表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/167

47話

「文化祭楽しみ?」


「文化祭自体は楽しみではないけど、愛と一緒に回れるのは楽しみかな」


「私も今まで文化祭みたいな学校行事に対してなんともおもっていなかったけど、球技大会も職場体験もみっちゃんと付き合ってからは全部楽しみなんだ。だから次の文化祭も今までよりは楽しみ」


「そっか。それならよかった」


「さくらが中村を指名したのは意外だったな」


それは俺も思った。

おそらくもっと適任だった人はいたと思う。

俺も敬都も文化祭には積極的に参加するタイプではないし、特に敬都は管理職みたいな役職には向いていないと思った。

でも、指名された敬都はそこまで嫌そうなそぶりを見せずに前向きな表情をしていた。

さすがに無理そうだったらさくらさんに俺から話そうと思ったけど、敬都の顔はやるぞ!!っなっていたから大丈夫かなと思い同じ班にだけ立候補した。


「敬都も変わろうとしていて、その気持ちをさくらさんも察しているから指名したとも考えれるけどね」


「そうなのかな。確かに最近の中村は変わってきているね。特にみっちゃんと一緒に知るときは楽しそう」


「俺も敬都とは相性がいいのか居心地がいいんだよね」


「ぶーーー。みっちゃんと相性がいいのは私なんだから」


愛の甘えモードにも最近慣れてきた。

それでもふいにこられるとキモイ顔になりそうでひやひやしている


「愛とは一番相性がいいんだよ」


「へへへ。みっちゃん好き~」


「やっぱり駅は人が多いな」


「手繋ごう」


「いいよ」


今俺たちは駅前のショッピングモールで夜ご飯を食べた帰りだ。

駅前を歩いていると綺麗な歌声が聞こえてきた


「この人の歌いいね」


「上手だね」


駅前で路上ライブをしている人は結構いる。

しかしここまではっきりと上手だなと思える人はあまりいない。

別に俺は歌に詳しいわけではないし、単純に自分の好みって話だ


「いってみようか」


「うん」


俺たちは歌声の聞こえるほうに足を運んだ。

既に歌い手の方の周りには人が集まっており、この場の雰囲気だけでも歌い手さんの人気度がわかる

今はいきものがかりの「コイスルオトメ」を歌っている


「私の好きな歌だ」


愛は自分の好きな歌が歌われていることが嬉しいのか表情が明るくなっている


「俺もこの歌好きだな。でも結構昔の歌だよね」


「歌番組の特集で昔のやつが流れていてそれで知った感じかな」


「わかる。昔の歌ってめちゃくちゃいいよね」


愛と話しているうちに歌い手さんの歌が終わった

すると歌い手さんは話し出した


「こんなにたくさんの方に聞いてもらえてうれしいです。ありがとうございます」


歌い手さんの話を聞いているとなぜだか目が合ったような気がした。

最初は気のせいかなと思ったけど、歌い手さんの視線は俺と愛の方に向いている

やっぱり愛が可愛くて見惚れているって感じかな


「じゃぁ次でラストの曲にしようと思います。なんかリクエストがあればできる範囲だったら頑張ります。何かありますか?」


歌い手さんが呼びかけると観客の数人が希望の曲をリクエストする


「そこのカップルの二人は何かリクエストありませんか?」


「俺たち?」


「はい」


「えっと・・急に言われても思いつかないな」


しかし歌い手さんは俺たちは逃がす気はないらしく


「それなら好きな歌手はいますか?」


「SUPERBEAVERが好きです」


「私も好きです。それならSUPER BEAVERさんの曲をカバーさせてもらいますね」


そういって歌い手さんは携帯で譜面を検索して曲を弾きだした

「ひとりでいきていたならば」という曲だ。

この曲は俺もSUPER BEAVERの曲の中でもTOP5に入る曲だ。

しかし、歌うのはめちゃくちゃ難しそうな印象があるが大丈夫だろうか

歌い手さんが歌いだすとそんな心配はすっかりなくなり俺は聞き入っていた

気づけば曲は終わっていた


「みっちゃん?」


「どうした?」


「涙出ているよ」


「えっ」


愛に指摘されて初めて自分が泣いていることに気づいた


「わぁ!なんだこれ」


無我夢中で歌を聞いていて、終わって涙が溢れるって漫画みたいな現象が起きている


「泣いてくれている人もいて、今日ライブやってよかったです。また機会があればやりたいと思っているので、またよろしくお願いします。今日はありがとうございました」


歌い手さんがお礼を言うと拍手が起こった

俺はさっきの歌の余韻が抜けなくて頭がぼーっとしてい


「みっちゃん」


「みっちゃん!!」


「あっごめん」


「大丈夫?」


「うん。なんか余韻が抜けなくて」


「すごくよかったよね」


「心に刺さる歌声だったな」


「今度みっちゃんが好きなアーティストのアルバム貸して。私も聴いてみる」


「いいよいいよ」


「やったぁ」


「じゃぁ帰ろうか」


「うん」


俺たちが帰ろうとして振り返ると、そこには歌い手さんが立っていた


「2人とも楽しんでもらえたかな?」


「はい。すごくよかったです」


「みっちゃん泣いていたしね」


「よかったよかった」


「これからも頑張ってください。では」


歌い手さんに挨拶して帰ろうとしたとき


「松岡くん、嶋野さん少しお話ししない?」


「「えっ」」


急に名前を呼ばれて振り返った


「なんで俺たちの名前を」


「やっぱり。全然気づいてないな」


そういって歌い手さんは帽子と眼鏡をとった


「桐生さん?」


「正解」


歌い手さんの正体はクラスの学級委員長の桐生天音さんだった

桐生さんはクラスではNO3と呼ばれており、愛とさくらさんに続く美人で有名。

しかも愛にはない接しやすさがあり男子からも女子かも人気が高い。

成績はかなり優秀で高校を卒業した後は有名な大学に進むんではないかという噂を聞いたことがある


「なんで桐生さんが路上ライブ?」


「私は元々ギターを弾くのが趣味でたまに家を抜け出して路上ライブをしているんだよ」


学校でのイメージと今の桐生さんのイメージが違いすぎて正直まだ戸惑っている


「それにしても、嶋野さんは学校の外ではそんな可愛い感じになるんだね」


「私の素はこっちだよ」


「いいと思う。私も今の嶋野さんが好き。それに嶋野さんと私はなんか似ている気がする」


「似ている?」


「それはまた今度で。流石に家に帰らないと怒られそう」


「そうだな。今日はとりあえず俺たちも帰ろう」


「わかった」


「あっそうだ。二人とライン交換したい」


「いいけど」


「私もいいよ」


「やったぁ」


俺たちは桐生さんとラインを交換した


「文化祭で他のクラスの子たちとバンド組んででるからまたきてね」


桐生さんは最後までテンション高めで帰っていった


「桐生さんは学校の外ではあんな感じなんだ」


「私もあんな感じに見えるのかな」


「いや、愛の場合はもっとポンコツにみえるかな」


「みっちゃん?」


「ごめんなさい」


「ぎゅーして」


「はいはい」


「ちゅーして」


「それは今はダメ」


「ぶーーー」


「なら腕にしがみつく」


「それはいいよ」


「へへへ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ