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魔王様の婚約者! 2  作者: イナミ
番外編
7/8

番外編 『シンデレラ』って知ってる?

・・・あれ?

ただの『シンデレラ』のつもりが、なぜに『豆まき』に?



そして後書きなげぇぇっ!

昔々あるところにシンデレラという、それはそれはきれいな少女がいました。

見た目はもちろんのこと、中身も天使がごとく美しく・・・え?なんです?・・・天使なんて目じゃないほど美しく・・・はい?見た目ももっと細かく言え?・・・いや、話進まないじゃないですか・・・っわかりましたから!!その物騒な武器をひっこめてください!!


・・・ゴホンっ


では、改めまして。

昔々あるところに、(メモを見ながら)暗闇すらかすむほど美しい黒髪に、夜空に星がちりばめられたような漆黒の瞳。肌は誰も足を踏み入れられない白雪のよう、頬は春を彩り咲き誇る桜色。ぶっくりとつややかな唇は禁断の果実の林檎・・・あのぉ、指示通り読んでるだけなのに、なんで殺気がするんでしょうか?・・・え?聞いてて腹がたってきた?・・・ふ、ふざけんなぁぁっ!!そんな理由でられてたまるかぁぁっ!!




―――少々お待ちください―――



はい。

なんとか、収集がついたので再開します。



むかしむかし、あるところにシンデレラという口では言い表せられないほど美しいシンデレラという少女がいました。

シンデレラのお母さんは早くに他界しており、お父さんは新しいお母さんと結婚しました。


――ふざけるなっ!私は一生マードレ一筋だっ!!


ちょっ、公爵!!気持ちはわかりますが、お芝居ですからっ!!


――そうよぅ、ちなみに私が継母役よ~


――ならよしっ!!


・・・もう、物語に入ってないのに疲れたんですけど・・・


え~と・・・お父さんが亡くなりました。


――・・・おい


そして一人になったシンデレラはそれまでの優雅な暮らしとは一変継母といじわるな義兄によってまるで召使のような生活になりましたっ!!もう物語すすめちゃってくださいっ!!(一気読み後ダッシュ)


――待てぇぃっ!!



義兄「シンデレラ。おいしいお菓子があるからこっちにおいで」

義兄「シンデレラ。新しい服を買いに行こう」

義兄「シンデレラ。―――


はい!ストーップ!!

シオン様、台本通りに進めてくださいっ!!


――アンジェをいじめるなんてできるわけないだろっ!!


いや、話が進まないですから。

てか、本来“義姉”のところを、無理やり“兄”にして組み込んだの、シオン様じゃないですか。


――だって、そもそも義姉がシンデレラをいじめなければ、王子様とくっついて“幸せ”になる必要もないだろう?

――ふざけんなぁぁぁっ!役チェンジだっ!チェンジっ!!

――てめぇとアンジェじゃ釣り合わないんだよっ!チェンジはこっちのセリフだっ!!


はい。

じゃぁ、義姉役チェンジしてテイク2!!


義姉「シンデレラっ!!何してるんですかっ!?そんな、掃除なんて私がしますからっ!手が荒れてしまいますっ!!」

義姉「シンデレラっ!洗濯なんてしてっ!?そんなの私がしますからっ!こちらで新しい洋服を作りましょう?」

義姉「シンデレラっ!!――


ニネレイさんっ!!?あなたもですかっ!?


――だって・・・姫様をいじめるなんて出来ません。


いや、演技だから・・・


――演技でも出来ません。


・・・もう、いいです。

誰かぁぁっ!シンデレラをいじめられる人、いませんかぁぁっ!?



テイク3


義姉「おーっほほほほほほほ!!シンデレラっ!?掃除がまだ終わってなくてよ!?」

義姉「シンデレラっ!?これを洗濯しといてくださるっ!?」

義姉「シンデレラっ!!おなかがすいたわっ!!アボカドのカルパッチョが食べたいわっ!!作ってちょうだい!!」


・・・シャルール様。アボカドのカルパッチョってなんですか?


義姉「ナレーションはお黙りっ!!」


シンデレラ「はい、お義姉しゃま」


義姉「・・・くそう、可愛いわね」(ボソ)


・・・という風に、シンデレラは毎日毎日いびられてましたとさ。


そんなある日、城で舞踏会が開かれることになりました。


義姉「お母様っ!舞踏会ですって!!王子様を仕留めれば、国は私のものよんっ」


義母「あらぁ、いいわねぇ。じゃあ精一杯着飾りなさい?馬子にも衣装といいますからねぇ」


義姉「はいっ!!お母様!・・・あれ?今、何気にけなされた?」


義母「フフフ。気のせいよ」


義姉「ですわよねぇ!シンデレラ、お前は留守番よっ!」


シンデレラ「はい・・・義姉しゃま、義母しゃま」


義母「いい子にしてなさいね?」


義姉「舞踏会よぉぉおーっほほほほほほ」


義母「シャルール?舞踏会ではその可愛いお口を閉じてなさいね?そうすれば、きっと素敵な殿方に出逢えると思うわよ」


義姉「はいっ!!お母様・・・あれ?それって喋るなっってこと?」


義母「フフフフフ~」


義姉「あれ?お母様っ!?」


・・・そうして義母と義姉は、お城の舞踏会へと出かけていきました。


――おしまい。


――待てぇぇぇい!!シオンっ!!『おしまい』ってなんだ!!?『おしまい』ってぇぇっ!!まだ始まったばかりですけどぉぉぉっ!?


――だって、アンジェもう、寝たし


――え?


ありゃぁ~。姫、小さいですもんねぇ~。夜の舞踏会には無理があったんですね。


――じゃあ、舞踏会は中止ということで~。ていうか、今日来た令嬢たちの中から選んだら?王子様?


――お前、『シンデレラ』って知ってる?


でも、夜だとやっぱ無理ですよ。『あかずきん』とかにしたらどうですか?


――俺とのラブ要素が無くなったろぉがぁぁぁっ!!!


赤ずきんチャンを狙う(・・)狼とかどうですか?ピッタリですよ。


――狙うの意味が違うっ!!


――いいな!『赤ずきん』!僕が猟師役やってもいいか?


・・・演劇が流血事件になりそうな気がするのは僕だけでしょうか?


――いや、俺もそう思うね!お前は俺を始末したいだけだろうがっ!?


――ハハハ。よく分かってるじゃないか。


――全然笑えねぇっ!!


『アリス』とかはどうです?きっと可愛いですよ。


――あぁ、いいな。んじゃ陛下はトランプ兵でどうだ?


――却下ぁぁぁぁっ!!!絡み一切無くなったじゃねぇかぁっ!!『シンデレラ』しかしねぇよっ!舞踏会は、昼にするからっ!!


えぇぇ〜それだと、夜中の12時に魔法が切れるっていう設定がぁ


――昼の12時に切れてもいいだろぅがっ!!


――しつけぇぇぇっ!


・・・もう気が済むまでやらせましょうよ、シオン様。いい加減にしてくれなきゃ、執務が溜まってるんですよね〜。


――知るかっ


・・・シオン様の執務も、たまってるんですけど?


――・・・


――じゃあ、舞踏会は明日朝9時から開始な!!


あぁ、めんどくさい。

――ほんと、こいつ魔王職からひきずりおろしちゃおうか?


そうなると、僕がいろいろと辛いんすが?


――がんばれよ


・・・その時は宰相の任を辞退しても


――ダメに決まってんだろ


・・・ですよね~


――お前ら、明日は早いんだから、早く寝ろよ!


――・・・待て。どこに行く気だ?


――どこって、愛しのシンデレラの元に行くんだが?


――行かすと思うか?(ニコッ)


――・・・どけ、シオン。(手に魔力が集まりだす)


――どくわけないだろ(同じく手に魔力が集まりだす)


ちょっ・・・!喧嘩なら、僕が出てった後にしてくださいよっ!!


――「「死にさらせぇぇぇっ!!」」


ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!











シンデレラがシャルールだったら・・・



――なんで俺が、いじわるな義姉役なんだよ。


――お兄様、さっさと役になりきってくださらないと、物語が始まらなくてよっ!!


――いやいや、ナレーションどうした。ナレーションがさらっといじめられてるって言えば、それだけでいいだろ


――ナレーションは、昨日のお兄様とシオン様の、シンデレラをめぐる仁義なき戦いで、負傷ですわ


――お前だけは絶対にとりあわねぇ。のしつけてお送りするわっ!つか、だったら義兄でいいんじゃないか?なぜに義姉?


――まったく〜うるさいですわね!じゃぁ、アンジェからの言伝を教えてあげますわ


――・・・何?


――『まおー様のじょそーかっこいい~』・・・だそうですわよ(ウソ)


――・・・よし、やるか!


――・・・単純ですわね(ボソッ)


――何か言ったか?


――いいえ~。では『シンデレラ』スタート!ですわ~!!



義姉「シンデレラ!さっさと掃除しなさいっ!」

義姉「シンデレラ!洗濯はしたのか!?」

義姉「シンデレラ!・・・なんだこれ?」


シンデレラ「御飯ですわ」


義姉「こんなんもん食えるかぁぁぁっ!!」


シンデレラ「あぁっ!お父様が亡くなってから、お義姉さまにいじめられる毎日・・・でも、わたくしっ負けませんわっ!!もうすぐお城で舞踏会が開かれる・・・そうすれば、王子様がわたくしを見出して、迎えにきてくれるはずですのっ!!」


義姉「・・・見事な説明口調だな(ボソッ)」


シンデレラ「さぁさぁっ!!早くお城で舞踏会が開かれないかしらっ!!」


義姉「・・・」


シンデレラ「・・・」


義姉「・・・おい」


シンデレラ「話しかけないでくださいましっ!!」


義姉「いやいや、王子様役誰だよ」


シンデレラ「役じゃなくてよっ!!シオン様は、演劇でも現実でもわたくしの王子様ですわっ!!」


義姉「いやいやいや、じゃあなんで来ないんだよ」


シンデレラ「もうすぐですわっ!!」


義姉「・・・おい」


シンデレラ「なんですの!?」


義姉「帰っていいか?」


シンデレラ「お好きになさいませっ!!わたくしは待ち続けますわっ!!」


義姉「じゃあ、がんばれ。俺は帰る」





~~~~~公爵家にて~~~~~

アンジェお昼寝中。


「・・・シオン」


「なんだ?」


「シャルールから、何か聞いてないか?」


「ん?あぁ、そういえば『王子様になって』っていう、意味不明な手紙なら届いたな」


「・・・行かないのか?」


「自ら地獄に飛び込む趣味はないよ」


「だよな〜・・・でも、あいつ待ち続けるぞ?」


「知るか。てか、それすら恍惚として受け止めてそうだけどね」


「・・・あぁ、確かに」



一方その頃のシャルール



「あぁ〜んっ!!これは、焦らしプレイというヤツですのっ!!?ハッもしかして・・・照れてらっしゃる?・・・んもぅっ!!シオン様ってばかわうぃぃぃっ!!!では、わたくしが迎えに行きますわっ!!ガラスの靴を持っていってさしあげますわぁぁぁっ!!!」



数分後。

公爵家にて。。。



「シ〜オ〜ン〜さ〜まぁぁぁっ!!貴方のシンデレラが参上つかまつりましたわぁぁっ!!」


「・・・呼んでるぞ?」


「聞こえない」


「シ〜オ〜ンさまぁぁっ!照れずに出てきて下さいましぃぃっ!!」


「・・・照れてるのか?」


「そう見えるなら、お前の目は腐ってるな。えぐり取ってやろうか?」


「遠慮しとく」


「シオンさまぁぁん!あんまり焦らさないで下さいましぃぃっわたくしっ興奮しちゃいますぅぅんっ!!」


「・・・う〜わぁ・・・おぃ、顔赤らめてるぞ?我が妹ながらキモ過ぎる・・・」


「・・・ほんと、どぅ育てたらあぁ育つんだよ?」


「・・・甘やかしたら?」


「全国の甘やかされて育った奴に謝れ」


「・・・すまん」


「シ〜オ〜ン〜さ〜まぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」


「・・・」


「・・・なぁ」


「何だ?」


「"まめまき"って知ってるか?」


「何だソレ?」


「人間界の行事の一つだよ。なんでも"鬼"を退治して、良いモノを招くらしい」


「・・・豆で退治できるのか?」


「まぁ、"鬼"ってのはモノの例えで、早い話が悪いモノってことらしいよ・・・ところでさ、アレは"鬼"だよな?」


「・・・アレって、アレか?」


「シ〜オ〜ンさまぁぁっ!」


「他にいる?」


「・・・」


「"鬼"は、退治しなきゃだよな」


「・・・それ、豆か?」


「他に何に見える?」


「・・・小石?」


「豆が無かったからね。代用品だよ」


「・・・」


「シ〜オ〜ン〜さ、あっ!シオン様ぁぁんっ!!そんな所にいらしたのねぇっ!あぁ〜んっそうやってバルコニーから見下ろされるの、たまんないですわぁぁっ!そう、まるでロミオとジュリエットのようじゃありませんことっ!?今、そちらに行きますわぁっ私のロミオさまぁぁぁっ」


「鬼は~・・・」


「アレ?ジュリエットってロミオ迎えに行きましたっけ?ま、いいですわ」


「・・・シャルール。逃げた方がいいぞ」


「ん?お兄様?どこにいったかと思ったら、またここに来てましたのねっ!逃げる?私の辞書に逃げるなんて文字は存在しませんわ!!突撃あるのみぃぃっ!!」


「・・・さっさと、うせやがれぇぇぇぇぇっ!!!!」


「きゃぁぁぁぁぁんっ❤❤」


「・・・語尾にハートマークついてなかったか?」


「知るかっ!!さっさとアイツ連れて帰れよっ!」


「断る」







後日談


どうしても『シンデレラ』を諦めきれなかった魔王様。というわけで


「明日、9時から『シンデレラ』をする!」


「・・・またですか?」


「本当にしつこいな」


「いや、だって俺登場せずに終わったからね?」


「知りませんよ〜。ねぇ、シオン様?」


「・・・いや、構わないよ」


「「マジか!?」」


(ニヤリ)「ただし。今回限り、時間厳守だ。遅れたら、やらない。お前は仕事に専念する。それで良いか?」


「良い!遅刻なんてするわけないだろうっ!」


「う〜わ〜。また執務がたまるぅ〜」


「大丈夫だよ」


「何で言い切れるんですかぁっ」


「ま、見てなって♪」


「?」


「よっしゃ〜今日は早く寝るぞ〜!」


「おぃ、ダッド」(コソッ)


「はい?」


「これを〜・・・」(ゴニョゴニョゴニョ)


「・・・マジすか」


「執務を滞りなくしたいならね」


「・・・わかりました。でも、ばれたら助けて下さいね」


「大丈夫だって♪」


「人事だと思って」(ボソッ)


翌日。。。



「まおーさま、こないねぇ〜」


「アンジェ、陛下はまだ寝てるらしいよ」


「そーなの?」


「昨日も仕事が大変でしたから、きっと疲れてるんですねー」(棒読み)


「・・・下手くそ」(ボソッ)


「嘘は苦手なんですっ陛下は夕べそれはそれは早くおやすみだったんですよっ」(小声)


「そっか・・・まおーさま、おしごと、たいへんなんだ・・・」


「ぬぉぉぉぉぉっ寝坊したぁぁぁっ!!?」


「おそよう、陛下」(ニコッ)


「魔王様、ただ今10時です」


「(キッ)ダッドぉ・・・てめぇ、盛ったな?」


「な、なんの事でしょうかっ?」


「陛下〜、自分の寝坊を部下に押し付けるなんていけないなぁ〜。まぁ、約束は約束だから、仕事頑張りな」


「ざっけんなぁっ!こんなもん無効だっ!!」


「・・・まおーさま」


「ア、アンジェっ!違うんだっコレはだなっ」


「見苦しいぞ〜」


「見苦しいですね」


「うっせぇっ!!」


「まおーさま。あのね、おしごとたいへんなら、『シンデレラ』しなくていいよ?」


「えっ、いやっ」(しょっちゅう逃げてるから、別に大変じゃない)


「まおーさま、よるおそ〜くまでおしごとしてたんでしょ?なら、むりして『シンデレラ』しなくていいの」


「・・・」(夜遅くまで仕事してない)


「アンジェとあそんでくれるの、すごくうれしいけど、アンジェのせいでまおーさまつかれちゃいやなの」


「いやっ!アンジェのせいなんてことはないぞっ!!全然疲れてなんてないしなっ!?」(その分ダンガードが疲れてる)


「ありがと。でもね、あそぶのへらそ?そしたら、まおーさまもつかれないから」


「・・・(ポカーン)」


「アンジェ、そう言うときはこう言うんだよ(ゴニョゴニョゴニョ)」


「・・・しばらく、きょりをおきましょう?」


「っ!!?」


「というわけだから、陛下(ポンッ)んじゃ、仕事頑張れよ(ニヤニヤ)アンジェ、帰ろう」


「ばいばい、まおーさま」


「っ!!!!!」


「・・・うわぁ。シオン様、むっちゃ楽しそう」


「〜〜〜っダッドっ!!!」


「っはいっ!?」


「仕事あるだけ全部持って来いっ!!今日中に終わらせるぞっ!!」


「・・・マジすか」



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