88話
冬くんが女の子の制服をきて学校にきた。
昨日は私のせいでことが大きくなってしまったのを冬くんもみんなも私は悪くないといってくれたけど、やっぱり私は今日冬くんが普通に登校してくるのかが正直不安でしょうがなかった。
でも実際はどうだ、冬くんは自分の好きなものを隠すことなく、むしろ表に堂々と出してきた。
改めて「かっこいい」と思ってしまった。
もし私が冬くんの立場だったらどうだっただろうか。
今日学校にこれただろうか。
もし学校にこれたとしても男の子の制服を着てきたんじゃないか。
昨日ことを大きくした人にあんなに普通に挨拶できただろうか。
あぁ考えれば考えるほど、自分の情けなさが脳裏をよぎる。
私は普通を装えているだろうか、笑っている顔に違和感はないだろうか。
2番目といわれることが当たり前ではないと思い頑張った持久走大会もテストも私を成長させたと思っていたけど、結局は私はあれから大きく変わることができていない。
それを今回のことで痛感させられたような気がする。
学校が終わって私、愛ちゃん、冬くん、瑞樹、敬都で帰っていた
「緊張した~」
「お疲れさん」
「冬くん人気者だったね」
「本当に予想外で戸惑いました」
冬くんは普通に瑞樹や敬都と普通に話す。
「可愛い」が好きでも同性に対して恋愛感情を持つことはないらしく。
いつかは普通に自分のありのままを受け入れてくれる人が現れたら恋愛もしてみたいと前にいっていたのを覚えている。
「でも、愛はなんで冬くんが学校にくるって思ったの?」
それは私も思ったことだった
瑞樹に対して「くるよ」と断言していた
「なんとなく。昨日の帰りに分かれた時の冬くんの目は落ち込んでいる目ではなかったから」
私は単純にすごいと思ってしまった。
「そうですね。昨日みんなが家に来てくれた時から、明日はこの格好で登校しようと決めていたんだけど、いざいくってなったら足がすくんでしまったんだけど、春乃さんの言葉を思い出してまた勇気が出ました」
「私の言葉?」
冬くんが私の方をみてそういった
「普通かどうかを決めるのはあんたたちじゃない。あんたらの匙加減で勝手に人の趣味を馬鹿にするな」
「あの言葉を思い出すと何度でも勇気が湧きます。だから春乃さんには感謝しかありません」
そっか。こんな風に改めていってもらえると私も勇気がでる
「こちらこそありがとう」
「なんで春乃さんがお礼を」
「さくら」
「えっ?」
「私のことはさくらって読んでいいから」
冬くんは少し考えると
「わかりました。さくらって呼ばせてもらいますね」
そういって名前を呼んではにかんだ冬くんの顔をみて私はドキドキしていた。
でもそのドキドキがばれないように平然を装った
「なら瑞樹たちのことも名前で呼んだら?」
「いいんですか?」
「「もちろん」」
「私はどっちでもいいよ」
「わかりました。嶋野さんのことは名字の方がしっくりくるのでそのまま呼びますね」
「わかった」
「それに嶋野さんの名前を呼んでいい特権は瑞樹だけがいいでしょ」
冬くんは愛ちゃんに近づき小声でそういうと
「。。。。。」
愛ちゃんは耳を真っ赤にされて
「うん」
一言だけそういった。え~。可愛すぎるんだけど。
その顔をみている冬くんはいたずらっぽい可愛い顔をしていた
私はまたその顔をみてドキドキしていた。
ちなみに敬都は冬くんに名前を呼ばれて顔が真っ赤になっていてみんなに笑われていた。




