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77話

鏡さんが中村のことを好きといったことには多少驚いた。

それでも正直私にとって自分以外の恋愛にそれほど興味がないのも本音である。

私にはみっちゃんがいるから。みっちゃんとは今後別れるつもりはないし、みっちゃん以上の男に興味もない。

中村の恋愛事情を今まで考えたことがなかったから、鏡さんんことをどう思っているのかもわからないけど、鏡さんには幸せになってもらいたいとは思う。

私のことを「推し」といってくれるのは恥ずかしいけど、嫌ではないし鏡さんはいい子なんだと思う。

ファミレスにある程度滞在してから先日馬鹿男子(木村たち)のせいであまり遊べなかったゲームセンターにいくことになって、到着するとみっちゃんが見えた。

私は嬉しくなってみっちゃんに小走りで駆け寄ろうとした。

しかしみっちゃんの隣には綺麗な女の人が立っていてみっちゃんは食い気味で話を聞いていた。

その一瞬私は胸の中がすごくモヤモヤした気持ちになった。

多分、これが世の中でいう「嫉妬」なんだと思う。

モヤモヤした気持ちと同時にみっちゃんが私の傍にいてくれるのは「絶対」ではないかもしれない不安も覚えてしまった。

そして自然に私は彼の名前を呼んでしまっていた


「みっちゃん?」


「えっ?」


苑田くんの想定外のカミングアウトを聞いて頭の中を整理していると後ろから名前を呼ばれて振り返ってみると愛がそこには立っていた。

顔をみるといつもと愛とが違って泣きそうな顔になっている。


「愛なんで?」


「さくらたちとファミレスからこっちにきたところ」


「そっか」


「みっちゃんは?」


「俺と敬都もそんな感じだよ」


「それでその女性は?」


愛の声は少し震えているような気がした。

俺はその不安そうな表情と声をきいて愛が今のこの状況に不安を覚えているのが伝わった。

まぁ普通に見れば俺が綺麗なお姉さんと話しているようにしか見えないよね


「ちょっと待って」


俺は苑田くんの近づき確認をとる


「あのさ、愛と他のみんなに苑田くんのこと話していいかな?あの人たちは絶対に他言はしないと思うし俺からも他言しないようにお願いするからダメかな?多分愛は苑田くんのことを俺が他の女の子と遊んでいるように見えているんだと思う。なんかいつもと様子が違うから」


「別に僕もできるだけばれないようにしているけど、この格好で出歩いている時点でどこかでばれるかもしれないこと覚悟しているから大丈夫だよ。それに松岡くんは信用できると思っているから」


「ありがとう」


「みっちゃん?」


「わぁ」


苑田くんと話している間に愛は俺の後ろまで来ていた


「これには事情があってさくらさんたちも来ているんだよね?とりあえずそこの公園にいこうか」


俺たちはゲームセンターの隣にある公園に向かった


「瑞樹が別の女の子と遊んでいる」


「愛様というひとがいながら」


「松岡くんも男だな」


うん。盛大に勘違いされていることだけはわかった。


「それで瑞樹、この綺麗な女の子は誰なの?」


さくらさんが「浮気は許さんぞ」みたいな気迫で俺に質問してきた。

敬都のあの場にいなかったからこの状況を全く把握することができていない

俺は苑田くんのん目をみると苑田くんは静かに頷いてくれた


「この綺麗な女の子は先日俺たちのクラスに転校してきた苑田くんです」


「。。。。。。。。。。」


「なるほどなるほど、その子が転校してきた苑田くんね。。。。うん?」


さくらさんは一生懸命頭の中を整理している

敬都と鏡さんは俺と同じでオタク知識がある分、逆に興味深そうにみている。

愛と桐生さんは完全にフリーズしている


「みなさん、改めまして苑田です」


「えええええええええええええええええ」


まぁそりゃその反応になるわな


「本当に苑田くんなの?」


「はい」


「めちゃくちゃ綺麗で、瑞樹はどこからひっかけてきたのかなと思っていたよ」


「ナンパ男みたいないい方しないで」


「実際瑞樹と苑田くんが並んでいるところはそうゆうふうにしか見えなかったから」


「それはそうかもしれないけど」


「でも、私たちにばらしてよかったの?そうゆうのって仲良くなった人に言うもんじゃないの?私たちまだ一度話ぐらいだよ」


「それはそうなんですが、松岡くんとは以前も一度ゲームセンターで会っていたので言ってしまった方が楽かなと思って」


俺は敬都と木村たちが揉めているときにトイレに行っていた時のことを話した


「私その話聞いていない」


「ごめんごめん。本当にぶつかっただけだったから話さなかったんだよ」


「でもよかった。みっちゃんが綺麗な女の子と並んでいるところをみたときにモヤモヤしたから」


愛は俺に嫉妬してくれたみたいだ。

相手は苑田くんだけど、嫉妬してくれるのは素直に嬉しかったりする


「大丈夫。俺はどこにもいかないから」


「みっちゃん」


愛は俺に抱き着いてきた


「よしよし」


さくらさんたちはこのやり取りをみて呆れているようだが、初めて愛の学校以外の顔を見る苑田くんは珍しそうな目でみている。

それはそうなるよな


「嶋野さんはプライベートではこんな感じなんだね」


「まぁ初めて見る人はギャップを感じるよね」


「私たちも愛ちゃんが瑞樹と付き合うまではこんな感じって知らなかったからね」


「でも松岡くんすごいですね。僕がクラスに入った時に「可愛い」と思った4人ともここにいますよ。松岡くんはクラスのリーダー的な存在なんですか?」


「瑞樹は僕と一緒で基本は陰キャでクラスの隅っこが生息地の生き物だよ」


「おい、なんかポケモンみたいになっているじゃないか」


「明らかに御三家のポジションではないよね」


くっ。

こいついいところつきやがる

確かにクラスのポジションでは俺も敬都も中心ではないし、陰キャのポジションだ。

愛やさくらさんや桐生さんみたいなメインヒロインが際立っているせいでクラスで目立っているだけのサブキャラでしかない。


「なにもいえないのが悔しいな」


「どや」


こいつ最近上手くなってきてやがる


「オタクの雑談はほっといて。それにしても苑田くん可愛すぎない?」


さくらさんの俺と敬都の扱いはどんどん雑になっていることはわかる


「いやいや、みなさんのほうが可愛いですよ」


俺はさくらさんと苑田くんの会話を聞きながら一つ疑問に思ったことがあった


「苑田くんの「可愛い」って異性に対してのじゃなくて女の子同士がいうような「可愛い」なの?」


「当たり前じゃないですか」


「うん。なんかごめんね」


「なんで僕謝られたんですか?」


「気にしないで」


転校してきた初日に優しい印象だけど面食いなのかもしれないと思ってしまってすいません。

実はちゃらいとか心の中で思っていてすいません。

俺は苑田くんに心の中で何度も謝った


「でも、名前を言われてもいまだに顔と名前が一致しないな。それほど私にとっては衝撃的なぐらい可愛いと思う」


桐生さんはシンプルに本音が出てしまっている


「確かにそれ系のジャンルはみていたけど、まさか実在するとは」


鏡さんはなんか別の作品を妄想しているんだろう


「瑞樹さん」


「なんだい敬都」


「僕は苑田くんがいまだに綺麗な女性にしか見えないし、苑田くんから声かけられたら緊張して話せないかもしれない」


「それはわかるが、あれだけ綺麗な女の子でも苑田くんなんだ。現実を受け止めよう」


「みっちゃんも化粧したら負けないぐらい可愛いと思うよ」


「それは無理じゃないかな」


「みっちゃんが一番だよ」


「うん。ありがとう」





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