75話
「たまには女子会もありだね」
今日は私と愛ちゃんと朱里ちゃんと天音ちゃんで遊びに来ている。
文化祭後からちょくちょくこのメンバーで集まってはいるけど、基本的に瑞樹と敬都がいて6人で集まることばかりで女子だけで集まるのは今回が初めてだったりする。
まぁ愛ちゃんが「みっちゃん」ばっかなのが原因の一つだったりもする。
今私たちは近所のファミレスに集まっている
愛ちゃんは瑞樹がいるときよりちょっとラフなファッションで、朱里ちゃんはシンプルな服装で、天音ちゃんはクールなバンドマンみたいなファッションをしている。
ちなみに私の今日はカジュアルでまとめてきている。
改めてこの4人をみると個性的なメンバーがそろっているなとは思うけど、これをいったら瑞樹と敬都から「さくらさんこそ個性的だけど」って言われそうだから心の中にしまっている
「私女子会って初めて」
愛ちゃんは元々友達と遊ぶことはしていなくて私とも放課後一緒に帰ることはあったけど、休みの日にどこかにでかけるみたいなことは数えるぐらいしかないかもしれない。
「私は週末に愛様と一緒にいれるだけで幸せです」
「鏡ちゃんは可愛いね」
「はうっ」
一番予想外なのが朱里ちゃんだ。
クラスでも口数は多い方ではないし、元はといえばSNSに瑞樹の悪口を書いているところからの始まりで、きづいたら敬都がその問題は解決していて友達になっていた。
瑞樹の悪口を書いていたのも、瑞樹が嫌いとかではなくて推しの愛ちゃんを瑞樹にとられた腹いせに書いていたのだから熱狂的なファンの愚行と思えば笑って済ませることもできるだろう。
最初に朱里ちゃんの書き込みに気づいたのは私なんだけどね。
実際に仲良くなってみると私たちの前では愛ちゃんへの愛情を隠すこともなくなってきて、全面に愛情があふれていて可愛いし、愛ちゃんも嫌がっている感じではないからいいのだろう。
瑞樹は少しめんどくさそうにしているけど、瑞樹と敬都と趣味があうのもあり、なんだかんだ仲良くしている。
「私も嶋野さんと一緒で女子会は初めて参加した」
「天音ちゃんはよく誘われてそうなのに」
「誘われることはあるが、中々乗り気になれなくて」
「私たちからの誘いは乗り気になってくれたんだ。ふーーーん」
「ま、まぁそうなるかな」
「へへへ。天音ちゃん可愛い」
天音ちゃんはクールな印象だけど顔だけじゃなくて中身もちゃんと可愛い
愛ちゃんとは可愛いのジャンルが違うけど、男子から人気があるのもわかる。
私が男子なら愛ちゃんよりも天音ちゃんを好きになっているかもしれない。(愛ちゃんには内緒)
でも、天音ちゃんとは絡みが全然なかったのに、文化祭の準備期間ぐらいから突然愛ちゃんと瑞樹が話し出したから「いつから仲良くなったの?」と聞いたら「買い物中にたまたま会って話していたら」といっていた。お互い自分から話しかけなさそうな人たちがそんな陽キャみたいな積極性をもつのだろうかと疑問には思ったが、それ以上は聞かなかった。
「じゃぁ何話そうか」
・・・・・・・・
うん。多分この人たちは自分から話題を提供するのが苦手なのだろう。
いつも私と瑞樹と敬都が話しているところにこの3人が入ってくる感じだ。
改めて二人の存在の大きさを感じた春乃さくらだった。
とにかく誘った側としては今日の日を楽しい思い出にして帰らないといけない。
「恋バナしようか」
「私とみっちゃんの話?」
愛ちゃんが恋バナというワードに食いついてきた。
瑞樹と付き合ってからの愛ちゃんはとにかく瑞樹のことを話したがる。
「うん。愛ちゃんのみっちゃん話は普段から聞いているからお腹いっぱい」
「確かに」
横で天音ちゃんも頷いてくれる。
「ええええ」
「だって普段から好き好きオーラが出すぎているから」
「だってみっちゃんのこと好きだもん」
「嶋野さんは瑞樹のことになると才色兼備の完璧な女の子からただの恋する女の子になるよね」
「そんな愛様も可愛いです」
「どちらかという私はこっちが素だと思うんだけど、学校での私の評価が飛躍しすぎているだけ」
「まぁそれは私もわかるが。私の評価も学校では無駄に高くて、そうふるまわないといけないみたいな空気がある」
「天音ちゃんはクールなイメージで通っちゃっているからね。愛ちゃんは瑞樹との交際から印象がだいぶ変わっているみたいだけど、天音ちゃんも彼氏とか作ってイチャイチャしていたら印象変わるんじゃない?」
「私がイチャイチャしているイメージか。。。。想像できないな」
「私も想像できない」
でも天音ちゃんが甘えている姿はちょっと見てみたいと思う。
もしこの先甘えさせてくれる男がいたら、その男は幸せ者だな」
「春乃さん!!」
突然鏡さんが私に話けてくる。
しかも食い気味で
「朱里ちゃんどうしたの?突然だったからびっくりしたよ」
「ごめんなさい」
ちょっとシュンとなってしまう。
こうゆうところは小動物みたいで可愛いと思う
「いやこちらこそごめん。どうしたの?」
「春乃さんは好きな人いるんですか?」
「私に好きな人?」
「はい」
鏡さんは私の好きな人が気になるようだ。
「どうして私の好きな人が気になるの?」
「いや、ちょっと。。。」
「遠慮せずに言っていいよ」
鏡さんは少し悩んで口を開いた
「春乃さんは中村のことをどう思っているの?」
「敬都のこと?」
朱里ちゃんの口からは私の予想外の人物の名前がでてきた
「私もさくらが中村のことどう思っているのか気になる」
愛ちゃんも私が敬都のことをどう思っているのか気になるようだ
「朱里ちゃんは私が敬都のことを好きなように見える?」
「うん。好きかどうかはわからないけど、特別に思っているような気がします」
改めてそんなふうに言われると考えてします。
確かに前に敬都のことでもやっとしたことがあるのは事実だ。
でも、これが恋愛的な気持ちなのはわからない
「もしかして朱里ちゃんは敬都のことが好きなの?」
「。。。。。はい」
朱里ちゃんは耳まで真っ赤にしてそういった。
朱里ちゃんが敬都のことを好き。。。
「だから春乃さんが中村のことをどう思っているのか聞きたくなりました」
朱里ちゃんは勇気を振り絞って私たちに話してくれた
もう一度敬都のことを考えてみる
元々は話したこともなくて、愛ちゃんと瑞樹が仲良くなってきて、その中に私も入って。
文化祭は一緒に実行委員もしていつの間にか私にとっては友達以上になっていたと思う。
「敬都は私にとって特別な存在だと思う」
「そ、そうですよね」
その言葉聞いて朱里ちゃんは下を向く
「でも、その「特別」は「恋愛」的な意味ではないと思う」
「えっ??」
「きっと私にとって敬都は弟みたいな特別な存在なんだと思う。敬都は瑞樹と仲良くなる前まで話したことはなかったし、木村たちにいじめられていたことすら知らなかった存在で私にっては「クラスメイト」でしかなかったと思う。でも敬都は自分から人と関われるように努力していて、文化祭では私のむちゃぶりにも逃げずに実行委員もやってくれた。その敬都の姿が私は嬉しかったんだと思う。鏡さんと仲良くしているのをみたとき少しモヤっとしたのは事実だと思う。それは私の弟的な存在を誰かにとられたっていう身内の嫉妬みたいな感じだと思う。それに今朱里ちゃんが敬都のことを好きっていってくれたとき「嫌」よりも「嬉しい」が圧倒的に強かった。だから私にとって敬都への特別な気持ちは恋愛というよりは身内に対する気もちなんじゃないかな。って私も改めて聞かれて考えたから完璧な答えではないと思うけど。。。とりあえず朱里ちゃんが敬都のことを好きっってことが私は嬉しいよ」
「春乃さん、私頑張ってみていいですか?」
「うん!!頑張れ。」
これは私の心からの本音だと自信をもっていえる。
敬都も瑞樹も私にとっては特別な存在だと思う。
でも二人とも恋愛的な対象ではなくて、兄妹みたいな感覚の方が強い。
「鏡ちゃん私からも質問していいかな?」
「なんですか?」
天音ちゃんが朱里ちゃんに話しかける
「中村のことなんで好きになったの?すごく気になる」
天音ちゃん。もう少し楽しそうに振る話だと思うよそれ
朱里ちゃんは天音ちゃんの真顔の質問に「冗談?」「本気?」みたいな顔になっているよ。
改めてこのメンバー面白い。




