ドライヤーは爆音のようです。
ぶおおおおおおおおおおおおおおおおお
「…!~~。」
ぶおおおおおおおおおおおおおおおおお
「…~~!」
ぶおおおおおおおおおおおおおおおおお
「おい!止めろ!」
アロマが自分で出している炎を止めて無理やりドライヤーの電源を切った。
「ええ…なんでよ。異世界に来たらドライヤー使えないーと思ってたら使えてテンション上がってたのに。」
「俺の魔法があるから使えてんだよ。感謝しやがれ!」
ドライヤーは中に熱に反応する風魔法の魔法陣が内蔵されており、アロマが魔法を使って熱(炎)を起こすことで使える。電気無しで使えちゃうとってもエコな代物だ。それ故に爆音だ。炎をつけているからあまり関係ないけれど。
「そんなことより、さっきから話しかけてるのに無視すんなって。」
「お前がドライヤーを止めていないのが悪いんだよ!俺は聞こうと努力していましたけど?!」
イライラしているアロマを無視してそのまま続ける。
「サダメさんてなんか人格変わることあるけど、なんで?」
「俺に聞くなよ、本人に聞け。」
「本人に聞くのは気まずいでしょ。」
はあ、とため息を吐いてからアロマは語り始めた。
「サダメさんがああなったのは俺のせいって言うか…。」
アロマが斜め上にあった時計を見上げた。
「コン、タマ、レイ。」
アロマが呼ぶと、なにも居なかった空間にポンポンポンと小さな白いぽよぽよした物が三匹現れた。
「え、なにこれ。」
あまりにもぽよぽよしているものだから、人差し指でツンツンしたくなる。そっと近づくと、すぐにターリャと浮いている三匹の間にアロマが入ってきた。
「触れちゃだめだ!危ないぞ!」
「どうして?こんなかわいいのにー。」
少し残念そうにしているターリャに真剣な声でアロマは言った。
「触ったら呪われるぞ。」
「え?」
不思議に思いながら三匹を見つめる。じっと見ていると、三匹もまたこちらを見つめ返してきた。
「可愛い…。本当に呪われるの?」
「そいつらは俺の母さんを呪い殺した霊だ。」
ターリャは見つめあってにこにこしていた顔がどんどん青ざめていくのがわかった。
「そ、それを早く言いなさいよ!!」
「だから触れるなっていたんじゃねぇか。こいつら悪戯が好きでよくサダメさんに乗り移って人格を変えちまうんだ。サダメさんには悪いけど、こいつら言うこと聞かなくて。」
凄く冷静に返された。やはり少し責任を感じているのだろうか。
「こいつらは俺の能力でさ。正直俺は自分の能力が憎いんだ。霊操とか言いながら全く操れないし。」
励ます言葉なんてターリャには見つけられなかった。
暗くなった空気をごまかすようにターリャは「炎貸して。まだ髪乾いてない。」と言った。
「ふてぶてしいやつだな。」
アロマはぶつぶつ文句を言いながら炎をつけてくれた。
ぶおおおおおおおおおおおおおおおおお
この爆音に救われるなんて思ってなかったな。毛量多くて良かった。気まずい時間から抜け出す口実となったからね。サダメさん本人に聞くより気まずくなってしまったな。人選間違えたか。
そんなことを考えていると、ドライヤーが急に切れた。
「もう髪乾いてると思うぞ。」
アロマに言われてやっと気づいた。ターリャはドライヤーをもとにあった場所に戻した。
「お前が気づくかテストしてやっただけだから。」
そう言って自室に駆け戻った。
部屋についたら布団に潜ってそのまま寝てしまった。
ターリャは、二段ベットのようにギシギシと上から音がしなければすぐ寝れるということを学んだ。
次から寝るときは一人用がいいな。そう思うターリャであった。




