73話
それにしても。
エアホッケーであそこまで本気になれる人っているんだと思った。
俺と愛でチームを組んだまではよかったけど、相手の2人の負けず嫌いが半端なくて、そのやる気に触発されて愛まで途中からガチモードになり、エアホッケーは「遊び」から「バトル」に変わった。
運動経験がある俺でさえついていくのがやっとで終わった後の疲労感はサッカーの試合を戦ったあとなみだった。結果は負けたけど。
ホッケーが終わって、3人が話している隙に俺はトイレにきていた。
当たり前だがトイレの中は静かで、先ほどの熱量はいい感じにクールダウンしていた。
用を足し手を洗いトイレの外に出ると、急に人が走ってきてぶつかってしまった
「いたっ」
急にぶつかられたのもあるが、変な声を出してしまって転んでしまった。
これは単純に恥ずかしい。。。
恐る恐る顔をあげてみると、そこには俺たちと同じ高校の制服をきた女の子が転んでいた
「いたたたた」
衝突した衝撃は結構強かったけど、相手は女の子だったみたいだ
女の子に当たられて吹き飛ばされる俺って完全な陰キャになっているな。
元運動部の「元」をこれからもっと強調しないと。
「大丈夫ですか?」
「あっはい」
俺は女の子に手を差し出す
「ありがとうございます」
その手を女の子が握り返す。
愛の手よりもしっかりしているなと思った。
まぁ愛が細いだけでこれが女の子の普通なんだろう
「怪我とかないですか?」
「お気遣いありがとうございます。急にぶつかってしまってごめんなさい。ってその制服って。。。」
「青春高に通っています。君も同じ学校?」
「は、はい。そうゆう感じです」
「そっか。なら学校でも会うことあるかもしれないね」
「そうですね。その時はよろしくお願いします」
「こちらこそ」
そう言い残すと女の子は去っていった。
あんな子うちの学校にいたかな?と疑問に思ったが
普段から教室の隅にいるようなやつが他のクラスの女の子や他の学年の女の子まで把握しているわけもなく、考えるのをやめた。
トイレから戻るとホッケーのところに愛達はいなくて、探し回っていると愛たちを格ゲーコーナーのところでみつけた。
ただ、見つけたと思った瞬間愛は走り出し、格ゲーコーナーにいた男子生徒の腹を殴った
何が起きたのか全く理解できず、真っ白になっているとすぐにさくらさんがもう一発腹を殴った。
そして隣で桐生さんが他の男子生徒相手にすごんでいる。
頑張って状況を整理しようと思うが、今目の前で起きている状況を短時間で理解できるわけもなく、静かに近づいてみると愛の声が聞こえてきた
「前にいったの覚えている?これからも友達に手を出すなら、あんたたちが私が社会的に抹殺してあげる。一応これでも学校での信頼は得ているつもりだから。私が今までのこと学校で暴露したらあんたたちみたいな人間の言葉と私の言葉を学校の生徒はどっちを信じるかはわかるよね」
「てめぇ何を」
「だから有言実行してあげる。明日学校でさくらと桐生さんと一緒に直談判してあげる。自分たちが望んでいるわけではないけど。私たちの学校での評価って高いの。あなたたちの言葉とどっちを信じるかしら」
「お、お前たちも手出しただろ」
「だから「顔」は殴らなかったでしょ。私もさくらも。顔が綺麗なあなたと既に顔がはれ上がっている中村の顔を見てどっちが不利かぐらいあなたたちにもわかるでしょ。それに先に手を出しののはあなたたちだから」
近づいて男子生徒の顔をみてみると、そこには木村がいて周りには浅野と吉田が立っている。
そして傍には座り込んでいる鏡さんと鏡さんの傍で顔を腫らしている敬都が座り込んでいた。
なるほど。。。なんとなく状況は把握できた。
俺もこの状況を目の当たりにしていたら、手がでていたかもしれない。
おそらく木村が敬都に絡んで、何かが起きて、鏡さんを敬都が庇ったような感じだろう。
にしても。。。愛とさくらさんこの後のこと考えて顔じゃなくて腹殴ったの?やっていることが喧嘩漫画の悪いやつじゃん。と心では思ったが、今の愛とさくらさんと桐生さんから放たられている怒りのオーラをみてると、そんな冗談をいったら殺される気がした。
さくらさんの最後の「処理」してもらおうがとどめをさしたのか木村たちは走り去っていった
「なんとなく状況は理解したけど、改めてこれはどうゆうこと?」
「それは。。。」
敬都が今起きたことを説明してくれた
「敬都。お前かっこいいな」
「全然だよ、だって結局は嶋野さんとさくらさんと桐生さんに助けられて。鏡さんも巻き込んでしまって。本当にごめんね」
「わ、私は大丈夫。それよりも私が木村に対して反抗したから」
「それは僕のためにいってくれたんだよね。嬉しかったよ」
「うっ」
敬都の頬を腫らしながらの笑顔は男から見てもかっこいいと思ってしまった。
「それより瑞樹はどこにいっていたの?」
「ホッケーのガチ試合が終わってトイレにいってきました」
「重要な時に現場にいないのが瑞樹だよね」
「それなんか役立たず感すごくないか?」
「あれ。そう聞こえたならそうなんじゃないの?」
「よし。反対の頬を出せ。もう一発殴ってアンパンマンみたいな顔にしてやる」
「ごめんって」
でも、敬都の行動は本当にかっこいいと思ってしまった。
最初に敬都が木村たちに絡まれた時も、俺は動けず愛が助けてくれて
今回は現場にはいなかったものの、俺は何もしていない。
確かに俺は役には立っていない。
そう考えると敬都が鏡さんを守るために間に走り込んだのは俺なんかより100倍ぐらいかっこいいと思う。
そんなことを考えると愛が俺の制服の匂いをかいでいた
「えっ何?」
「なんか別の女の子の匂いがする?」
愛って犬並みの嗅覚をもっているのかな
「さっきトイレから出た時に女の子とぶつかってその時に香水の匂いでもうつってしまったかな」
「みっちゃんの匂いに私以外の女の子の匂いがつくののは嫌」
そういって愛は俺の腕にしがみついた
「みっちゃんを私のにおいに変更」
「わかったから。そんなにくっつかなくても大丈夫だよ」
「へへへ」
「おーい。そこのお二人さん。仲がいいのはいいんだけど、僕の顔だいぶ腫れてきているんだけど」
敬都が泣きそうな声でささやいた。
流石に今回は俺たちが悪いと思った。
「大丈夫?今氷買ってくるから」
さくらさんが氷に買いに走った
「私は水を買ってくる」
桐生さんは自動販売機に買いに行った
鏡さんは敬都の隣で心配そうに腫れた顔をみつめている
俺たちは。。。することがなくてとりあえず敬都の隣に座った




