表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/169

168話

真紀は自分が変われていることをわかっていない

だいたいの話は先生から聞いているから私も知っている

馬鹿らしいと思った

恋愛的なトラブルで人をいじめるなんて私からしたら考えられない


被害者にしかわからない気持ちはある

きっと真紀の中では何かがトラウマになって今も心の中で壁を作っているのかもしれない

でも、真紀はこんな私と友達になってくれた女の子

普段口には出さないけど真紀には感謝の気持ちでいっぱいだった

独りでいいと思っていた私に誰かと一緒にいる喜びとの楽しさを教えてくれた


私も学校では事実ではない噂を流されていることは知っている

正直どうでもいいと思った。

あんなことがあったからか、今は引き取ってくれたおじさんとおばさんに恥じない生き方をしていれば、他はどうでもいいと思っていたから

だから私に近づいてくる子なんて誰もいなかった

卒業まで何もなく終わると思っていたら真紀が保健室にきてくれた

最初は特に干渉するつもりはなかったけど、ギターに興味を持ってくれて、音さんの路上ライブに連れて行ってくれた。

まさか真紀のお兄さんが音さんと知り合いなんて私の想像の斜め上すぎた

路上ライブは最高だったし、いつライブをするか神出鬼没な音さんのライブをまたみることができたのは真紀のおかげでしかなかった

そうやって少しずつ私と真紀は会話が増えていき、自分の過去を初めて同年代の子に話した

こんな重い話、誰がきいても引いてしまったり困った顔をしてしまうと思ったけど、ライブで高揚していたのか真紀に話したくなっていた。


真紀はそんな話を真剣に聞いてくれた。

あの瞬間、私は真紀に一歩近づいたんだと思う。

そして私と真紀はお兄さんの高校のオープンキャンパスにいくことにした。

正直高校なんてどこでもいいと思っていたし、高卒の資格さえあればどうでもよかった。

高校の三年間よりも早く働いて少しでも早く恩返しをしたいと思っていたから。

でも私が高校のオープンキャンパスに行くと2人に伝えるとすごく喜んでくれた。

いつか二人に真紀を紹介したいと思った。

私たちは家族だけど本当の親子ではない。

しかもあんなことがあって急に一緒に住むことになったから、お互い深く干渉しないようにしていたんだと思う。

だから私からお願いをすることも少なかった。


高校のオープンキャンパスは私が思っていた以上に盛大で楽しかった。

真紀のお兄さんの周りの人は本当にスペックが高くて

あれで自分は陰キャとかいっていたら、いつか刺されるんではないかと思うぐらい陽キャにしかみえなかった。

でもお兄さんの周りにあんな素敵な人たちが集まるのかはわかる。

真紀も自己評価は低めだけど、お兄さんはそれ以上に自分の自己評価が低い。

あの人は私から見てもすごく素敵な人だと思う。

妹想いで見ず知らずの私にも気をかけてくれて。

彼女の愛さんに対してもすごく優しくて。

愛さんがあんなにベタ惚れになるのもなんとなくわかる気がする。

まぁ、それでもあそこまではならない気がするけど...


案内してくれたさくらさんと冬さんも素敵な人だった

愛さんに引けをとらないポテンシャルのさくらさんと自分の好きを前面に出している冬さん。

2人とも美人すぎて、冬さんに関しては女の私が完全に敗北していたよ。

中学生の男子はさくらさんと冬さんばかりみていたから。


そして一番の衝撃がfreedomのボーカルが音さんだったこと

SNSでfreedomが話題になっていたのは私も知っていた。

まさか解散するとは思っていなかったし、その覆面ボーカルが音さんだったなんて運命だなと思った。

音さんのヒーローを聴いたときに、私の頭の中では真紀や音さんやおじさんたちのことが頭の中に浮かんだ。

きっとみんなが私を闇の中から引っ張り出してくれたヒーローみたいな存在なんだ。

この学校にきて私の胸はずっと高ぶっていた

初めて入る校舎、初めて出会う人たち。そして一緒にいる友達。

音さんのライブが終わった後に真紀にこの学校を受験しようと伝えた

真紀はどんなリアクションをするのかなと思ったけど、やはり少し立ち止まってしまう。

でも私は知っていた。真紀がもう前に進んでいることを。

だから私は真紀の背中を少しだけ推してあげた。

すると真紀も同じ学校を受験するといってくれた


その日の夜おじさんとおばさんに今日のことを伝えて、受験してみたいと伝えると

おじさんは優しく微笑んでくれておばさんは涙を流した

大袈裟だよと私は笑いながら少し涙が流れた。

そんな私をおばさんは優しく抱きしめてくれた


「雫ちゃんのやりたいことを私たちは応援するから」


「ありがとう」


私もおばさんを強く抱きしめた。

何が正解なのかはわからないけど、この日私たちは家族になれたのかもしれない

過去はどうやったって変えることはできない

あの頃のお母さんとお父さん一緒に暮らしていたころに戻ることは二度とないだろう

なくていいと思っている。

私には素敵な家族がいるから。

友達もできた。先輩たちも素敵だった。

もう立ち止まる理由はない。受験に向けて勉強する決意をした


次の日、真紀と雫は先生から合格ラインギリギリだと伝えられた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ