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第二十五章 第二部 交易路街攻防戦

 相変わらず人間との戦闘は激化していた。

 ここは交易の中心的街。交易の大動脈ともいえる場所に俺達は攻め込んでいた。

 それにしても人間のクラスが変化してきている。加護を消費して攻撃の威力を高める近接DPSだ。最初に見たのは神殿でのグレートソード。最近では素手の老人。そして今も目の前に新クラスが居る。

 チャクラムだ。それもデカいやつ。指で回すようなものではなく手で握って切りつけられる奴だ。これが変則的で動きが読めない。最初はブーメランのように飛ばしていたが俺がその軌道を読んで輪投げの要領で相棒に絡めとると途端にそれが暴れ出した。俺が魔素人形に捕らわれた時と同じ、加護操作の武器バージョンだ。つまり加護を消費してその軌道を変えられる。俺の汚れ取り魔法を炸裂させて吹き飛ばしたがアレを纏わりつかされていたら逆に俺の剣が封じられる所だった。

 まさかの武器を加護操作だ。投擲武器を遠隔操作できるならそれこそ銃を飛ばすことも考えられる。俺なら施された銃身を加護で遠隔操作してゼロ距離射撃をするな(フラグ)。思えば俺が捕らわれていた魔素人形も巨大な施された剣を使うくらいならアレを鋳つぶして弾丸にして使い捨て銃身から施された散弾を発射すれば相当な脅威だ。

 人間の技術は進歩している。間違いなく時間は人間に味方している。それに比べて俺達の武器は未だに石の棍棒だ。俺のオーガ部隊は俺の能力で金属の武器が使えてるが、それ以外は惨敗だろう。自然から武器を生み出しているのでは間違いなく魔物に勝ち目はない。魔素の爪や牙のような魔素依存で加護を打ち破れる武器が俺達には必要だ。

 だが人間にも弱点が出てきている。この加護を消費するという行為だ。これは頼りになるのだが肝心の防御面が不安になる。

 俺の目の前にいるもう一つの新クラス。大盾で説明しよう。こいつは加護操作の施された加護盾だ。もうこれだけで強すぎると思うだろう。だが明確な弱点がある。それは。

 俺は受け流される大盾の動きに合わせて衝撃を放つ。あの素手の老人が使っていたやつだ。あれは単純に物理作用だ。触れ合いさえすれば誰でも使える。受け流されても加護を抜いて大盾に相棒を触れさせれば、俺は体勢を整えて衝撃を放つ。これでガードが解ける。ここからが肝心だ。この大盾クラスは盾に加護を集中している。本体の加護は薄い。俺は爪で一気に貫き牙で止めを刺す。

 そう。コイツラは自身の耐久を甘く見過ぎている。俺がグレートソードに苦戦していたのもそのほとんどが耐久に盛られていたからだ。今のがグレートソードだったら分厚い加護で爪で貫くところまで行けず反撃を受けていた。だからこそこの方法は使えなかった。

 ヒーラーにしても一撃で倒されてはなすすべもないだろう。そして。

 俺はチャクラムに肉薄する。こいつが暴れていたのは大盾というタンクが機能していたからだ。それが無くなれば加護の薄い本体など加護無しと変わらない。俺の油断した一撃で致命は免れたようだがその加護は削り取った。つまり加護がゼロで攻撃に転じる事が出来ない。これもまた近接DPSの弱点だ。

 技術は進歩しているがやはり使う人間か。そして俺は気付いている。人間の加護が弱まっている。むしろだからこその近接DPSに大盾タンクなのだろう。低い加護を技術で埋めている節がある。この前のデミ掃除部隊もそうだ。特化することで低い加護を最大限に活かしている。

 だがそれは相手がそれに沿った相手か弱い場合に限られる。今の状況がそうだ。だからこそオーガの俺に一蹴された。もしも大盾タンクが自身に加護を盛っていればこの状況はなかっただろう。明かに自分よりも強い相手を想定していない。

 技術が進歩してもやはり使う人間か。

 以前に俺が相手していたグレートソードは勇者に準じた人間のユニークかネームドだった可能性もあるな。いくらなんでも強すぎた。最後のマントグレートソードは俺の魔素が空になるまで殴りつけてようやく相打ちだった。明かにゲームバランスが狂っている。今でも思う。奴だけは逃すべきではなかった。

 それでもグレートソード持ちは結構な数が居た。今グレートソードが居ないのも人間の加護が弱まりつつある証明なのかもしれないな。

 人間もまた、時間に追われているのか。単純にコイツラがペーペーという線も濃厚だがな。

 ペーペーといえばこちらもだ。オーガの質も落ちている。補充は来ているのだが相棒のリンクを渡しても武器を出せない奴が増えてきた。最初はまだ決まっていないのかと思ったがどうも自分の武器がないらしい。今まではこんなことはなかったが一体何の魂をオーガに使っているのか。素直にゲーマーでなければ生き残れないだろうに。一般人ではそもそも人間が切れるのかも怪しい。最初に与えられる武器が石の棍棒なのはそのためだったのか疑いたくなる。思えばあの神殿、聖王都まで生き延びたオーガは本当に精鋭だったのだと痛感している所だ。

 まあ、偉そうなことぬかしているが俺がここまで活躍できているのは間違いなくシノのお陰だ。盾の中でほぼ眠っている状態だが半分寝ていても人間の魔法使いを抑えることができる。これが大きい。さっきのパーティーも魔法使いが機能していないが故の不慣れな戦闘だったのだろう。それほどに魔法使いの存在は大きい。俺の物語ではそれを感じられないのが残念だが、魔法使いが機能していると文字通りお話にならない。

 この物語の真のタイトルは「魔法を無効化する最強の仲間を得て疑似チート状態で俺オーガ無双」なのかもしれないな。

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