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72話

2学期初日は午前で学校が終わり。

さくらさんの提案通り、俺たちはゲームセンターにきていた。

ゲーセンでは敬都が格闘ゲームで無双していたり、敬都がUFOキャッチャーでぬいぐるみを一発で取ったり、敬都がレースゲームで断トツ1位になっていたりと。。。

敬都のゲーセンスキル高すぎないかとみんな思ったが、俺は尊敬の裏で「友達いなかったらゲーセン通っていたのかな」と思ったが、それを今の活き活きしている敬都に言う勇気はなかった。

そして一通り敬都の無双タイムを堪能した後

さくらさんがエアホッケーをしようといったのですることになった

愛は「みっちゃんと同じチームになる」といったので

俺&愛VSさくらさん&桐生さんで試合をすることになった。

敬都は運動ゲームになった瞬間、先ほどまでの勢いは沈下されたのか、いつの間にか鏡さんが座っているベンチに座っていた。あいつの気持ちの上げ下げすごい。

鏡さんは「愛様のホッケー姿が見たい」といって当たり前のようにベンチに座っていた。

鏡さんの愛推しに関してはもう慣れたので一回一回突っ込まなくなった。

そしてなぜか闘争心むき出しのさくらさんと実は負けず嫌いの桐生さんとホッケー対決をした。


「鏡さん、ちょっと僕他のゲームみてきていい?」


僕は4人のガチなホッケー対決をみて、なんとなく避難しておこうと思い、その場を後にしようとした


「私もいく」


「鏡さん、嶋野さんのホッケー姿みるんじゃなかったの?」


「ちょっとみたから大丈夫」


「そっか。それならいこうか」


「うん」


文化祭の時から鏡さんとは話すようになって、夏休みは一緒に海に行ったりと鏡さんと一緒になる時間も増えたと思う。

ただでさえ、あのすごいメンツ(瑞樹を除く3人)の中にいる僕たちはある意味異質だと思う。

普段だったらこの輪の中にいること自体が不自然なくらい、教室の隅っこのほうにいたメンツだ。

鏡さんも教室で誰かと盛り上がっているところはみたことなかったけど、文化祭の猫耳コスプレから評価が一気にあがり、今日も鏡さんに話しかける人が何人もいた。


「鏡さんは普段からゲームとかするの?」


「私はゲームよりアニメや漫画やラノベをみることがメインのオタクかな」


「僕はそれに+してゲームって感じだな」


「暇人」


「ひどくない?確かに暇だったからゲームしていたのもあるけど。。。」


「なんかごめん」


「謝られるのが一番可哀そうって思うのは僕だけかな」


「ふふふっ」


最近一緒にいて知れたことだけど、鏡さんは普段から口数は多い方ではないけど、笑う時は小さく笑う。

その時の表情は学校では見せない顔で


「可愛いな」


「はっ!!!???」


「えっ」


「今なんていった?」


「あれ口に出てた?」


「うん。。。」


これは痛恨のミス。

女の子相手に「可愛い」なんて僕みたいな陰キャがいったら「気持ち悪い」って思われたかもしれない


「ごめん、なんか笑っている顔が可愛いなと思って」


「わ、わかったから」


鏡さんの顔は赤くなっているように見える。これはめちゃくちゃ怒っているんではないだろうか


「中村の格ゲーしているところもう一回みたい。なんかすごい動きしていたよね」


「あれは、練習すればできるようになるよ」


「そうなの?」


「やってみる?」


「うん」


「じゃぁいこうか」


僕と鏡さんは格ゲーのコーナーに行き、2人で隣に座った。

格ゲーの椅子はそれほど大きくなくて、2人で座ると肩と肩が触れそうになるぐらいの距離感で、正直ゲームどころではない。

これが女性経験がある人とない人の差なのかもしれない。

でも、ここで僕が動揺したら逆に気持ち悪く思われて、鏡さんは引いてしまうかもしれない。

ここは動揺がばれないように頑張ろうと思っていると


「中村じゃね」


「えっ」


名前を呼ばれて振り返ってみるとそこには瑞樹と出会う前までいじめられていた木村と浅野と吉田が立っていた。

その顔を改めてみた時に身体の底から鳥肌が立った。これは単純なトラウマなんだと思う。

瑞樹と嶋野さんのおかげで、この人たちとは距離を置くことができたし。

球技大会で瑞樹と木村がバチバチした後に瑞樹が倒されて、その時にサッカー部の主将からたくさんの生徒の前で公開説教をされてその後はあまり話を聞かなくなっていた



「ってそこにいるのってうちの生徒の確か。。。」


「鏡朱里だよこの子」


浅野が木村に名前を教える


「俺初めて見た。こんな子うちに学校にいたっけ」


吉田が話し出す


「こいつ陰キャで全然友達いないから、吉田が知らないのも当然だよ」


「ははは。なにお前鏡と付き合っているの?」


隣の鏡さんは完全に委縮してしまっている。

それはそうだろう。こんな暴力的な男子を前にして堂々とできている嶋野さんとさくらさんと桐生さんがおかしいんだ。

普通の女の子のリアクションとしてはこれが普通だ


「つ、つきあっていない」


「何お前びびってんの?あ~まだあの時のトラウマが抜けないのか?」


「トラウマ?」


木村の言葉を聞いて鏡さんが反応してしまった


「お前知らないの?こいつの金でここで一緒にゲームしていたんだよな」


「。。。」


「あの時お前友達誰もいなかったらから、最初一緒にゲームしようぜって誘った時の嬉しそうな顔は忘れないな」


木村の言葉に浅野と吉田が笑う


「最低」


鏡さんが小さくつぶやいた


「はぁ?おい陰キャなんかいったか?」


「最低っていったんだよゴミ」


鏡さんの言葉ははっきり聞こえた


「お前殺されたいの?女子だから何もしないって思ってんなら大違いだぞ」


「別に。やりたいならやりなさいよ」


「鏡さん。。。」


「お前何いきってんの?」


「なんであんたたちみたいなゴミに中村が傷つけられないといけないの。あぁそうか中村みたいな陰キャしかいじめることができないからか。それなら納得だ」


「おい、このクソ陰キャが殺してやるよ」


中村が鏡さんに手をあげようとする


「やめて。やるなら僕を殴って。鏡さんは僕のために言ってくれているから。」


「ひゅ~。かっこいいじゃん。」


「中村。。。」


「大丈夫」


じゃぁお構いなく。

そう言って鏡さんに向けて振り上げたこぶしを僕の頬に向けて振りかざした


「くっ」


殴られた顔はすごく痛い。

でも鏡さんが殴られなかっただけでよかったのかもしれない。

一発殴られれば木村の気も晴れてどこかにいくだろう


「あ~。ダメだ。やっぱりお前もムカつくな」


「えっ」


顔をあげると木村には鏡さんの方に歩みを進めていた

鏡さんは動こうとしない


「鏡さん逃げて」


「ほら、中村も逃げてって言っているけど、逃げなくていいのか?」


「なんであんたみたいなゴミから逃げなきゃいけないのよ。殴るなら殴りなさいよ」


「一度痛い目に合わないとわからないらしいな」


そういうと木村は鏡さんに向けて僕がされたみたいにこぶしを振り下ろした

鏡さんは逃げもしなかった。


僕は何をしているんだろう。

瑞樹と嶋野さんに手を差し伸べてもらって、この輪の中にいることができて。

文化祭の実行委員なんかもして自分が成長してると勘違いしていたのかもしれない。

しかし結果は、木村たちの前でびびって殴られて、友達の女の子のことも助けられずにみているだけ。

こんなクソみたいな自分が嫌いだ。

瑞樹に弱い自分を変えていこうといってもらって変わる努力をしてきた

でも、現実はそう甘くない。

じゃぁいつ変わるのか。こんな目の前で女の子が殴られそうになっている今変わらないでいつ変わる

そう思った時に身体は動いていた

鏡さんが殴られる直前に間に入ることができた

そしてもう一発殴られた

2発目は先ほどよりは痛く感じなかった。

単純に麻痺しているだけかもしれないけど、動けて鏡さんが殴られずに済んだから痛みなんかどうでもよくなっているのかもしれない


「へぇ~。中村かっこいいじゃん。俺に2発殴られて倒れないのは偉い偉い。でも何発耐えれるかな」


木村は僕が諦めるまで殴るのかもしれない。

そして吉田と浅野も止めるわけもなく、木村の行動を笑っている。

このゲーセンの格ゲーコーナーは端の見えにくいところにある分、店員さんが来る気配はない。

木村が諦めるまで殴られるしかないのか。

そう考えたら逃げ出したくなってきた。

僕が弱気になっていると洋服の後ろを鏡さんが引っ張って振り返ると


「中村。。。」


先ほど木村の前に立っていた表情とは違って、僕の顔をみる鏡さんは泣きそうになってた


「大丈夫」


僕は鏡さんの泣き出しそうな顔をみて人生で一番と言っていい「強がり」をした


「逃げないのは偉いけど、もうそろそろ飽きたからいいや」


そういって3発目のこぶしが振りかざされたとき、僕は目をつぶってしまった。口では強がっていたけど身体は正直で3発目を耐えれるメンタルはすでに僕にはなかった。

手をぐっと握りしめてこぶしが顔に当たるのを待った

しかし。。。


「ぐふっ。。。」


聞こえてきたのは木村の声だった。

おそるおそる目を開けるとそこには嶋野さんとさくらさんと桐生さんが立っていた


「鏡さん、今何が起きたの?」


鏡さんもかなり驚いているようだが話してくれた


「中村が殴られる直前、愛様が走ってきて木村を殴った」


・・・・・・


「ええええ。嶋野さんが木村を殴ったの?」


僕が驚いているのを無視して、嶋野さんが話し出す。


「またあんたたちかクズが」


嶋野さんは木村のことをゴミをみるような目で見下している(怖い・・・)


「てめぇ。ぐふっ」


次はさくらさんが木村を殴った


「何敬都のこと殴っているのよ。殺すわよ」


さくらさんはシンプルにキレている(怖い・・・)


「お前らも同罪だよね」


桐生さんも浅野と吉田にすごむ


桐生さんは何も怖い言葉をいっているわけじゃないのに圧がすごい(怖い・・・)


「うっ。。。」


この3人は絶対に怒らせてはダメだと心の底から思った敬都だった。。。


嶋野さんが話し出す


「前にいったの覚えている?これからも友達に手を出すなら、あんたたちが私が社会的に抹殺してあげる。一応これでも学校での信頼は得ているつもりだから。私が今までのこと学校で暴露したらあんたたちみたいな人間の言葉と私の言葉を学校の生徒はどっちを信じるかはわかるよね」


「てめぇ何を」


「だから有言実行してあげる。明日学校でさくらと桐生さんと一緒に直談判してあげる。自分たちが望んでいるわけではないけど。私たちの学校での評価って高いの。あなたたちの言葉とどっちを信じるかしら」


「お、お前たちも手出しただろ」


「だから「顔」は殴らなかったでしょ。私もさくらも。顔が綺麗なあなたと既に顔がはれ上がっている中村の顔を見てどっちが不利かぐらいあなたたちにもわかるでしょ。それに先に手を出しののはあなたたちだから」


「おい、木村。流石にこれはやばいんじゃないか」


「さっきもいったけど、お前らも同罪だから」


桐生さんは浅野と吉田を逃がさない


「愛ちゃん、もういいよ。後は明日学校で「処理」してもらおう」


「わかった」


「愛ちゃんがいったように私の友達に手を出したら許さないから」


「くそっ。いくぞ」


そういって木村たちはゲーセンを後にした。


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