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99話

「どうしてここに?」


名前を呼ばれて振り返ると中村が息を切らしてたっていた。

それに気づいた桐生さんがかっこよく立ち去る。

にしても最初から最後までがイケメンすぎる

桐生さんって何者なの?


「桐生さんがさくらさんに連絡くれていてそれでここにきた感じかな」


「桐生さんかっこよすぎない?」


「僕もそう思う」


・・・・・・・


さっきの告白の後で何を話せばいいのかわからない。

桐生さんのおかげでもやもやは晴れたけど、いきなり中村と2人になるなんて思っていなかったから無言になってしまう。


「鏡さんごめんなさい」


その急な謝罪で私は中村の方をみる


「なんで中村が謝るの?私が急にあんなこといったから中村は悪くない」


「そんなことないよ。鏡さんが勇気を出して気持ちを伝えてくれたのに僕は自分のことしか考えていなくて冬くんとさくらさんに説教されてきたよ」


「それはご愁傷様です」


ちょっと中村がかわいそうだなと思ってしまった。


「僕はレベル1なんだ」


「レベル1?何をいっているの?」


中村は突然意味がわからないことをいってきた


「僕の周りには嶋野さん、さくらんさん、桐生さんみたいなレベル99の人たちがいて、その輪の中にいると自分なんてって思ってしまう」


それはそうだろう。

まず愛様はレベル99ではなくてレベル1000ぐらいの神様ですから


「そんな最強の人たちや瑞樹のおかげでやっと僕はレベル0からレベル1に慣れたと思う。でもまだレベル1で今は自分のことでいっぱいだったりして自分が恋愛をするなんて考えたこともなかった」


「それはさっきも言っていたよ。まだ余裕がないって。だから断ったんでしょ」


「うん。もし今鏡さんとお付き合いしたとしても幸せにできる自信がないからお断りしました。でも冬くんとさくらさんに説教されて、もっと向き合いたいと思っています」


「向き合いたい?」


「はい。だからもう少し僕が自信をつけれるまでレベルアップする時間をくれませんか?その先の答えがどうなるのかは今はまだわからないけど。鏡さんから気持ちを伝えてもらったことは本当に嬉しかったから」


「私もレベル1だよ」


「えっ?」


「中村と同じで周りにすごい人たちがいるから、なんか影響されて気持ちを伝えてしまったけど、中村の気持ちを聞いて自分もレベル1だなと思った。きっと今のレベル1同士が付き合ってもぎこちない感じになりそうだなと思って」


「情けないけど僕もそうなると思う」


「だから私もレベルあげれるように頑張るよ。中村から私に告白してくれるような女になれるように」


「なんかそれはイケメンに言うセリフじゃない?僕なんかにはもったいないよ」


「うるさい」


「はい」


・・・・・・・


さっきまでのぎこちない空気はなくなっていた


「そう考えたら瑞樹すごいなって改めて思う。相手は嶋野さんだよ。今となれば瑞樹と嶋野さんが付き合っているのが当たり前のようになっているけど、数ヶ月前までは瑞樹と嶋野さんが話しているところなんてみたことなかったし」


「それはそうよ。私は愛様のことをずっとみていたけど、男子と話しているところなんてみたことなかった。だから松岡と付き合っているのを知った時にはおかしくなりそうだった」


「いや、それはおかしくなってSNSに書き込んで。。。」


「なんか言った?」


「何も言っていません」


そんなこと私が一番わかっている。

あの時中村と春乃が止めてくれていなかったらきっと今の私はいない。


「中村ありがとう」


「急にどうしたの?なんか逆に怖いんですけど」


「なんか言いたくなっただけ。今日は帰る」


「鏡さん、こちらこそありがとう」


「ふん」


告白して断られて、こんなふうに話すことはできないかもしれないと思っていた。

でも今普通に話せていることが嬉しかった。

だからこれ以上ここにると私の気持ち悪い姿をみられそうになったから

私は逃げるように帰った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


鏡さんが帰ってから僕は1人公園のベンチに座っていた。

正直あの返事でよかったのかはわからない。

でも僕にとっての最善はあの答えしか思いつかなかった。

さくらさんや桐生さんだったらもっとかっこよくまとめれていたかもしれない。

瑞樹だったらどうしただろうか。

今日の出来事を瑞樹に報告したいと思った。


「お兄ちゃん一人でなにしているの?」


気づけば目の前に小学生ぐらいの子供が立っていた


「びっくりした!!君は一人?」


「僕は公園に遊びに来たの。お姉ちゃんが買い物にいっているからそれまでの間」


「そっか」


「それでお兄ちゃんが公園のベンチに一人で座って何しているの?ぼっちなの」


今どきの小学生はいうことがストレートで怖いなと思った


「ぼっちではあるけど、さっきまで友達も一緒だったよ」


「ふーん。お兄ちゃんは何か悩んでいるの?」


「どうしてそう思うの?」


「う~ん。なんとなく。お母さんやお姉ちゃんが悩んでいるときと似たような顔をしていたから」


子供の観察眼はすごいというのを聞いたことがあるが

あって数分で自分の精神状態をあてられるほどとは驚きが大きかった


「確かにちょっと悩んでいるかな」


「やっぱりそうなんだ。どうして悩んでいるの?」


「君には難しいかもしれないよ?」


「大丈夫。僕は学校でもしっかり者って言われているから」


僕は答えられるはずはないと思って少し少年に聞いてみた


「それなら。もし君のことを大事って言ってくれる人がいるとします。僕もその人のことが大事ではあるけど、僕よりもその人のことを守ってくれる人がいるんじゃないかなって思うんだよね。やっぱり言葉にしたら難しくなってしまうか。ごめんね」


「それならお兄ちゃんが負けないぐらい大事にしてあげればいいんじゃない?」


「えっ?」


「もしお母さんとお姉ちゃんが泣いていたら僕が誰よりも守ってあげるよ。だって僕は男の子だもん。男の子は女の子を守ってあげるんだよ」


小学生がいっていることかもいれないけど、その素直すぎる意見は僕には眩しかった。

男の子は女の子を守る。。。結局は気持ちなんだと思う。

この子は誰よりもお母さんとお姉ちゃんを守ってあげる強い意志があるんだ。

僕なんかよりもずっと強くてかっこいい。


「ありがとう。そうだよね。君の言うとおりだと思う。男の子は女の子を守るんだよね。勇気もらったよ」


「うん。お兄ちゃんが頑張れ!!」


その子の笑顔は眩しかった


「結城~~!!」


「あっお姉ちゃんだ。お兄ちゃんがバイバイ」


「うん。バイバイ」


僕は小学生の子の背中を見送ってから家に帰宅した

まさか小学生の子に当たり前のことを教えてもらうなんて思っていなかった

さっきの言葉に背中を押された気がした。

まだ自信はないけど、頑張る決心ができたような気がする。

もっと変わるために頑張ろう。




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