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不器用な怪異たちシリーズ  作者: 瀬戸 陽子


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【本編】Ep.2 座敷童子とスマホ

なぎが外出した後の静まり返った部屋。

充電中のスマホから流れる音楽に誘われ、座敷童子がそっと手を伸ばす。

指先が画面に触れたとき、怪異と現代技術の不思議な交流が始まった。

1. なぎの外出


玄関の扉が閉まると、部屋には音楽だけが残った。

古いスマホから流れる、軽やかなギターの音。


座敷童子はその音に吸い寄せられるように近づく。


座敷童子:

「……きれい……」


スマホは充電ケーブルにつながれている。ランプは赤く点滅していた。

画面がふっと光ったり、すぐ暗くなったりを繰り返している。


――充電が足りないのだろうか。


座敷童子:

「……ひかってる……?」


白い袖が、音楽に合わせてふわりと揺れた。胸がどきどきする。


---


2.好奇心


座敷童子はそっと手を伸ばす。なぎの真似をするように、指先を画面の上に滑らせた。


スッ……ピアノの旋律が流れ出す。


座敷童子:

「……っ!! う、うごいた……!」


驚きで目がまんまるになる。もう一度、そっと触れる。


スッ……今度はトランペットの高鳴り。


座敷童子:

「……おもしろーい!」


スッ……次は童謡だった。


座敷童子:

「……なつかしい…」


音楽が流れ続ける中、座敷童子の胸の奥がぽっと温かくなる。姿が、ほんの少しだけ濃くなった。


---


3.カメラ遊び


スマホの端をぽんと押すと、カメラが起動した。

画面には部屋が映っている。だが、自分は映らない。


座敷童子:

「……いない……?」


不思議そうに首をかしげると、フィルター機能が誤作動したように画面に猫耳がついた。


座敷童子:

「……っ!? な、なにこれ……!」


次の瞬間、思わず笑いがこぼれる。


座敷童子:

「……かわいい……!」


袖が揺れ、足元がふわっと浮く。姿がさらににじんでいく。


画面の端に、白い揺れが一瞬だけノイズのように走った。


座敷童子:

「……たのしい……!」


部屋の空気がいつもより明るく揺れ、その笑顔は“気配”ではなく確かにそこにいるように見えた。


---


4.なぎの帰宅


カチャリ。玄関の鍵が回る。座敷童子はスマホの横で固まる。姿がまだ少し残っている。


なぎ:

「ただいま…… あれ、なんか曲変わってる?」


なぎは部屋を見渡し、音楽アプリの再生履歴が童話だらけになっているのを見つける。


なぎ:

「……あれ?

 こんなの聞いたっけ……?」


その瞬間、

なぎの視界の端で――

白い袖がふわりと揺れた…気がした。


なぎ:

「……ん?」


なぎは目をこすり、

首をかしげる。


誰もいるはずのない空間に

独り言のように呟く。


なぎ:

「……まぁ、いっか。

 使ってない時なら……使いなよ」


座敷童子:

「…………っ」


座敷童子は胸の奥がふわっと温かくなるのを感じた。


---


5.小さな変化


なぎが夕食の準備を始めると、座敷童子はそっとスマホの横に座る。ギターの軽やかなメロディが心地よい。


もう怖くない。もう不安じゃない。


座敷童子:

「……また、あしたも……」


小さな声は届かない。だが、部屋の空気は確かに柔らかくなっていた。


次話:サブストーリー②お節介な神様

2026/03/04(水) 20:00に更新します

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