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89話

「みっちゃん自然がすごいね」


「自然しかない場所だからね」


「空気が綺麗そう」


「空気の綺麗さだけは自信があるよ」



俺たちは今祖父母の家に向かっていた。今回は愛も一緒に

~数日前の夕食時~


「今度の週末の3連休、久しぶりに実家に行こうと思うけどどうかな?」


「俺は予定ないよ」


「私も大丈夫」


俺も真紀も予定がないことを返事する



「愛ちゃんはどうかな?」


「私ですか?」


父さんは愛にも話を振る


「うん。もし予定なかったら愛ちゃんもどうかなと思って」


「俊哉くんが誘わなかったら私が誘おうと思っていた」


父さんと母さんの愛に対してのファミリー感が既にすごいと思うのは気のせいだろうか


「私も予定はないですけど、私がいたら邪魔じゃないですか?」


愛は遠慮がちに返事をする


「邪魔なわけがないよ。むしろうちの両親に愛ちゃんのことを紹介したいぐらい」


「そうよ。むしろ瑞樹を置いていってでも愛ちゃんを連れていきたいぐらいよ」


「おい、さらっと息子の扱いがひどいのは気のせいかな」


「あら、聞こえていたの?」


「この距離で聞こえなかったら俺は病院にいったほうがいいね。それにこの距離で聞こえていない息子がいたら親として病院に連れていけ」


「もううるさいわね」


「適当だな」


「今は瑞樹のことはいいの。愛ちゃんいく?」


「はい。ぜひお願いします」


こうして愛が祖父母の家に行くことが決まった

そして今である。


家から車で1時間半移動して祖父母の家に到着した


「わぁ~。右みても左見ても自然しかないね」


「自動販売機はさっきくるときに見たところまで買いに戻らないといけないし、コンビニまでは車で10分ぐらいはかかるから、小さいときは楽しかったけど高校生ぐらいになると電波も弱いし不便の方が強いけどね」


「でも、私はこのゆったりとした空気好きだな」


「それはよかった」


車から降りて祖父母の家に入ると二人ともでかけていていなかった


「どうやら野菜を出しにいっているみたいだね」


「じゃぁ私と真紀は少し買い出しにいってくるけど、瑞樹と愛ちゃんも一緒に行く?」


「どうする?」


俺は愛に尋ねる


「この辺散歩してみたい」


「わかった。俺と愛は留守番しておくよ」


「はぁい」


「父さん、前に父さんといった場所にいってきていい?」


「いいよ。あそこは蚊が多いから虫よけスプレーは持っていくように」


「了解」


「それじゃぁいこうか」


水分と虫よけスプレーをバッグに入れて俺と愛は散歩する


「なんかいいね」


「何もない田舎だよ」


遠くからは牛の鳴き声がする。

昔に比べて牛飼いさんは減っているけど、まだ牛はいるから牛の鳴き声は聞こえる。


「田舎でもみっちゃんと一緒だったら私は楽しいよ」


「愛はいい子過ぎる」


本当には俺にはもったいないぐらい。

元々は才色兼備で完璧な女の子のイメージだった嶋野愛が俺の前ではこんなに優しい表情で笑ってくれている。本当に可愛いし、この子が自分の彼女というのが嘘みたいに思える


「へへへ。みっちゃんが優しいからだよ」


「俺は普通だよ」


「普通じゃないよ。私が今こうやって自分らしくいれるのはみっちゃんと松岡家とさくらたちみんなのおかげで、その中心にはみっちゃんがいるんだよ。だから今の私が私らしくいれるのはみっちゃんのおかげなの」


「それならよかった」


愛に面と向かってそんないわれるのは嬉しいが、それ以上に恥ずかしさの方が上回って言葉が上手くでてこない


「ちなみにどこにいっているんの?」


「前に父さんに連れて行ってもらった場所なんだけどすごく綺麗なんだよ」


「楽しみ」


少し歩いていると


「ここ段差になっているから気を付けて」


俺は愛に手を差し出す


「ありがとう」


愛はその手をとる

そしてその段差をおりると


「ここだよ」


「わぁぁぁぁぁ」


そこは前に父さんにつれてきてもらった山の中に少し入り込んだところにある小さな川だった

俺も父さんに初めて連れてきてもらった時は今の愛と同じ気持ちだったと思う


「ここ綺麗だよね。いつか愛を連れてきたかったんだ」


「うん。すごく嬉しい」


「でも蚊が多いのが欠点だから虫よけはしっかりふってね」


「ありがとう」


俺も愛も虫よけを大量にふり、蚊取り線香に火をつけて大きな石に腰を下ろした


「飲み物どう?」


「ふふふ」


「どうしたの?」


「なんかみっちゃん、俊哉さんみたい」


確かに無意識にやっていたことだけど、これはいつも俺が父さんにしてもらっていることをそのまあ愛にしてやっている感じだった


「いつの間にか親がしていることって真似しているのかも」


「俊哉さんは素敵なお父さんだから、みっちゃんも素敵なお父さんになるね」


「なれるかな」


「なれるよ。私が保証する」


「頑張るであっているのかわからないけど、俺は愛がどんなお母さんになるんだろうって感じだよ」


「確かに私は母親の愛情っていうのがよくわかっていないからね」


「いや、そうゆう意味でいっているわけではないんだけど」


「でも、本当にそうだと思う。お母さんとの思い出もほとんどないし、自分がどうゆうお母さんになるのか自分でも想像がつかないと思う」


「大丈夫だよ」


「そうかな?」


「きっと愛は大丈夫。確かにお母さんとの思い出はないかもしれないけど、愛が大事な人に向ける感情は間違いなく「愛情」だと思う。それに、先のことなんてわからないけど、もし。。。もし俺と愛の間に子供ができたとして生まれてきた子を愛は絶対に大事にするし、俺に向けてくれる気持ち以上の愛情でその子を育ててくれると思うから」


「私とみっちゃんの子供。。。」


自分でいいながらさすがにキモイなと思ってしまった

まだ高校2年生なのに「俺たちの子供」っていう考えが妄想癖やばいやつに思えてきた

しかも愛もなんか深刻な表情をしているし。

今回はさすがに引かれたかな


「絶対に愛するって誓います」


「えっなんか急に結婚式みたいになっているんだけど」


「あっちょっと違うか。私がみっちゃんの子供を生みます」


「うん。。。なんかぶっ飛んでいるなと思うのは俺だけだろうか」


これはプロポーズなのかな。

愛は俺の方をまっすぐみてそう宣言する。

面と向かって「あなたの子供を生みます」って言われるのは破壊力がすごいなと思うし

こうゆうところが愛は少しポンコツだよなと改めて思い知る。まぁめちゃくちゃ可愛いけど


「まぁいろいろ段階が飛びすぎているけど、いつかそうなる未来がくればいいなとは思うよ」


「へへへ。くるよ」


それからは学校のこと、この前の冬くんのメイクのことや、みんなのことを1時間ぐらい話した

話していると携帯が鳴って確認してみると家族ライン(愛も入っている)で母さんから「帰ってきたから帰っておいで」と連絡がきた


「戻ろうか?」


俺は愛に手を差し出す


「うん」


愛はその手を握り返してくれる


今の話はあくまで未来の妄想話かもしれないけど、本当にそうなればいいなとも思う。

愛とずっと一緒にいたい。

それは俺のまぎれもない本音だ

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