第一話 初恋
小学生の頃だった。
その日、いや、ずっと前からだったかもしれない俺は恋をした。
その人は、まっすぐで、強くて、誰よりもかっこよかった。
「大丈夫?」
誰にも負けない強い眼差しで、見ているその瞳は俺をうつしている。
かっこいい人、憧れの人、
俺の初恋の人___
「ず、、ずっと前から、す、好きです///」
「お、俺とつ、つきあってくだひゃい///」
ーー噛んじゃった//
え、、恥ずい。
「え、、と、つ、つきあってください///」
俺は今すぐ倒れるんじゃないかと思うくらい顔が熱かった。首も、耳も、指先もすべて残さず熱を持っていた。
「小森くん」
「は、、はい」
ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、
今すぐにでも心臓が破裂しそうだった。
彼女はこちらをまっすぐと見ている。その強い眼差しがもっと俺を真っ赤にさせた。
「ごめんなさい」
「え、あ、、っ、、へ、、、」
彼女は頭を下げて断った。
「え、、、、」
ーーえ、、、
まさか断られるとは思はなかった。だって、だって、
「それじゃ、ごめん」
彼女は帰ろうと踵を返した。
え、、なんで、、、なんで、、
「ま、、まって」
ド、、ッ、、ド、、ッ、、ド、、ッ、、
さっきまで破裂しそうな勢いで鳴っていた心臓も次の瞬間止まってしまうのではないかと感じるほど、ゆっくりとなった。
「な、、んでおれ、、じゃだめ、ですか、、」
断られる可能性は少なからずあった。でも、でも、大丈夫だと思っていた。自信を持ってた。何が、だめなんだ、どこがいけなかった、どこをまちがえた、、、
「俺は、だ、、め、ですか」
だめな、、の、
「お、、俺、」
彼女がどんな顔をしているのか見ることができない、、
呆れ顔だったらどうしよう、、怒ってたらどうしよう、、
「どこがだめなのか言って、、ください」
そのまま終わりたくない、、
「お、俺頑張ります、、から」
彼女からしたら断ったのに諦めないから面倒に思われているかもしれない。
そんな俺に意を決したように伝えた。
「、、、、小森くんは凄い人だよ」
ーー!
「勉強もできるし、運動もできる、後優しい人だし」
ーー!!
「誰にでも素敵でいい人だよ」
「え、、あ、、うん///」
そんな風に思ってくれているのが嬉しい。俺のことを見てくれたんだって知れて今喜ぶことではないけどとてつもなく嬉しい。でも、それは全部好きな人のために頑張れたことだから、
見てほしい、知ってほしい、好きになってほしい、そんな気持ちでやったことだから。
「だから、、」
だめな所があるなら直すから、
「だから!」
理想的な人に、完璧な人になるから、
「ごめんなさい、小森くんがどれだけ凄い人でも好きになることはありません」
ーーえ、、、
なんで、なんで、、、
「なん、で、、」
ありえないの、どんなに頑張ってもだめなの、、
「小森」
俺の名前を呼ぶ。
「な、、」
なんで、、
「私、女の子が好きなの」
「え、、、」
ーー女の子がすき、、好き、、、
「だからごめんない」
俺を振るために適当なことを言ったんじゃなくて本心なの、、、
「だから、その好きな対象じゃないの」
頭がぼーとする。男である俺に勝ち目はない、、
「気持ち悪いって思っても仕方がないと思う」
彼女はなんで断ったのかちゃんと説明してくれてる。
「小森…は…、……い………よ」
けど、頭に入ってこない。なんて言っているのかわかんなくなってきた。なんて、言ってるの、
「でも……なの、…」
わからない、わからない、、、
「か、、」
伝えたいけど声が出ない、、
これが最後になるのではと思った。もう、声を出すことができないと思うほど喉が重かった。
「、、かっこい、いじゃだめですか」
俺はかっこいい自分を目指した。勉強、運動、一つ一つ積み上げてきた。好きになってほしかった。
「私は可愛いが好きです」
彼女はまっすぐその強い瞳で見ている。
でも、その一言で一つ、また一つ、積み上げてきたものが一気にすべてが、、、崩れた。
「さようなら、、また学校で」
彼女は颯爽と帰っていった。こんな空気じゃいたくないだろ。俺も止める気力がない。
ポタ、ポタ、、ポタ、、
「ひっ、く、う、っ、、」
好きな人に好きじゃないって言われるのが悲しい。
「好き、、だって、言ってほしい」
その場で泣き崩れそうになった。
「う、っ、ひ、うっ」
そのまま俺は帰った。
帰り道でも、家に帰っても涙がとまらない。
何度も断られたセリフが頭に浮かんだ。
『ごめんなさい』
なんで、、なんで、、なんで、、
な、んで、、、
『小森くんは可愛いよ』
ーーあっ、
最初はショックのあまり受け入れられなかったが彼女は断った理由を言っている時そう言っていた。『可愛い』って。
俺は可愛いのか、、
かっこいいじゃだめ、なら、なら、、可愛いは、、
「可愛い俺なら、、」
『可愛い』ってなんだろう。俺のどこが『可愛い』のだろう。
ずっとひたすら悩んだ。悩みすぎて寝れなかった。でも、もしかしたら『可愛い』なら好きになってくれるの、、では。
『可愛い』『可愛い』『可愛い』『可愛い』『可愛い』『可愛い』『可愛い』『可愛い』『可愛い』『可愛い』『可愛い』『可愛い』『可愛い』
自分が狂ってしまいそうなほどだった。
いや、もうとっくに狂っていたんだろうな。
俺は次の日、学校で起きたことをきっかけで『可愛い』になった。
彼女が見惚れるほど誰よりも『可愛い』くなる。そしたら、彼女にもう一度伝えたい。




