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23話

「母さん、俺サッカーは中学で辞めるよ」


「そう」


母さんは一言だけ返事して、そのあとは何もきいてこなかった。

その時の母さんの気持ちは呆れだったのか悲しいだったのかはわからない。

ただ母さんのあの時の顔は悲しそうに見えた。


「夢か・・・」


また昔の夢をみてしまった。

最近はよく自分がサッカーしてたあの時の夢をよくみる

それもそうだ、久しぶりにサッカーをして。。。

あれ、サッカーをしていて俺どうなったんだっけ。


「みっちゃん!!」


「愛?」


愛が突然俺の胸に飛び込んできた。

俺はどうゆう状況なのか全くわからなかったが、愛は泣いていたからとりあえず抱きしめた


「えっと。俺はどうなったの?ここ保健室だよね」


「覚えていないの?」


「そのようです。。。」


「みっちゃんはあのクソ男に横から飛ばされて頭を打って気を失っていたんだよ」


「確かに。横からかなりの衝撃を受けて飛んで行ったところまでは覚えているような覚えていないような」


記憶が曖昧なのは脳震盪を起こしたからだろう。前もこんなことがあったからなんとなくわかる。

しかも飛ばされた衝撃で倒れ側の身体は傷と砂だらけになっている。


「それよりも俺が気を失ったどうなった?」


「それよりもじゃないよ!!心配したんだから。」


「ごめんなさい」


「みっちゃんが倒れた後、サッカー部の主将が間に入って相手のクラスは失格になって私たちのクラスの勝ちになったよ」


「失格って。。。そんなルールあるんだ」


通常のサッカーだったら故意なファールはイエローカード、レッドカードが出たりするが、球技大会だからこその失格ということかな

それにしても、相手から飛ばされて脳震盪で退場ってどんだけださいんだよ俺。

愛と「区切り」みたいなかっこつけたこといってこの体たらくはあまりにも残念すぎる


「っく。。。」


「どうしたのみっちゃん。どこか痛いの?」


「いや、自分が情けなすぎて泣けてきて」


今は心の底からの本心である。

区切りをつけたかったのもあるけど、それ以上に愛にいいところを見せたいとも思っていた。

だからこそこの結果はダサすぎる。


「みっちゃんかっこよかったよ」


「いやいや、脳震盪で退場はかっこよくないでしょ」


「そんなことない。中村がやられたときにみっちゃんが本気になったのは私にもわかった。本気になったみっちゃんは本当にかっこよかったんだよ。私がいうからそうなの」


「そんないわれてもなぁ」


「頑固だな」


そういって愛は俺を抱きしめてくれた


「愛さん?」


「いいから」


「うん」


「あの時私は区切りっていったけど、今日のみっちゃんをみていたら区切りをつけなくてもいいんじゃないかと思うの」


「どうして?」


「もちろん過去は変えられないよ。でもその過去も一緒に未来にもっていこうよ。区切りをつけたらそこで終わる可能性もあるでしょう。なら区切りをつけずに続けていくのもありなのかもしれないよ。サッカーは部活じゃなくても続けることはできる。私調べたんだけどフットサルとか社会人のサッカーとか部活以外でも活動しているところはたくさんあるみたいだから続けることはできるんだよ」


「それはそうかもしれないけど」


「前に芸人さんの本を読んだことがあるんだけど、あの本の中に「辛」って漢字に1本足すと「幸」になるって書いていたの。みっちゃんの過去が「辛」があるなら、私がその1本になってあげる。そしてみっちゃんのことを私が幸せにしてあげる。だから大丈夫。過去を怖がらないで。私が傍で応援しているから」


「いいのかな。本当は本気でサッカーをやめたいと思っていたわけじゃないんだ。でもサッカーをしていると、どうしてもあの時の辛い気持ちが頭に浮かんできて、その辛いから逃げたくなるんだ」


「いんだよ。私はみっちゃんの逃げ道になるから」


「彼氏が逃げてくるなんて愛は嫌だろ」


「みっちゃんだったら大丈夫。むしろみっちゃんだからいいんだよ。みっちゃんは私の表と裏を両方受け入れてくれる。なら私もみっちゃんの弱いところも受け入れるよ」


「そっかぁ」


サッカーをこれからも続ける。できるだけ考えないようにしていた。

でも本当はどこかで諦めがついていないところもあった。

そして今回改めてサッカーをしてみて、やっぱり楽しいと思っていた自分がいた。

不安がないわけじゃない。自分がどれだけ悔やんでもあの時の出来事がなくなることはないから。

なら向き合っていこう、後悔と一緒に。


「頑張れそう?」


「頑張るよ!!」


「よかった」


「ありがとうね本当に」


「いつものみっちゃんに戻った」


「うん。愛のおかげだね」


「じゃぁぎゅーとちゅーして」


「はいはい」


いつもの愛に戻ったところで保健室の扉が開いた

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