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59話

どうしてこうなったのだろう。。。

1カ月前ぐらいまで私からしたら大人数で海に来るなんてありえなかった。

元々は愛様を単純に崇高しているだけで、その隣にいた松岡のことが気に入らなくてSNSに書き込んでいて、それを春乃にみられたところから始まった。

愛様の情報が少しでも手に入るかなと思って春乃をフォローしたのが私にとって一番の過ちだったのかもしれない。

そのせいで私には絶対に縁がなかった「ナンパ」というものに今遭遇している。

まさにテンプレ通りのチャラい男2人組が私と春乃の目の前に立っている。


「ねぇねぇ俺たちと遊ばない」


「つれがいるので」


「いいじゃんちょっとぐらい」


「いや本当にツレがいるので」


流石と言っていいのか春乃は一切の動揺を見せずにナンパ男たちの前に立っている


「そこの小さい子可愛いよね」


「は?」


一人のナンパ男が私の方に近づいてきた


「あんたやめなさい」


春乃がその男を静止しようとする。

しかし別の男の手が春乃の手をつかむ


「あんたは俺と遊ぼうよ」


「クソ」


春乃の声は今まで以上に低くなっている

そして近づいてきた男の手が私の腕を掴む


「ひっ!!」


「その怯えている顔もいいね」


今まで男性と交際した経験もないし、男性と触れ合ったことすら経験がない。

それがこんなナンパ男に近づかれて平気なわけもなく。

私の手と足は震え、完全に体が怯えてしまい動かくなっていた


「やめて」


「大丈夫。怖がらなくていいから」


隣から春乃の声が聞こえるが、男は気にしない


「助けて。。。」


とうとう私は恥ずかしながら泣いてしまった


「泣いている顔も可愛いな」


誰でもいいから助けてよ。

なんで私がこんなナンパ男に泣かされないといけないの。

そんななんともいえない怒りを覚えていると


「何しているんですか?」


「何お前?」


「その人たちの友人ですが」


「お前みたいなひょろ男が?」


「そうですがなにか」


目を開けて声の主の方をみてみると、そこには中村が立っていた


「それでなに?」


ナンパ男は中村を自分たちより下と判断したのか、中村に対して高圧的な態度を取り出す


「まぁそうなりますよね。僕みたいなヒョロ陰キャが目の前に立ったとしても効果は薄いですよね」


「自分の立場わかってんじゃん。ならあっちに行ってろ」


「それは無理ですね」


「はぁ?お前状況わかってんの?」


「まぁあなたたちよりはわかっていると思いますよ」


「お前なにいってんの?」


「海水浴場で人がたくさん見ている中で、嫌がって泣いている女の子の腕を無理やり掴んでいるクズ男がいるということはわかります」


「お前調子乗んなよ」


ナンパ男が中村に掴みかかろうとする


「それはお前らの方だよ。周りをみてみろよ」


この目は私がSNSで松岡のことをもうあげるなと釘を刺されたときと同じだ。

普段は弱弱しい雰囲気をだしているのにあの時も今も弱弱しさは全くなく、最早ナンパ男たちに対して一歩も引かない態度だ。


「何をいって。。。」


ナンパ男たちが周りをみてみると、他の人たちの視線はそこに集まっており

動画をとっている人すらいる


「これだけの人がみていて、さらに動画まで取られていて、このご時世にSNSに動画を流されたらどうなるかぐらいお前たちにもわかるんじゃないか?名前と家の住所みたいな個人情報が特定されて人生詰む可能性すらあるな。最早嫌がっている女の子の腕を無理やり掴んでいる時点で「暴行罪」の可能性すらでてくるから、俺たちが警察にこの動画を証拠としてもっていけば逮捕されることだってあるかもしれないけどどうする?」




「クソ」

私の手を掴んでいた男が状況を理解したのか、周りを見渡してすぐに手を離した

春乃の腕を掴んでいた男も同様に手を離した


「お前覚えてろよ」


中村の脅しを聞いたナンパ男たちは颯爽と逃げて行った

逃げて行った男たちを見送って振り返った中村はいつもの弱弱しい中村に戻っていた


「鏡さん大丈夫?」


「うん」


私は安心してしまったのか腰が抜けたように座り込んだ


「鏡さん???大丈夫???」


「大丈夫。怖かったからほっとしたら力が抜けただけ」


「ごめんね。来るのが遅くなって」


「謝らないで、むしろ感謝しているから」


「それならよかった」


「ちょっと敬都。私もいるんだけど」


「春乃さんは大丈夫かなって」


「ひどくないですか。私も女なんですけど」


「いや、逆にナンパ男に対してすごんでいたから」


「私も鏡さんを守りたいって思っていたから。でも怖い思いさせてごめんね」


「春乃さんは悪くないよ」


「それはそうと、瑞樹はなんで助けに来る前に動画を回していたのかな」


それは私も思っていた。

中村が登場してから周りをみてみると、そこには動画を回している松岡がいた。

隣には愛様と桐生さんも一緒に。


「俺たちがここについたときには敬都がナンパ男の前に立っていたから、援護として動画を回しておくのが最善策かなと思って」


「まぁ確かに効果覿面だったとは思うけど」


「それに、敬都の横に俺が立ったところで効果は薄そうだし」


可哀そうだが、松岡の言っていることを納得してしまう


「誰か否定してくれてもよくないですか?」


「大丈夫。みっちゃんは強いよ」


「うん。ありがとう」


愛様の謎のフォロー。可愛い。


「それに敬都が上手くやっていたから」


「確かに敬都がすごく見えたよ」


「なんか文化祭の時に変なお客さんの対処とかしていたから、その経験が少しいきたかもしれない。それに周りをみたときに瑞樹が動画を撮影しているのが見えたから上手くできないかなと思ってやってみたら、自分が思っていた以上に上手くいったね」


そういって笑う中村の顔を見た時に私の胸のあたりが少し温かくなった。

なんだろうこれはと思いながらも私は考えるのを辞めた。



そのあとはみんなで買ってきたご飯と飲み物で昼食をとった。

昼からは海に入って遊んだりした。

愛様の水着姿は美しすぎて魂が抜けそうになった。

春乃も桐生さんの水着姿はすごくよかった。

スタイルもよくて。

それに比べて私は改めて自分の幼児体形に対して嫌になった

海に行くなんて予定していなかったから今日の水着は新しいものを新調した。


「鏡さん」


「何?」


「その水着可愛いね」


「は?」


他の3人の水着姿をみていると隣にいた中村が急に私の水着を褒めてきた

なんだこいつ。チャラ男なのか


「いや他の3人も水着似合っているけど、鏡さんもすごく似合っているなと思って」


「うるさい」


「ごめんなさい」


「ありがとう」


私は小さくお礼をいった


「何かいった?」


「何も言っていない。スケベで変態っていったのよ」


「えっひどい」


鏡朱里の顔が真っ赤になっていたことに本人は全く気付いていなかった。

そしてその隣にいる松岡瑞樹は、ドストレートに女の子の水着を褒めていた中村敬都に対して驚愕していた。

あんなにさらっと水着の感想をいえるなんてイケメン主人公か。そして本人は気づいていないようだけど、鏡さんの顔がトマトみたいに赤くなっているのは暑いだけだからというわけではないだろう。

むしろ今日のこの瞬間に新しい恋が始まったんじゃないかと思うぐらいの出来事が今俺の隣でサラっと起きていた。

さくらさんに誘われて愛と桐生さんは海に行き、俺はなんとなくこっちに残っていたけど、こんなイベントに遭遇できるなんて神様ありがとう。

そして敬都は鈍感主人公気質があるようだということを再認識した。

俺は愛の水着を直視して褒めるのも照れてしまうのに。。。

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