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魔王様の婚約者! 2  作者: イナミ
番外編
5/8

惚れてまうやろぉぉっ!!

お待たせしました〜(待ってねぇって?笑)


魔王様がついに出会います!!

葉を掻き分け、様子を伺う。


―――ガサリ。



…そろそろいいか?



泣きっ面のダンガードを送り出した後、俺は物影に身を潜めていた。


ダンガード、お前の死は無駄にしないぞ。


安らかに眠れ。



え?

まだ死んでない?


いやいや、アレは死んだだろ。

屋敷の扉から地獄が見えたもの。



さて、と。


俺はゆっくりと屋敷を覆う結界に近づいた。

虹色に輝くソレは、この家にとって悪しきものは入れない……つまり、俺除け?みたいな。

俺虫扱い?



だって、ハウデン家に逆らうような奴はいない。

いても、即効返り討ちだから、敵にもならない。

奴らが警戒するのは、自分たちより強い存在…つまり俺しかいない。


ふん。

いくら師匠とシオンが張った結界と言っても、俺に通じるとで……っ!?


結界を破ろうと手を伸ばして、触れる直前で手を止める。


あ、あぶねぇ〜っ

俺除けに紛れて、普通の感知結界も張られていた。


触れたらアウト。

破ってもアウト。


……めんどくさっ!!

どうせ俺の伴侶なんだからいくら遠ざけても無駄なのに!

どんだけ嫌なんだよ!!


まぁ、破るけど!

でも、気づかれちゃダメなんだよなぁ…

気づかれた時点で、ダンガードは間違いなく死ぬよなぁ〜……


ダンガードがいなくなったら、仕事を肩代わりする奴がいなくなる……それは嫌だな。


仕方ない。

面倒臭いが、当初の予定通り、気づかれないようにするか。


俺は目を閉じ、魔力を練り上げる。

防御系の魔法って苦手なんだよ。

攻撃こそ最大の防御だろ。

俺は防御なんてしなくても余裕で勝てるし?


…でも、これからは防御系も鍛えるべきか…

何てったって、可愛い伴侶が出来たんだ!

いつ狙われてもおかしくないもんな!



よっしゃ、やる気出てきた。



そうこう考えてる内に、結界が出来た。


うん、なかなかの出来。

さすが俺。



体を覆う黒いモヤ。

コレで、屋敷を結界に感知されずに突破出来る。



待っていてくれ!

俺の愛しい人!

今、会いに行くぞ!







………甘くみていた。


まさか、結界が50個もあるとは……


魔王城より厳重な要塞じゃねぇかっ!


だが、俺の手にかかれば突破出来るんだ!


ざまぁっ!!



無事敷地内にたどり着いた俺は、慎重に彼女の気配を探った。


入口から一番遠い位置にある部屋に、彼女はいた。



むぅ。

さすがに、一人ではないようだが…魔力からして、護衛か?


チッ。

ダンガードめ。

引き付けるなら、全部引き付けろよ〜。



木の影に身を潜め、彼女がいる部屋の窓を見つめる俺。



……今、ストーカーじゃん。とか思った奴。

今夜枕元に立つからな!

枕元に立って、彼女への愛を、延々と朝まで囁き続けるからな!?



とにかく、だ。

部屋の中が見えない事には、策のねりようがない。



というわけで、目に透視の魔法をかけてみました☆


壁が透けて、室内がバッチリ!

……いやいや、悪用した事はないよ?

まだ彼女も子供だしな!


俺はロリコンではない!!


ロリコンではないが………何だアレ?



可愛い過ぎるだろっ!!?


汚れの知らない白い肌はまるで雪のよう。ぷくぷくした頬は、健康的な桜色。艶のある唇は真っ赤な林檎。

大きな瞳はキラキラ輝き、星が散らばめられた夜空を切り取ったみたいだ。その瞳を縁取る長い睫毛は、幼いながらに色気がある。

髪を高い位置で二つに結い、ピンク色のリボンで結んでいる。

子供らしいフリルたっぷりのふわふわしたドレスもピンクで、ウエストには赤い大きな幅広のベルト。腰に大きなリボンが付いている。


天使だ!

天使がいる!!


羽が見えないのが不思議なくらいだ!

俺が羽を毟った天使なんかよりも、遥かに可愛い!


…まぁ、あいつは男だったんだが…


とにかくっ!

無茶苦茶可愛いっ!!


…あ、鼻血でそぅ。



……ただ、金髪なのが気になるが。




…まぁ、いいか。

可愛いし。


だが、戻す!!

黒の方が似合うはずだ!!


…それよりか問題は、傍に控えるメイド二人。




あの魔力でメイド!?


化け物じゃねぇか!!


あれだけ魔力ありゃ、もっと高い地位につけるぞ!?


いや…この屋敷、このレベルのメイドがうじゃうじゃいる………



ば、化け物屋敷めっ!!



わかりやすく言うと、一般人はレベル10が平均。

貴族のメイドは掃除が出来ればいいわけじゃないので、レベル50くらいはなきゃ勤まらない。

で、ココのメイドはほとんどレベル100以上ある。

……化け物めっ!!



ちなみに、ダンガードはレベル約5000。

コイツもなかなか規格外な奴だ。


シオンは約10000。

化け物一号と呼んでやる。

普通の貴族は3000ありゃ良い方だぞ!?


公爵は約9000だが、亀の甲より歳の甲で、経験があるからシオンより強い。

化け物の総大将だ。



このレベルは魔力のレベルなので、剣技などとはまた別ものだ。

だから、魔力があっても弱い奴は弱いし。

魔力がなくても、強い奴は強い。

所謂、人間界のゲームによくあるMPとHPみたいなもんだ。



魔力は見える奴には見えるが、剣技とか見えねぇからHPはわからねぇ。

じゃぁ、魔力のレベルとか分かっても無駄じゃね?とか思った奴…甘いな。


魔力のレベルが分かれば、使える魔法のレベルもおのずと分かるだろ。

ソレを知ってるのと知らないのでは、かなり戦況が変わってくる。



俺のMP?

ハッ。俺はレベル無限大だっての。




さて、説明は終わりだ。



というわけで、いくら俺より魔力は遥かに低いとは言え、厄介なのにはちがいない。

そう簡単に離れないよなぁ〜……メイドがバタフライナイフとか持っちゃ駄目だろ。スカートの下に銃何丁持ってんだよ!?

体武器だらけじゃん!

戦う気満々じゃねぇか!?



あ!

俺の天使を膝に乗せた!?


う、羨ましいっ!



じゃなかった。


……仕方ない。

眠らせるか。



あん!?

つまんないだと!?


うっせぇ!!



慎重に睡魔の魔法をメイド二人に送りこむ。


気づかれないように慎重に、慎重に。少しずつ、少しずつ……







5分程経って、ようやくメイド二人が地に伏した。


………なんだよ。


床に寝転がってんだから、伏してるでも間違いじゃねぇだろぅが。



いきなり眠ってしまったメイドに天使が困惑している。


メイドを揺すってる天使は、わけがわからず泣き出しそうだ。



……泣きッ!?泣いちゃダメだって!!



慌てて窓に駆け寄り、こんこんとノックする。



「?」


きょとんとした顔でこちらを見上げる天使。

か、可愛いっ!!

ウルウルした目で見上げるとか…小悪魔、いや。悪魔なんかじゃない!

小天使めっ!小天使って何だ!?



一人で悶える俺をみて、首を傾げる天使は、可愛らしい口を開いた。


「だあれ?」



声もかわいっ!?

落ち着け俺!

何事も第一印象が大事だ。

俺は一つ深呼吸すると、ニコリと微笑んだ。


「私は魔王だ。君の名前は?」


「…あんじぇ」


天使はやはり天使(アンジェ)だったぁぁ!!


少し怖いのか、ギュックマのぬいぐるみを抱きしめるアンジェ。

だが瞳は興味津々と言った様子でこちらを伺っている。


「まおーさま、ネィとリィがおきないの…なんで?」


それは俺が眠らせたからです。


…なんて言えるわけねぇだろっ!!


「きっと疲れていたんだ。眠らせてやろう」


「…だいじょぶかな?」


舌足らずっ…可愛い過ぎ…


「あぁ、一人は寂しいだろ?私と一緒に遊ぼう」


「あそんでくれるの?」


キラキラと輝き出した瞳。

ヤバいわ〜

可愛いわ〜


「あぁ。こちらへおいで?良い天気だ、外で遊ぼう」


「うん!」



満面の笑み。

ちょ、まじ鼻血でそう。


ととと、と駆け寄ってくる足がピタリと止まった。


「どうした?」


何かに気づいたか!?


「ちょっとまってね」


てとてと、と可愛らしい足音をさせて部屋の隅へ行くと、丁寧にたたまれた毛布を抱えようとする。

自分より大きな毛布の固まりを抱える足取りはヨタヨタと危なかっしく、慌てて魔力で補助してやる。


なんとか毛布を運び終えると、ソレを眠るメイド二人にかけている。


ほ、惚れてまうやろぉっ!!

いや、もう既にベタぼれだが!

更に惚れてまうやろぉぉっ!!



シオンと血が繋がってるとか嘘だろ?


「おまたせ!」


再び笑顔で駆け寄ってくるアンジェ。

あぁ、可愛えぇ!


「優しいな?」


柔らかい髪を撫でてやると、えへへ。と照れながらも嬉しそうに微笑む。


……この小天使めっ!!


「でもね?ネィとリィのほうが、やさしいのよ?だってね?アンがねちゃったら、ふたりともいっしょにねてくれるの!」


う、羨ましいっ


「そうか。それは、うらやまゴフンっ!…優しいな」でしょ?っとにこやかに笑うアンジェ。


いや〜…添い寝とか。添い寝とかっ!!

くそぅ!羨ましすぎるっ!

だが!

今からアンジェは、俺のモノだ!!添い寝し放題だぞ!フハハハ!!



……自分で言って自分で凹んでしまった……まるで悪役じゃないかっ


俺は悪役じゃねぇ!!

捕われの姫を救う、むしろヒーローだよ!!

魔王にして初のヒーロー誕生日だ!!

今までにないニュータイプのヒーローを皆さんよろしく!!


……話が逸れたな。

興奮しすぎた。

テンションがおかしな事になってきている。

一旦冷静になろう。


とりあえず。

アンジェをココから連れ出すっ!!


「アンジェ、おいで。外で遊ぼう」


「うん!」


差し延べた俺の手に、アンジェの小さな手が重ねられた。



……あぁ、やっと。


やっと、手に入れた。


俺の愛しい片割れ。


俺のアンジェ。










「というわけだ」


相変わらず青い顔をして、プルプルと体を震わせているダンガードに、アンジェとの運命的な出会いを子細教えてやった。


ダンガードが悲鳴をあげて、意識を失ってから数時間後。

とっくの昔に城に到着し、アンジェと楽しい昼食を済ませた後、アンジェは再び夢の中。いわゆるおひるねタイムだ。

その間、コイツはずっと意識を失っていたわけだが・・・腕の中で眠るアンジェの寝顔を堪能していると、覚醒したダッドがいきなり部屋に乗りこんできて、事の経緯を教えろと詰め寄ってきたので、俺とアンジェの運命的な出会いをやったというわけだ。


「な、何が「というわけだ」ですかぁぁっ!!意味がわからない意味がわからないアイ!アム!イミフ!!」


お前の方がイミフだ。

まったく、やかましい奴だ


「え、何その困った奴だ的な顔!?僕が騒いでる意味がわかってない時点で、あんたの方が困った奴なんですが!!?」


「うるさい。アンジェが起きるだろ」


「おきないでしょ!!どうせ、防音の魔法張ってるんでしょう!?てか何で眠ってるんですかぁ!!盛ったのか?盛っちゃったのかぁぁ!!?盛って何する気だったんですかぁぁっ!!?」


「盛ってない!ちゃんと成人するまで待つっての!!」


「誘拐してる時点で『ちゃんと』してないんですがっ!!?成人するまで!?したら何する気だぁぁぁっ!!」


くっ…コイツは毎度毎度痛い所をっ


「会うだけって言いませんでした!?言いましたよねっ!?会って話すだけって!!それが!何で!?」


「会って、話したら、可愛くて手放したくなくなって、アンジェが遊び疲れて寝たから連れてきた。ちなみに今はお昼寝タイムだ。」


「連れてきちゃだめぇぇっ!!?欲望に忠実かっ!」


「魔王だからな」


「何そのドヤ顔!?殴りてぇぇっ!!」


「来いよ。返り討ちにしてやる」


「いくわけねぇでしょうがっ!!ハッ……」


ダンガードが急におとなしくなり、俺をジッと見つめてきた。

「まさかまさかまさか?いやいやまだ子供だし……」と何やらぶつぶつ呟いている。


…気持ちわりぃな。


「なんだよ」


「……陛下、まさかとは思いますが……姫にナニかしてないでしょうね?」


「はぁ?」


思わず呆れた声が出る。

何を言い出すかと思えば…


「で、ですよねぇ〜っ!いくら陛下でもこんな幼女に…」


「キスしかしてねぇよ」


「あダメだ。死んだわコレ。しかってなんだ!しかってぇぇ!!」


「むしろソレしか出来ないのが口惜しい…」


「おい変態。今すぐ姫をコッチに渡しなさい」


「ふざけんな。ナニする気だよ」


「ソレこっちの台詞っ!!何してんですか!!こんな小さな子にキ、キスだと!?衛兵ぃぃ!!変態を引っ捕らえろぉぉっ!!」


ダンガードの言葉に、近くの衛兵が「おれ?」みたいな顔でワタワタしてる。


やめてやれ。衛兵が戸惑ってるだろぅが。

つか衛兵ごときに俺が負けるとでも?


「落ち着けダッド」


「死亡フラグがこんな近くにいるのに、落ち着けるかぁぁ!!」


死亡フラグ?何言ってるんだコイツ。


「大丈夫だって」


「その自信はどこからくるんですか!?全然ダイジョばないですが!!」


「何のために結界張ってきたと思ってんだ?アレを解くには最低でも一週間かかる。それまでに対策を練るさ。」


あの結界は俺の渾身の作だ。

ちょっとやそっとじゃ破れねぇ。


いや〜。

張ってきといて良かった!

時間に余裕があるから、アンジェとイチャイチャできる!


「見切り発車!?対策無かったんですか!?無いのにそんな余裕ぶっこいてんですかっ!?」


ほんとにうるさい奴だなぁ〜


「対策練る間があれば、アンジェと寝る」


キッパリと言いきった俺に、ダンガードが目を白黒させている。


「アホッ!!このアホ魔王!!」


…コイツ、最近俺のこと舐めてね?


「つか!姫にはどう説明するんですか!?」


「?説明ってなんのだ?」


「どうせ家に帰さないんでしょっ!!?どういうんですか!?シオン様とご両親は、結界の中に閉じ込めたっていうんですか?」


なんだそんな事か。


ダンガードの声が小さくなっていき、顔も少し青ざめた。


どうせアンジェを泣かせてしまった時の、シオン達の報復を想像したんだろう。


……お、おぉぅ。

確かにちょっと怖いな。

だが、安心しろ。

俺がアンジェを泣かすわけないだろ。


「心配すんなって。もうアンジェには言ってある」


「…はい?」


「だから。アンジェには、シオン達は暫く忙しいだろうから、その間俺の家に来ることになった。って言ってある」


「はぁぁぁ!?ココに泊めるんですかぁぁ!?」


「当たり前だろ。他にどこがあるってんだ」


「ですよね〜っ!!もぅ嫌だこの人!!」


ダンガードが突っ伏して泣き出した。


…男が泣いても、全然可愛くねぇ。




「……ぅん」


ダンガードの声がピタリと止み、変な緊張感を漂わせる。


モゾリと腕の中で眠るアンジェが動いた。


そろそろ目が覚めるか?


ちょっと顔をしかめて、モゾモゾ動く天使。

何これカワイっ!


目覚める瞬間のアンジェを堪能している側で、ダンガードがオロオロしはじめる。

動くなウゼェ。



「ぅ〜…まおーサマ?」


目をゴシゴシ擦りながら、俺を見上げるアンジェ。

目はまだトロンとしていて、完全に起きていない目をこちらに向ける。



カッワイッ!



「目が覚めたか?」


「ぅん…おはよ〜」


アンジェはふにゃっと柔らかい笑みを俺に向けた。

俺は堪らなくて、小さい体をギュッと抱きしめた。


ダメだこれ。

可愛すぎる。


「ふふ。くすぐったいよぅ」


クスクス笑って身をよじる彼女と、包むように彼女を抱きしめる俺。


一見恋人のようだが、如何せん、彼女はまだ幼い。

今はまだ恋人というより、兄妹のようだろう。


だが、それでもいい!


今俺はとてつもなく幸せである!


アンジェの柔肌から、香る匂いは甘い……お菓子か?………うん。まだ子供だからな。

いずれは、甘い花の匂いとか言いたいね。


それに、綿菓子のようなこの匂いも、嫌いではない。

むしろ、良い。



あまり露骨に匂いを嗅いでると嫌われそうなので、さりげなく、深呼吸を繰り返す俺。


あぁ〜…幸せだぁ。


「へ、へ、へ、陛下ぁ〜」


・・・殺してやろうかダッド?


不躾な声に、今までくつろいでいたアンジェがビクリと震える。

どうやらダッドの存在に気づいていなかったようだ。

ほんとに…空気を読めよ。

空気を〜

それで宰相なんざ、よく務まるな


「あ!おにーさま!」


そうそう、お兄様も・・・お兄様っ!!!?


バッと視線をあげると、ダンガードの襟をつかみながらこちらに万面の笑顔を向けるシオンの姿。


なんで!?


「やぁ。お楽しみのところ悪いね」


全然悪いと思っちゃいない態度で、ニコリとほほ笑んでいるシオン。

額に見える青筋は、気のせいなんかじゃない


「・・・なんで、ここにいる?」


警戒した声を出すと、シオンはさらにほほ笑んだ。

やめて。

怒りながら笑うとか、チョー怖いからやめて。


「置き土産をありがとう?十分楽しんだから、アンジェと迎えにきたよ」


「もっと、時間をかけてくれてかまわなかったんだが?」


「いやいや、これ以上迷惑かけちゃ悪いからね。そうそうに帰らせてもらうよ。話は今度、じっくりと、父上を交えてしようじゃないか」


断りたいです!

師匠が一緒とか、反則だろソレ!!


バチバチと散る火花。


シオンの視線からは、コイツ(ダッド)がどうなってもいいのか?と読み取れるが、悪いダッド。俺とアンジェのために死んでくれ。

つーわけで、そいつは人質にはならねぇよ。という視線を返す。

それに気づいたダッドが青い顔を必死で左右にふり、助けてくれてと訴えてくる・・・が無視だ。


「アンジェは、今日ここに泊まるんだ」(アンジェは俺の伴侶だから一緒にいるんだよ)


「おいで、アンジェ。家に帰ろう」(こんな所に、てかお前みたいなやつのところに置いとけるかぁぁっ!!)


口にする言葉とは関係ないやり取りを視線でしていると、腕の中のアンジェが俺の服をツンとひっぱった。


「まおーサマ。おにーサマがきたから、アンジェかえるね」




・・・・・・ガァァァァァンっ!!!!


えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!

マジでかぁぁぁぁぁぁっ!!?

俺とアンジェはつながってると思っていたのにっ!!

帰っちゃうのぉぉぉっ!!?


あ、くそ!!

シオンの勝ち誇った顔がむっちゃムカツク!!!


「うん。またむかえにきてね。アンジェ、まおーサマのこと、だいすきだから、またあそびたい」



ぎゃ、逆転サヨナラホームラァァァン!!!

ざまぁっ!シオン!!

聞きました!?

『だいすき』だってぇぇぇぇっ!!

たまんねぇぇぇっ!!


ププっ!シオンのやつ、顔色超悪いしっ!(笑)


今度は俺が勝ち誇った顔をシオンにむけてやる。


ドヤッ!!!



「じゃあね。ばいばい。おにーさま、かえろ?」


アンジェが俺の腕の中からスルリといなくなり、シオンの元へと向かう。

・・・・寂しい、が!アンジェは俺の事がだいすきだからなっ!

あの言葉だけで、俺はしばらく頑張れる!!


「あ、あぁ。帰ろうな」


ショックから立ち直ったのか、シオンは俺に見せつけるようにアンジェを抱き上げた。

そして、ギュッと抱きついてくるアンジェの背を優しくなで、こちらにひきつりながらもドヤ顔を向ける。


・・・腹立つなぁ。


ちなみに、ダンガードはとっくに解放され、壁際で傍観を決め込んでいた。


「ばいばい、まおーサマ」


「・・・あぁ、アンジェ。またあ―――」


バタンッ!!


・・・シオンのやつめ。

また明日迎えに行くと、言おうとしたのに、途中でドア閉めて遮りやがった。


まぁ、いい。

次からは、堂々とアンジェに会いにいける。


やっと見つけた俺の伴侶。


これが、魔王とアンジェの初めての邂逅だった。



    ※


・・・あの姫すげぇ。


一触即発の二人を、あんなんに簡単におさめちゃったよ・・・


姫が「帰る」と言えば、陛下はとめれないし。

姫が「まが来たい」と言えば、シオン様はとめれない。


・・・策略?いやいや、あんな小さい子が、それはないか。

じゃぁ、天然?無意識?

・・・う~む、末恐ろしい。



    ※


それ以降、毎日アンジェに会いに行っては、連れ帰り。行っては連れ帰りを繰り返した魔王。

当然仕事は滞り、ダンガードがブチ切れるのは、まだ少し先のこと・・・。


予想以上に魔王様とアンジェの絡みが少ない……ま、いっか。


「よくねぇぇぇっ!!」


魔王様うるさいです。


魔王様は将来、確実に透視の魔法を使うでしょう。アンジェに何か盛るかどうかは置いといて、ナニかをすることも確実ですよね!

アンジェが成長するまで待てよ!!


「成長してもさせないよ」


シオンは一生シスコンでしょうね。

結婚しても、妹優先しそぅ…


ダンガードは何気に生き延びてますね。

残念。


「ぅおいっ!!?残念って何ですか!!」


そのまんまの意味ですよ。

次は魔王様とアンジェの絡みをもっと書ければいぃな。


公爵様たちの結界破りとか、魔王様がいつアンジェにキスしたのかとか、色々謎だらけですが…とりあえず、『邂逅編』終了って事で☆


いずれ書きますよ!!

書きたいですよ!!

書ければいいな!!


あと、どーでもいい情報↓

アンジェの護衛兼メイドさんの名前は、リィが『リーナ・メディアン』。ネィが『ニネレニアレイア・アルフェリオ』です!

噛まずに言えるかな!?フフフ


ネィには弟がいて、弟の名は『ヌイトラ・アルフェリオ』。


わぁ〜どーでもいい〜☆


…メイドさんとアンジェの出会いとかも書きたいなぁ。ウズウズ


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