1話 需要と供給の召喚
召喚編です。 退屈かも。
中年男です。
両親も既に亡く、独身なので身軽だからなのか、このたび、めでたく異世界に召喚されました。
家で稽古をする為、武具を入れたゴルフバックを長くした鞄を担いで、裏庭に出る直前に青い光に包まれる。
光が止まると、青いドーム型の空間に出た。白いドレスを着た、若い女性20人位に囲まれていた。
その中から、唯一変わった形の杖を持った、女性が一歩進み出て、満面の笑みを浮かべ。
「ようこそ、救世主様。人族に精霊族、魔族、そして妖精族。ひいては、この世界をお救い下さい」
「嫌です。面倒くさい」
「「ええ」」
全員が声を揃えた。
「勝手に逮捕・監禁して完全な犯罪です。誘拐犯人」
拒否されて当然。
「いきなり召喚したのは謝ります。しかし、私達の探知に出たのですから、現状に不満がおありでしょう。しかも、武術の腕もあり、しかも、強過ぎる闘争本能がおありでしょう」
「・・・」
「その武術の技を、いくらでも振るえます。戦いたいんでしょ」
「戦い」
「剣と魔法の世界です」
「剣・・」
「魔法には、こちらで対応作を用意します」
「貴女は誰ですか」
「これは申し遅れました。私は世界神のアサと申します」
「女神様」
「女神?女の神の意味ですか。この世界の神には、男性はいません。神は女性のみです」
自分は、世界神を見据える。金髪で長髪で20代中場で、凛々しい感じがした。
「剣と魔法の世界ですか」
「剣と魔法の世界です。魔獣も居ます。この度の召喚は、武術の腕が有り、強過ぎる闘争本能と現状に不満にが有り、魔法に馴染み易い体質をお持ちで、それでいて、慈悲の精神をお持ちの方を探知する仕様ですから。今回は、妖精族との相性も大事です」
「つまりは、需要と供給ですか」
「供給の方は、強引になってしまいますたが」
「魅力は感じますが」
「年齢の事ですか、若返り出来ます。身に付いた技術そのままで」
「え」
「依頼が終了したら、今の年齢に戻して元の世界と時間に帰せます。残留を望むのであれば、一旦、
身辺整理に帰せます。勿論此方に戻れます。ただし、死亡したらそれまでです」
「若返り、需要と供給ね」
「その中身は、武器ですね。その武器をオレイハルコスで、完全に模写出来ます。魔法能力付きです」
「オレイハルコス?そんな事が」
確かオリハルコンの事だよな。どこかで読んだな。
「神ですから。御名前を聴いてませんでしたね」
「一二三 真です」
「真様。戦いたいんでしょ」
満面の笑みが自分を、誘惑する。
「各地に行ってもらう為、全ての言語と文字は、理解出来るようにします。今は共通語だけ解るようにしてあります。
そして、教館から費用と旅の用意と、巫女に教館騎士を知識と補助の為に付けさせます」
「教館って」
「私達、神を信じる者達の館ですが」
寺や神社みたいなもの、それとも教会かな。
確かに、真剣勝負の願望は有る。無ければ古流を三流も学ばない。殺人、実際にね。
「殺人を躊躇されていますね。この度の相手は正体が良く解らないので、人族かも知れませんが」
「正体不明ですか」
「神にも制約があります」
「なら、こんな武具作れませんか」
「なら」
「はい。御引き受けます。宜しくお願いします」
自分は深々と頭を下げた。