第7話 嘘
「中里」の状態を確認した移住担当者達は、地球への報告を行うことを決定した。
誰の責任でもない為、ありのままの事実を報告することにし、移住者399名とスタッフ60名が行方不明とし、生存者は重症者1名と連絡を入れた。
地球にある「世界機構 移住管理部」に詳細が伝わると、オフィス内はパニック状態となってしまった。
459名も行方不明になってしまった為、心配する者、保身を考えるものがそれぞれ談義している。
そんな中オフィス内に大声が響きわたる。
「落ち着け!静かにしろ!」
声を発したのは管理部長である「山下」だった。
「山下」は部下に詳細な報告をするように言った。
「移住者が移住船内部で行方不明になりました。459名です。生存者は1名ですが重症のようです。」
「山下」は静かに息を飲み込んで、大きなため息をついた。考えていた事は移住者の心配ではない。
この状況をどう報告するか?
このままだと責任を自分に押し付けられる可能性があるかも知れない。どう回避するか?
「山下」は根本からクズ人間だった。
上には諂い、下には厳しかった。
他人を蹴落とすことも悪い事とは全く思っていないタイプだ。起こす事象が通過する駅のように「山下」は何も感じないのだ。
「山下」は部下に言った。
「このまま上に報告すれば、私は愚か、みんな立場も危うくなる。部署全員が責任を取らされる可能性だってある。だからこの件は私の任せて欲しい。」
部下は圧倒され返事ができなかった。
「山下」は続けて「事故の内容は私がどう報告するか考えるから、絶対に他言しないように!」と言明した。
「山下」はオフィスを後にし世界機構の総長室へと向かった。
総長室前には秘書が2名おり、各々が仕事をしている。
「山下」は秘書に1人に声をかけた。
「移住管理部の山下だが、至急総長とお会いしたい。重大な事件が発生しておりその報告に来た。」と伝えた。
秘書は「少々お待ちください。」と「山下」に伝え目の前にある受話器を取って話始めた。
「移住管理部の山下部長が至急の件でお見えになっています。お通ししてよろしいでしょうか?」
数秒の後「かしこまりました。」と言い受話器を置いた。
秘書は「山下」に「どうぞ入室ください。」と言った。
「山下」は小さく頷き、総長室へと入って行った。
「山下」は総長に挨拶をすると、移住船で事件が起こったと説明した。
「移住者が移住船から行方不明になりました。生存者は1名で重症です。どうやらその1名が何らかの方法で459名を消した可能性があります。
今現在犯人の事情聴取を行っており、続報が入り次第お伝えさせていただきます。」
「山下」は保身の為の嘘を報告した。




