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95話

まさかこんな形で中村と2人きりになるとは思っていなかった。

何気なく春乃に誘われていつものように断れずに成り行きできてみると

愛様と松岡と桐生はいなくて中村と春乃と苑田の珍しいメンツで出かけることになった。

そしてわかり切っていたことだが、私と中村、春乃と苑田の行先は綺麗に分かれた

中村がアニメイトと本屋に新刊を買いに行きたいといったとき、私も同じところに行きたいと思っていたから少し驚いた。

前に女子会で私は中村のことが好きだとみんなに自分の言葉で伝えた。

あれから少し時が経ったけど、特に行動しているわけではない。

そもそも私は中村とどうなりたいのか私にもわかっていないんだと思う

付き合いたい?友達のままでいたい?

年齢=彼氏いない歴の陰キャの女にとってこの悩みは大きい。

中村も私と同じタイプのような気がしていたけど、海でナンパから助けてくれたり、ゲームセンターで守ってくれたりと行動が漫画の主人公みたいだったりする。

実際に私もその中村のギャップ的行動に惹かれたのは事実だろう。

成り行きではあるが、こうして二人になれたわけだがどうしたものか。。。


「鏡さんアニメイトからでいいかな?」


「うん」


「鏡さんは一つの作品をひたすら推すタイプ?それとも一つに絞らずに読んでいくタイプ?」


「私は好きな作者さんの作品は基本的に買うようにしているけど、1つの作品をひたすら推すようなタイプではないかなと思っている。でもラノベもグロイのとエロすぎる奴以外は基本読んでいる」


「なるほど、僕と似ているかもしれないな」


「中村はエロいの好きでしょ」


「まぁ嫌いじゃないけど、エロすぎるのは苦手なんだよね。最近とにかくハーレム系の作品が多くて、最初は読んていて面白いと思って読んでいて3巻ぐらいから一気にエロが過激になってくるのにちょっと引いてしまうところがあるんだよね。しかもそれが好きなキャラだったらなおさら」


「私もその気持ちわかる」


「よかったぁ。こんな考えているの僕だけじゃないんだ」


「まぁ私にとっては一番の推しが愛様だからね」


「ははは。鏡さんにとって嶋野さんって神様みたいな存在だもんね」


「愛様は神以外の表現方法が見つからない」


「そうゆう嶋野さんは瑞樹のこと推しまくっているけどね」


「ふんっ。松岡に愛様があこまで推す魅力があるのかは私にはわからないけどね」


「まぁね。一見瑞樹も僕らと同じ陰キャだからね」


私もそんな言いながら松岡が悪い奴じゃないことはもうわかっている。

もはや最初に愛様の彼氏というだけでSNSに悪口を書いていたのが本当に恥ずかしい。

その時も止めてくれたのは中村だったな。

思い返してみると私は何度も中村に助けられているんだなと改めて気づかされる


「この後はどうする?」


「まだお昼の待ち合わせまで時間があるな」


「それならテラスにいってみようか」


ららぽーとにはゆっくり休めるテラスがあった。

ここで買った本を読んだり話したり

子供は遊具で遊んだりと無料で時間をつぶせる最高の場所だったりする


「わかった」


「思ったより暑いね」


「確かに暑い。。」


「・・・・・」


「・・・・・」


陰キャが二人いて会話がずっと続くわけではなく

私たちの間には沈黙が流れていた


「さくらさんと冬くんは楽しんでいるかな」


中村は春乃たちのことを考えた

なんか私が隣にいるのに春乃たちのことを考えているのが少し悔しいと思ってしまった


「中村は!?」


「うん?」


「春乃のことどう思っている?」


「どう思っているというと?」


「恋愛的な意味で好意を持っているのかなと思って。なんか中村の春乃に対する態度はちょっと他と違うような気がするから」


「う~~~ん。。。」


中村は少し考え込む


「さくらさんに対する態度か。多分だけどさくらさんは僕が初めてできた女の子の友達だからだと思う」


「初めてできた女の子の友達?」


「うん。僕は瑞樹と仲良くなるまでは本当に友達がいない陰キャだったんだ。でも瑞樹が声かけてくれて家に行ったら嶋野さんがいて僕の生活は一変したんだ。嶋野さんは友達というか瑞樹の彼女だから僕と話してくれている感じだったけど、さくらさんは最初から僕を友達として接してくれたから、僕もさくらさんに対しては気を許せているのかもしれないかな」


「そこに恋愛感情はあるの?」


「僕は年齢=彼女いない歴になるから、正直恋愛をちゃんとしたことがないから恋愛感情がわからないんだけど、さくらさんに対する感情はお姉ちゃんみたいなものじゃないかな。だってさくらさんと付き合いたいとか考えたことがないもんな。考えたことがないというか僕なんかがさくらさんと付き合うなんて恐れ多いぐらいだよね。全然釣り合っていないでしょ」


「そうなんだ」


多分今の私は気持ち悪い顔をしている。

今の中村の春乃に対する気持ちを聞いて心の底からほっとしている自分がいる


「鏡さんは?」


「何が?」


「いや、鏡さんは好きな人とかいるのかなと思って」


「私はいない」


咄嗟に私は嘘をついた

ここであなたのことが好きなんて言えるわけもなく


「そうなんだ。なら僕と同じだね」


中村も今好きな人はいないということが確定した。

多分ここで告白しても上手くいかないのだろう


「あっさくらさんから連絡が来ている。買い物終わったからお昼いこうって」


「わかった」


そう思ってたち上がろうとしたときに身体がぐらついて転びそうになった


「やばっ」


この年になって転ぶなんて経験はほぼないが、転ぶ瞬間ってこんなに遅く見えるんだと思ってしまった。

地面がどんどん近づいていて私は目をつぶった。


「鏡さんっ!!」


「鏡さん大丈夫?」


中村の声で目をあけると慌てた様子の中村の顔がすぐ近くにあった

こんなのダメだ。

なんで中村は私のことをタイミングよく助けてくれるんだろう。

さっきまで考えていた決意が一気にぐらついた


「うん」


「びっくりした。でも鏡さんが怪我しなくてよかった」


「ありがとう」


「全然大丈夫。じゃぁいこうか。んっ?」


私はとっさに中村の洋服をつかんだ


「やっぱりどこか痛めた?」


中村は通常運転だった


「嘘」


「ごめん聞こえなかった」


「嘘」


「嘘?痛くないのが?」


「好きな人がいないこと」


「・・・・・」


「私は中村のことが好き」

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