68話
父さんは愛の面倒を見るといったけど、母さんのいったように父さんはどう考えているのだろう
展開が突然すぎて俺も愛も思考が追い付いていない
「それで父さんの考えとは?」
「もしかしたらこうゆう状況になることもあるのかなと考えていたんだ。一番最初に考えたのは、この家で愛ちゃんも一緒に住むということで、一緒に住んでいたら近くで愛ちゃんのことをみれるから安心かなと思って」
「私はそれで嬉しいです」
愛は少し驚きつつもこの状況に慣れたのか普通に返事している
「でも、それは流石に早いかなと思って。もちろん愛ちゃんがいつか瑞樹のお嫁さんになってこの家に住むというのは僕も真奈ちゃんも大歓迎だよ。ただ、瑞樹も愛ちゃんもまだ17歳で今は2人が一緒にいたいと思っていてもどうなるかはわからないよね。それに愛ちゃんもずっとこの家にいたら気を使いっぱなしになって逆に疲れてしまうんじゃないかなと思う」
「じゃぁ今までの家に1人暮らしさせるの?」
俺は父さんに尋ねる
「それも一つの選択肢なんだろうけど、今の愛ちゃんを1人で住ませるのは心配かな。だからこの家の隣のアパートに空き家があったからそこに愛ちゃんには一人暮らしをしてもらって、愛ちゃんの無理のない程度でうちにご飯を食べきて僕たちに顔を見せにくるのはどうかなと思って」
「ここの隣のアパートに空きがあるの?」
「さっきもいったけど、もしかしたらの状況も考えてこの辺の空き物件を調べていたら、ちょうど隣のアパートが空きになっていて。部屋もこの機会にリフォームしたらしく綺麗なんだよ。家賃は7万円とちょっと高いけど、セキュリティ面も充実しているし、この家の隣だから何かあったらすぐに駆け付けれるかなって。愛ちゃんのお母さんが20万円振り込んでくれるっていっていたから家賃が7万でも全然余裕があるんじゃないかなと思ったんだけどどうかな?」
父さんのアイデアは思っていた以上にしっかりしていて魅力的な提案だった
愛と一緒に住めるというのは嬉しくないといえば噓になる。
でも、父さんが言ったようにずっとこの家にいたら愛が気を使う時間がその分長くなってしまうリスクもある。
それが隣の家で行き来がすぐだったら会いたいときに会えるし、両親も愛のことを気にかけることができる。
「愛はどう思う?」
「私は俊哉さんと真奈さんがいいといってくれるならそれがいいです」
「いいじゃない。ご飯は愛ちゃんの負担にならない程度でいいから食べにおいで」
「でも、毎日は申し訳でないです」
愛が申し訳ないという気持ちをもつのも当然である
母さんは少し考えた
「それなら、愛ちゃんから食費を月に1万もらうってことにして食べに来るのはどう?」
「1万と言わず2万でも3万でも払います」
「愛ちゃんお金は大事にしないとだめよ。愛ちゃんのお母さんは多めにお金を送ってくれているけどそれは大事にとっておくこと。いざというときにお金は絶対に必要になってくるから」
「はい。。。それなら月に1万食費でいれさせてもらいます」
「他に愛ちゃんの気になることはある?」
「今までの家はどうするんでしょうか」
「今までの家は持ち家になっているから家賃はかからないよね。あとは光熱費だけど、愛ちゃんがこっちに住むことになるなら電気・水は一度止めてしまっておけば光熱費はかからないから。あとは空気を入れ替えにいったり掃除にいったりしながらすればいいかなと考えているよ」
「ありがとうございます」
「近所の方々にも荷物整理の時に挨拶に行こうね」
「はい」
「じゃぁ早速明日不動産に連絡してみていいかな?いい物件ってすぐに埋まってしまうんだよ」
「お願いします」
「わかった。じゃぁ連絡しときます」
「何から何まで本当にありがとうございます」
「愛ちゃんの中でまだ整理できていないことはあると思うけど、起きている現実は変わらないから、少しづつ変わっていけばいいから。僕たちは愛ちゃんの味方だからね」
「はい」
「夏休みもあと10日ぐらいだから夏休みが終わる前までには新しい家への引っ越しも全部終わらせよう」
「わかりました」
「私たちは仕事でずっと手伝うことができないから瑞樹と真紀と一緒に荷物の整理と片付けお願いね。今日が日曜日だから次の土日で引っ越しができればいいかもね」
「頑張ります!!」
「よし、それで決まり。今日は疲れたでしょ。それぞれお風呂に入って寝なさい」
母さんの言葉で長い一日が終わった気がした。
お祖母ちゃんが倒れて今日まで数日しか経っていないのに体感では数十日経ったような疲れが俺の身体に襲ってきた。
愛もほっとしたのか、お風呂に入って少し話して寝室に入っていった。
多分今日はちゃんと寝れるだろう。
俺も気を抜くと寝落ちしそうになるのをこらえてもう一仕事しないとと考えていた。
ラインのグループを作ってメッセージを送った
「こんばんは、起きていますか?」
「起きているよ」
すぐにさくらさんから返事がきた。
それに続いて敬都、鏡さん、桐生さんも返事を返してくれた
「愛ちゃん抜きでライン作ってどうしたの?」
確かに俺愛を抜いてグループを作ったら疑問に思うのは当然だろう
「実は・・・」
俺はみんなに愛のお祖母ちゃんのこと、今の家からうちの隣に引っ越すことになったことを話した
「今から少し話せない?」
さくらさんから返事がくる
「俺はいいけど」
「じゃぁグループ電話するね」
すぐにグループ電話の画面になった
通話を押すと
「瑞樹、なんでもっと早く言わないの」
「そうだよ。水臭い」
「愛様が沈んでいるなら私はなんでもします」
「私たちをもっと頼っていいんだよ」
電話にでるとみんなの言葉が重なった
「ごめん。俺も冷静でいれなかったのもあるし、愛の状態がみんなに話せる状態ではなかったから」
「そうなんだね。それで私たちは何をすればいいの?」
「今度の土日で引っ越しをするんだけど、今週の平日で荷物整理と片づけをするんだけどみんなが時間があればそれを手伝ってほしいなと。俺と愛と真紀だけじゃ終わるかわからなくて」
「わかった」
「そんな即答でいいの」
「愛ちゃんのために何かをしたいと思っているのは瑞樹だけじゃないんだよ。私たちも手伝う。みんなもそれでいいかな?」
「僕も暇だからもちろんいいよ」
「愛様の家にいけるだけで興奮します」
「私も予定入っていないから大丈夫」
「そうゆうことだから。愛ちゃんには内緒で明日家で落ち合う感じでいこう」
「わかった。敬都は暇だろうなと思っていたけど、鏡さんは変な事しないでね。桐生さんもありがとう」
「瑞樹喧嘩売っているのかな」
「松岡、変な事って何かな」
「私だけ普通だな」
そのあとも今の状況などをみんなに詳しく説明した。
久しぶりにみんなと話して俺も気が楽になった。
最初の段階でもみんなに連絡しようと考えたのは本当だ。
愛の家庭の事情をあの段階で勝手に話すのはどうかなと思って躊躇った
俺は愛の支えになりたいと思っているけど、愛の支えが俺だけである必要はない。
きっと愛の中にはもうさくらさんも敬都も、鏡さんも、桐生さんも大事な友達になっている。
だからみんなに手伝ってもらえたらなと思った。
それがこんなにあっさり了承されるとは思っていなかったが。。。
俺は本当にいい家族を持っていい友人をもった。そしてこんな気持ちを感じさせてくれたのはやっぱり愛の存在なんだと思う。
そのあと明日の打ち合わせをして電話をきるとすぐに眠りについていた。
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