8話 竜宮城ですか?
馬の説明は後書きで。
妖精がモデルです。
海面から出た2頭の馬の首は、少しづつ浜へと近づいてくる。
立派な黒馬の後ろには馬車があり、少しづつ海面から上がってきた。
映画等で貴族が乗っている様な、屋根付きドア付きだ。御者台には、鱗だらけの半魚人が座っていた。
馬車の廻りには、角の有るあざらしが6頭と半魚人が3人、警護をしている感じがした。
あれが戦闘用アニマルスーツかな。
馬は水棲馬かな、セルキーの事が書いてあった本に、水棲馬の伝承も書いてあった。3種類有るんだよな。2種類は陸上でも名馬になるんだったな。
馬車が浜辺に上陸する、暫くすると馬車のドアが開いた。
馬車のドアが開き出できたのは、赤髪でサマによく似ていた。どちらも美人さんだ。
「姉さん、無事だったの!」
「サマ、久し振りね。私はある方の供で、5カ月間旅に出ていたの。母さんの事は帰ってきてから、王女様から聞かされたは。サマの姉のクルです。見習い様ご苦労様です。ナヤさんとサマは此所で別れます」
「見習い様。仲間を助けて下さい」
ナヤさんが頼む。
「母さんと姉さんをお願いします。見習い様」
サマが懇願する。
馬車に乗り込む。向かい合わせで座席が有る。
「見かけは普通の馬車ですが、水が入り込む事は無いです」
クルの説明が終わると、馬車が動きだす。
ナヤとサマの見送りを受けて、馬車がゆっくりと水中へと移動していく。
馬車の窓からは、水中の景色が見える。魚の群れが游いでるよ。
「私は、サマと違い母と海を選びました。サマから聞かされてませんでしたか」
「はい。聞いてませんでした」
クルの質問にカルが答えた。
セルキーは、子供の世界は陸上にあると考え、一時的に海の世界に連れていくが、時期がくると陸上に戻したんだけどな。
「水掻きの事も有りますし、色々と有りまして。あざらし乙女の血筋は音楽の才能と、自分で言うのもなんですが、美貌に恵まれますので、まあ、色々と」
確かに、ナヤ・サマ・クルは美人さんだ。ロトト村で会った水掻きの有る女性達は、楽団の娘達に他の娘も全員美少女だった。年を召された女性達も若い頃は、美人さんだったろう。
クルの美貌なら、色々あったかも、それで陸上が嫌になったのかな。
窓から水中を見ていると、魚の群れを追う、あざらしが見える。8匹?8人かな。
「今魚を追っているのも、あざらし乙女です。私達は魚が主食です」
「あざらしが全員、乙女なのですか」
クルの話しにテルサが質問する。
「身体に黒い斑点が有る斑点あざらしが、私達あざらし乙女です。黒いあざらしは野性のあざらしです」
「そうなんですか」
テルサは、少し驚く。
確かに、妖精の泉で見たあざらしの着ぐるみにも、黒い斑点があった。中から出てきた、全裸の乙女の印象が強すぎで、言われて初めて気が付く。
しょうがないよね、8人の美少女の全裸ダンスの印象が強いのは、男の子だもん。
「もうすぐ着きます。あれが水中城のウェブ城です」
クルの言葉に、窓から見る。
水中なのに、洋風の石造りの城だ。水中だからか、石垣がないぞ。
まさか、竜宮城?
あっ。竜じゃないな、クルの言う通り、ウェブ城だ。
馬車が城の中に入る。坂を登り少しづつ、水の無い空間に上がっていく。
馬車の窓からは、白いドレスを着た美人、美少女達が並んでいる。
浅黄色の髪が大半を占めるが、金髪や茶髪も少しいる。指の間には水掻きが、当然の様にある。
「出迎えはウェブ族の270人です。見習い様方、特に真様を歓迎します」
クルに促されて、馬車を降りる。
馬車から降りると、270人の美人と美少女に、自分だけが囲まれた。
カルとテルサから、殺気が出てる。
馬車の方から、かなり大きい水音がした。
半魚人と角が有るあざらしから、美少女が10人が飛び出す。
自分の前で全裸の美少女の10人が、膝まついた。
水棲馬の伝承は世界中に有ります。
ケルピー。アッハ・イーシュカ。シュヴァル。ギリシャ神話のヒッポカムボス。日本の地域の怪談にも、水棲馬が登場します。
作中の水棲馬は創作です。モデルはケルピーですが。
水中馬車は創作です。
妖精 セルキー・ローンからはずれまくってます。
ウェブ城は当然、竜宮城がモデルです。
不定期になりますが、宜しくお願い致します。
あざらしは斑点で区別しましたが伝承では、全てのあざらしが妖精族で、あざらしの皮を被っているとあります。