51話
漫画やラノベみたいな文化祭の準備で何かアクシデントが起きることもなく、俺たちのクラスは順調に準備を進め文化祭当日を迎えた。
まぁ食べ物班は予算的な部分で多少はもめたらしいが、桐生さんを中心としたリーダーたちがいい感じに納めたという話をさくらさんに聞いた。
衣装班は敬都が上手く指示をし、立花さんと村山さんが中心となり順調に進めた。
我ながら今回の男女逆転コスプレカフェはセンスがあったと思う。
準備の途中に衣装合わせで一人一人衣装を着せたりはしていたが、接客組が衣装を実際に着てみるとと面白さもあるし、もしかすると新しい扉を開いてしまう男子(自分を可愛いと思う男子)もいるかもしれないぐらいのクオリティになっている。
立花さんと村山さんを中心とした女子たちはメイクの知識も豊富らしく、男子はあっという間に可愛い男の娘になってしまった。
女子の方は男装で、ただでさえ顔面偏差値が高いクラスの女子が男装することで確実に男子よりもかっこよくなってしまっていて、男子の肩身が狭くなってしまっている
特にTOP3と言われている愛、さくらさん、桐生さんの男装は飛びぬけてかっこいい。
「なんで私だけ男装に猫耳つけなきゃいけないのよ」
ふと振り返ってみると、そこには猫耳男装コスプレの鏡さんが立っていた。
こうゆう行事にはあまり参加しなさそうなのに意外だ。普通にかっこかわいいが
「だって私と鏡ちゃんの約束だからね。約束は守ってもらわないと」
「ううううう」
さくらさんが原因みたいだ。約束って言葉が聞こえてきたけど。鏡さんお疲れ様です。
「ねぇさくらさん。案を出した本人だから女装するのはまだいいんだけど、この胸は盛りすぎじゃない?」
「このくらいの胸の方が男子受けはいいんだから」
俺が渡された女装用の胸はGカップと書かれていた。
実際にGカップの胸をつけてみると思った以上に重いのと下が見えなくて歩きづらい。
大きい胸の人も大変だなと本気で思った
「みっちゃんも胸は大きい人が好きなの?」
さくらさんと話していると愛が話に入ってきた
「特に気にしていないかな」
「よかった。私はそんなに大きくないから」
「愛は今のままで大丈夫です」
人間バランスは大事で、もし愛がGカップやHカップだとしても素敵ではあるかもしれないが、そこまで大きくなくていいと思っている自分がいる。
大きい胸が嫌いなわけではありませんが。。。
「へへへ。よかった」
「とかいいながら本当は大きい胸が好きなくせに」
「さくらさん、その話ぶり返さなくていいから」
「やっぱりそうなの?」
「ほら、愛が不安になるでしょ」
「ごめんごめん」
「みっちゃんの女装可愛い」
「いやいや、愛の男装の似合い方には全然負けているから」
「そんなことはないぞ。松岡くんの女装はいいな」
次は桐生さんが話に入ってきた
「いやいや、愛並みに桐生さんの男装もやばいから」
あの路上ライブ以来、桐生さんはちょくちょく俺たちに話しかけてくれるようになった
「おい、あいつまた桐生さんに話しかけられているぞ」
「S H Kに話しかけられるなんて刺されればいいのに」
愛とさくらさんと話しかけられるのには最近何もいわれなくなったが、桐生さんと話しかけられるとクラスの男子からの殺意のこもった視線を受けることになる。
鏡さんからはジェラシー的な殺意のこもった視線を常に浴びているが
それにしてもS H Kというのは
S 嶋野 H春乃 K桐生 ということだろうか。
なんかグループ名みたいになっているな。
「瑞樹似合っているじゃん」
「いいなお前はコスプレ担当じゃなくて」
「僕は管理という大変な役職を全うしたから本番は楽しませもらうんだ」
「確かに。それは楽しんでくれ」
実際さくらさんや敬都たちは端からみていても大変そうな仕事量だった
衣装班の進行管理や、衣装のチェック。他の細々した仕事まで準備期間はフル稼働で働いていた。
俺たちは出されて指示に沿って作業を進めていただけだから準備期間はそれほど大変ではなかった
さくらさんと森田の実行委員から本番前の話があり、最終準備に取り掛かった。
裏にある鏡に映る自分をみて、普通に可愛いではないかと思っていたのは内緒である。
肩下まである長い茶髪、しっかり化粧された顔、そして大きい胸。
これで街を歩いても恥ずかしくないと思えるぐらいの仕上がりになっていた。
「みっちゃん本当に可愛い」
「愛もかっこいいよ」
「ほら二人ともイチャイチャしないで準備して。お客さん入ってくるよ」
「「はぁい」」




