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開かれる道

2026年6月29日 現実370

初夏の日差しが窓から入り込み高橋時馬はまだ起きたくない顔をしながらも体を起こした。

「眠いーー」

文句を言いながらもベッドから降りて階段に向かう。

「あーやっと起きてきた!遅刻するわよ」

時馬の母親の正子は弁当を机に置くとおにぎりを手渡した。

「ありがと、」

時馬はまだ眠そうな顔を擦るとソファーに腰掛けおにぎりを口に運んだ。

食べ終わると颯爽と着替えを済ませて、急いで家から出る。

「いってきまーす」

「行ってら!」

正子に送り出された時馬は少し笑顔で走り出す。

(今日こそ!話すんだ)

時馬は何か学校ですべきことがあるようだ。


時馬は学校に着くと席に座り斜め前にいる他の女子と仲良く話している子を見つめる。

「えーそれすっごくオシャレ!私も欲しいかも〜」

楽しそうに話すのは時馬の思いびと、毛利彩だ。彼女はクラスでも人気者で人当たりがよく男女問わず楽しく話せる。いわばクラスのリーダー。

「それな!今日買いに行こーよー」

「今日月曜日だよー金曜にしない?」

「そこをなんとか!ね」

彩は友達からの誘いを金曜に変更したそうだが、友達の目力に圧倒されてる。

「いいよ、私の負けー」

彩はとても楽しそうだが友人の押しに弱いようだ。


結局朝は話すことができず。時馬はいつも通りダメだ。

そうなんと時馬は彩とは運良く3年間クラスが同じなのだが未だ仲良くなることは叶っていなかった。アタックできない貧弱ものなのだ。


午後 昼急でトイレに行った時馬は同じくトイレから出てきた彩の後ろ姿を見る。

「もう、り、、」

時馬は勇気を出して話してみようとするが声は出なかった。心では話したいと思っているが嫌われてしまう事を恐れている時馬の体は話す事から逃げている。

(またダメだ、全然ダメだな俺。)

そんなふうに遠のいていく彩の背中を見つめる時馬だったが。

「ん?時馬くんなんか言った?」

なんと向こうがあの小さな「あ」の声に気付き話しかけてきてしまった!最大のチャンスと最大のピンチが同時に来たかのような感覚に苛まれる時馬の心。

(え!?どうしよう、何かって言われても話したいことなんて思いつかないし。特に、、、、無理こんないきなり話すなんて無理!!!)

時馬を見つめる彩の目は不思議なものを見るような目をしていた。

「いいや、なんでもない」

時馬は逃げた。

「なんだー髪にゴミでも付いてるのかと思ったよー」

彩はこんな時馬に対してもとても優しく天使のようだ。

その時、周りの空気が突如として変わる感覚を2人は肌で感じた。とても邪悪で怖く寒い。

「寒、ごめん私教室帰るね」

彩が一歩踏み出したその時、彩の足元の床にヒビが入った。

「え?」

彩の体が止まった瞬間そのまま床が割れて彩は突然現れた空間に落ちた。

「ちょっどゆこ、、、」

彩は急な事に戸惑っていながら落ちていく。

「え、さやか?落ちたのか?だ、誰かっ、」

時馬は恐怖のあまり腰が抜けてしまいその場に座り込んだ。まだ裂け目は無くなっていない、それどころか時馬の方に広がっていく。

「やめろ、くるな!あああ、誰か誰だもいい!」

時馬が必死に助けを求めるが周りには誰も居ないどころかさっきまでいたはずの学校なのに暗く、この場所自体が別の場所のように感じる。

「やだよ、こんなところでまだ、まだ、」

時馬の脳内にはうっすらと彩の顔が浮かぶ、しかし裂け目は少しずつ時馬に迫る。

「やだ!やだよーーっ」

時馬は裂け目の穴に落ちた。

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