猫のリンクスだ。

 どうしてもみんなに相談したいらしい。


『別に構いませんけどね。というか皆さんももっと議長をやってくださいよ。まあ私は嫌ではないですけど。はい、リンクスさん』


「にゃあ」


『「最近デフレが始まってお店の売りが悪いんだ。レムが困っているから何か方法はないかな」ですか。それは大変ですね。ですが……』


「「「にゃ~?」」」


『皆さん微妙にやる気がないですね。「どうせバーガー食わせてくれるわけじゃないんだろう?」って、どうなんです? リンクスさん』


「にゃ!」


『「だから買ってってば!」ですか……それはそうなんですけどね』


『猫が文無しなのはどうしようもないと、この間ネズミ捕りしながら言っただろう?』


「にゃ!」


『「ラブリー、どうして君は金持ちに飼われているくせにおこずかいを請求しないんだ」だと? 普通猫は主人に金を請求しないだろうが』


「にゃ」


『ほうほう。リンクスさん、その首に下がったものはなんですか? なんと財布ですか! リンクスさんのおうちでは猫にもおこずかいをくれるのですね』


「にゃあ!」


『「レムは猫も立派な下僕せんしになるようにお金の教育は熱心なんだ!」と。いや、お前……』


「みゃあ」


『そうですね、ミミィさん。「君んちだけだよ、そんなの」ですよね。ということで終わりにしますか』


「にゃー!!」


『「ちょっと待ってよ、今からお金を見せるから」って見たってねえ。でもまあ、丸い金銀が面白いですね』


「うな」


『ほうほう、ドラさん。これが「人どもを狂わせる人用マタタビの一種」ですか。しかもマタタビと違って中毒性があると。怖いですねえ』


「にゃ!」


『リンクスさん。「できれば金貨を持ってきてよ!」ですか。このお月様色の奴ですよね』


「みゃー……」


『そうですか、ミミィさん。「チサ、部署が変わってからお給金が減って、月末にいつもそれを数えてるんだ」ですか。チサ姫も数えてしまう魔力があるんですね』


「にゃ!」


『リンクスさん。「みんなで同じものを集めてよ。そしてバーガー買ってよ」と言われましてもねえ。皆さんには私がこの間依頼したような仕事くらいしかないですよ』


「「「にゃー……」」」


『「もうエロ本部屋に詰めるのは嫌だ」ですか。まあ確かに進展がなくてすみませんね。でもお給料は煮干しからグレードアップする気はありません』


『何をやっているのだ、おぬしら』


『おお、お久しぶりですねバステトさん。現在集会では、我々は猫がどうやったら金貨を集められるかについて話が進んでおります』


『猫が金貨か。これ以上無意味なものもないのう』


「みゃ」


『ほう、ミミィよ。「でも綺麗だからチサにお土産に持っていきたい」か。ならば妾が簡単に手に入る方法を教えてやろう』


「「「にゃ?」」」


『【ここほれニャンニャン】をすればよいのじゃ』






 次の集会は月が満月に近づいた時に開かれた。

 集まった猫は前回と同じ。

 しかし様子が少々違った。


『うー、げっぷ。皆さん今晩は、あのお月様のようになったカラバです。皆さんも同じような感じですね』


「みぃ……」


『ミミィさん。「どこで拾い食いしたの!ってチサに怒られた」と。飼い猫は皆さんそんな感じですよね。ラブリーはリラ様に捕まって、らんにんぐとれーにんぐとやらをやらされているようです』


「にゃあ!」


『「まいどありー!」とは、リンクスさんはご満悦ですね。そりゃあ金貨を全猫で運んで店頭にばらまいて全部バーガーにさせた、あなたの手腕には脱帽です』


「うな…?」


『ああはい、ドラさん。今日はバステトさんは来ていませんよ。本当に女神様が苦手ですね』


 丸々としたお月様の下で。

 全ての猫が丸々と、山猫バーガーによって作られたデブ猫となっていた。


 カラバがいつも立っているところには大きな穴。

 みんなで掘った穴だ。


『まさか前々王の埋蔵金が私の議長席の下に埋もれているとは知りませんでした。呪いもプラスされているから、全く草も生えなかったのですね』


「みぃ……」


『ミミィさん。「これ埋め戻すの面倒くさい」ですか。そうですよね。面倒くさいですね』


「うなー」


『ドラさん。「そらみろ、これが金貨の魔力だ。みんな金貨のせいで生きることが億劫になってしまったではないか」ですか。確かに金貨とは恐ろしいものです。よくわかりました』


「「「にゃー……」」」


『お腹が重くて、もう議題も上げるのも面倒です。みんなでバンザイ猫ポーズでもして寝ましょう。猫は寝子、寝てなんぼですよ。たぶんね』


「みゃー……」



 でっぷり太った月夜の晩は、デブ猫だらけのおさぼり集会。

 もう金貨なんて見たくもないと、猫たちはひたすら寝ることにした。

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