誰かにハメられたようです。
終わった。
そう思いながら冒険者が飛びかかってくるのを眺めていると、あることに気づく。
あれ、連続殺人??
確かにターリャは路地裏で発砲したが、殺していない。
「ひっ人違いですよ、完全に!!」
ハメられた?!?!
そんな事を言っても変わらず冒険者たちが迫っていた。
「お慈悲をおおおおおお!」
半狂乱になりながらターリャは1番近い冒険者である男の攻撃を避け、武器を奪った。
「うわああああああ!」
男から奪った武器は鎖鎌のようなもので、ターリャは天井の柱に鎖をぐるりとひっかけ、柱の上に登った。
叫びながら普通にとってしまったが、異世界と言っても冒険者のレベルは低いのか?あっさり抜けちゃった。鎖鎌のような武器で最前線に出るとは…。
呆気にとられていたが、そんな事を考えている場合ではない。
冒険者の中には今にも上に飛んで来そうなくらいに目がキマってる奴が居るのだ。
どうなってるんだか。仕事上、命を狙われることが多かった私でも流石に引くぞ。まずは荷物を回収しなければ逃げれないな。そう思ったターリャは十数人いる冒険者の中に飛び降りた。
急に降ってくると思っていなかった冒険者2人は踏みつけ、落ちて来たターリャに真っ先に攻撃した冒険者5人の攻撃をひらひらとかわし、カウンターに置いてある自分の荷物を回収し、鎖鎌を置いた。
「全部避けやがった!」
「おい、魔術師も来い!ギルドを破壊してでも攻撃しろ!」
そんな事をいう冒険者に対して
「そっっそれはやめてください!!」
と顔面蒼白になりながら返す受付嬢。
本当は誰かを人質にとって籠城する予定だったけど流石に上司に怒られる受付嬢が可哀想!!と思ったターリャが人と人との間を走り抜け、なんとかギルドの外に出た。
後ろを振り向くと武器を振り回した大量の冒険者が!
「おいコラ待て!!」
「なんもしてないですって!!」
いや、したって言ったら嘘になるんですけどね?!
全速力で魔法弾や飛び道具、近接攻撃用の剣が街中を飛び交う事なんて滅多にない。
ここで1つ、いい考えがターリャの頭に浮かんだ。
折角異世界に来たのだから魔法を使えば良いのでは?
「ウォーター、ボォォォォォル!!!」
後ろに手を伸ばし、そう唱えた。
しかし魔法は出ない。
「お母さん、あれなあに?」
「見ちゃダメよ!」
引かれた!!近所の子供に完全に!!
魔法出ないのなんでだよ。出ろよ。涙目になりながらも走った。
スキル:身体能力強化のおかげか人より早速く走れたターリャは近くの森に入り、冒険者を撒いた。
はあ、はあ。息を整えながら歩いていたところ数分。草からガサゴソと音がした。
警戒しながら近づくと、そこには真っ白な毛の狼のようなモンスターがいた。
グルルルと唸り、ジリジリこちらに近づいて来ている。
生憎、銃は装弾しておらず、対処の仕方も知らない。
ターリャはくるっと後ろを向き、全力で逃げた。
「なんで最初が強そうなやつなんだよ!死ぬて!!」
気づけば後ろのモンスターは仲間を呼んでいて、ドタドタドタと言う足音が大きく聞こえた。
「鬼ごっこはもうこりごっり!なんちて☆」
1人でボケていると、着ていたジャケットを噛まれて破かれてしまった。
「ああああああ!お助けをおおおお!」
前を見ると森を抜けて渓谷が見えた。
「デジャヴ!!」
本日何度目かの死を確信し、諦めようと思ったその瞬間、後ろからモンスターの断末魔が聞こえた。
「へ?」
「大丈夫?もう安心だよ。」
後ろから声が聞こえて振り返るとその声の持ち主は誇らしげに言った。
「僕たちは勇者だからね。」




