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98話

「私は鏡さんに気の利いた言葉をかけることはできないし、今の鏡さんの支えになれるようなものはもっていない。でも歌なら少し歌える。前に友達が私の歌を聞いて喜んでくれた人がいたんだ。だから鏡さんにこの歌を送りたいと思うけどどうかな?」


桐生さんが私のために歌ってくれるといったが、誰かに歌ってもらう経験なんてないし

急にギター準備して歌いだそうとしているとか、実は桐生さんは天然なのかもしれない。

しかも自分の歌をきいてもらうなんてハードルの高いことをやってのけようとする桐生さんはやっぱりすごい人だと思う。

でもこの状況で断る選択肢なんてあるわけなくて私はその場で頷いた


「この歌は私がギターを始めたばかりの時に練習していた曲の一つなんだけど今の鏡さんにもピッタリかもなと思って」


そういってギターを引き出して

歌い出した曲はGO!GO!7188の「こいのうた」だった

最近アニメでも歌われていたからなんとなく知っていた。

イントロの後に桐生さんが歌い出す。


生きていく力が その手にあるうちは

笑わせてて いつも いつも

うたっていて 欲しいよ


きっとっこの恋は 口に出すこともなくて

伝わることもなく 叶うこともなくて

終わることもないでしょう

ただ小さい小さい光になって

あたしのこの胸の 温度は下がらないでしょう


欲を言えばキリがないので

望みは言わないけれど

きっと今のあたしには

あなた以上はいないでしょう


生きていく力が その手にあるうちは

笑わせてて いつも いつも

側にいて 欲しいよ


きっとあなたには 急に恋しくなったり

焼きもちを焼いたり 愛をたくさんくれて

愛をあげたい人がいるから

ただ小さい小さい光のような

私の恋心には気づかないでしょう


でもそんなあなただからこそ

輝いて見えるのだから

きっと今のあたしには

あなた以上はいないでしょう


教えてください神様

あの人は何を見てる?

何を考え 誰を愛し

誰のために傷つくの?


生きてゆく力が その手にあるうちは

笑わせてて いつも いつも

側にいて 欲しいよ



なんだろうこの気持ち

桐生さんの歌声がよくて涙がでるのか

改めて歌詞を聞いているから涙がでるのか

わからないけど涙が止まらなった

そうか。私は諦めなくていいのか

桐生さんが歌い終わると私が見ていたら色は暗い色から明るい色に変わっていた

歌の力ってすごいなと思った。

それにしても桐生さん歌うますぎないか


「一番しか歌うつもりなかったけど、鏡さんが途中から泣いてくれたから最後まで歌ってしまったよ」


「べ、べつに泣いていないから」


「私の歌で泣いてくれたのはさっき話した友達に続いて二人目だよ。嬉しいな」


「悔しいけどすごくよかった」


「それはよかった。少しでも鏡さんの背中を押せたかな?」


「うん。もう大丈夫」


「それはよかった」


「でも桐生さんの声どこかで聞いたことがあるような。。。。」


「気のせいじゃないかな?」


さっきまでの堂々としていた雰囲気とは異なり、桐生さんがちょっと動揺している


「いや、最近聞いたような気がするんだよね。。。。。。あっ!!!」


「ごめん鏡さん、私は用があるのを思い出したから帰るよ」


「freedom」


「うっ」


「その反応当たりなんだ。桐生さんは思っていたよりもわかりやすい人だね」


なんか桐生さんの新しい面をみれたような気がした


「このことは誰にも言わないでくれると」


「当たり前だよ。こんな私のためだけに歌ってくれた人のことを無下に扱うなんてそんな最低な人間にはなりたくない」


「大袈裟だよ」


「いやいや、SNSでは今でもfreedomのことは話題になっているから。次のライブはいつなんだって」


「そうなんだよね。私たちの予想をはるかに上回る反響が起きてて正直怖気づいてしまう」


確かにfreedomの反響は高校生バンドの域を完全に超えている。

youtubeの再生数は20万を超えているらしい。

しかも文化祭の時のライブ映像は切り抜かれてすごい反響になっているらしい

勝手に憶測で、freedomはプロの人たちが変装しているバンドともいわれているらしい。

それが蓋をあけてみると同じクラスのクールビューティーがボーカルをやっているバンドなんて考えるはずがない


「それはお察しします」


「だからまだ私たちのことは内緒でお願いします」


「わかった。でもいつかまた桐生さんの歌を聞きたい」


「それは喜んで。こんな私の歌で良ければ」


「楽しみ」


「ちなみにさっき話した私の歌で泣いた一人目の友達は松岡くんだから。これも内緒で」


松岡と同じってところがちょっと気に食わないけど

あの男が涙を流すほどの魅力が桐生さんの歌にはあるってことだろう


「さて私の出番はここで終わり。あとは主役にここは任せます」


「主役」


「鏡さん!!」


「えっ」


振り返ると中村が息を乱しながらそこにいた

セットしていた髪の毛はぐしゃぐしゃになって

顔はさっきよりも弱弱しくなっていて


「どうしてここに?」


「鏡さんと話に」


「私と?」


「うん」




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