6/11
第5話 希望からの絶望
「中里」が乗った移住船はオートパイロットにより「エルビダ」へ向かっていた。
満身創痍の中ただ茫然と移住船の床を眺めていた。
身体は異常を起こし、周りにいた人々は消えてしまった。
船内のアナウンスが流れてきた。
もう間も無く「エルビダ」に到着すると機械の音声が言っている。
到着後にこの現状をどう説明すれば良いのかわからない。詳細に伝えたくとも、自分自身は状況判断に追いついていなかった。
やがて移住船は着陸体制へと入っていった。
モニターには地球ような外観をしている。
機械のアナウンスが「エルビダ」での注意点を一方的に語っていた。しかし「中里」には届いていなかった。
出発以前に説明会があり、「エルビダ」での注意点は説明されていた。
酸素濃度が地球よりも薄い為、外に出る際は簡易的なマスクが必要な事、重量が地球の80%しかない事、未確認生物に決して近づかない事等の内容であった。
日常生活は大型シェルターの中で過ごす為、ほぼ地球と同じ環境で過ごせるとの説明もあった。
「中里」には機械のアナウンスが全く聞こえていなかった。自身が大変な状況下の場合に他人の言う事に聞く耳を持てる人は多くない。ましてや機械のアナウンスなど耳に届くはずがなかった。




