164話
「私オープンキャンパスって初めてくるんですが、どこの高校もこんな感じなんですか?」
「すごく豪華だよね」
私と雫ちゃんはさくらさんと冬さんに案内されて出店がでているところに向かった
よくドラマや映画でてくるような高校の文化祭並みに出店が並んでいた
「うちの高校は偏差値は高いけど自由度は高いのが特徴かな。この出店も部活やサークル活動の一環で売上は活動費に回していいということだからやっているらしいよ。まぁ大学の文化祭ほどの人はこないからほとんど先生や中学生の保護者さんや在校生同士で買っているちょっとしたイベントみたいなものだよ。まぁほとんどは先生たちがたかられている感じかもしれないけど」
さくらさんがそういっている先にはさっきの先生が生徒にまさにたかられていた
「先生、フランクフルト5本は食べるでしょ」
「5本?お前さっき俺は焼き鳥を10本買わされたんだぞ」
「いいじゃん。先生独身なんだし、夜ご飯作ってくれる人いないでしょ。焼き鳥とフランクフルトってまさに酒のつまみでしょ」
「くっ。お前いいところついてくるな。わかったよ5本くれ」
「他の先生もだいたいあんな感じだよ」
「楽しい高校だよね」
さくらさんの話に冬さんも続く
「黒崎さんはまだ高校決まっていないんだっけ?」
「はい。特にいきたいところがあるわけでもないのです。でも、今日きて楽しそうだなとは思っています」
「私も雫ちゃんと同じ意見です」
「そっかぁ。それならよかった。まだ終わっていないから最後まで楽しんでね」
「「はい」」
どこで何を買おうかなと悩んでいると、少し先に中学生たちがみんなみている集団があった
なんか嫌な予感が...
「みっちゃん、あーんしてあげる」
「いや、恥ずかしいから」
「ダメ?」
「ダメじゃないけど恥ずかしいよ」
「ダメ?」
「わかったから。そんな甘え顔しないで」
そういって彼女のあーんをまんざらでもない顔で受け入れる彼氏
そう。うちの実兄と将来の義姉だった
「まったくあの二人は」
さくらさんが二人の方に向かう
「みんながみているところで何しているのかな?」
美味しそうに食べている兄の顔が恐怖の顔に変わる
「あっさくらさん...愛がどうしてもっていうから」
「時と場所を考えることができないおバカちゃんになったのかな?それにそこの二人は何しているのかな?」
矛先は後ろにいる敬都と鏡さんに
「いや、僕ごときでは嶋野さんの暴走は止めれません」
「愛様のあーんさせている顔が尊すぎて」
「あっこいつらダメだ。やっぱり桐生さんにみてもらわないとダメだった。冬くんこの二人どうにかして」
さくらさんが冬さんに助けを求める
「ほら二人とも恥ずかしいからやめよ。松岡くんも嶋野さんも僕が間に入って歩こう」
そういって冬さんが二人の間に入る
愛ちゃんと冬さんの顔面偏差値が高すぎてお兄ちゃんがすごく薄く見える
周りの中学生は冬さんが愛ちゃんの隣に立つことで盛り上がる
さくらさんがいっていた目立っているはこうゆうことなんだろう
「なんで愛ちゃんは存在だけで目立つのかな」
「みっちゃんへの愛が溢れすぎているからじゃないかな」
「うん。少し黙れ」
「さくらが最近ひどい」
「私の苦労を考えてほしい。あっつごめんね二人とも。何食べようか?瑞樹が全部奢るから」
「どうしてそうなる?」
「2人をこんなに目立たせてしまった罰でしょ」
お兄ちゃんが周りを見渡して自分たちの目立ち具合を再認識する
「はい。奢らせてもらいます」
「よろしい」
「一旦愛ちゃんはこっちで引き取ります」
「えっみっちゃんと離れるの嫌だ」
「こっちにこい」
強引に手をひっぱられて愛ちゃんはつれていかれた
それにしてもどれだけお兄ちゃんのこと好きなんあの人
「真紀のお兄さんの彼女のインパクト強すぎん?」
「間違いない」
「ごめんごめん。さぁ何を食べる?」
お兄ちゃんの奢りで焼き鳥、焼きそば、フランクフルトの定番を買ってベンチに座って昼食をとる
あとからクレープも食べたいと思うから余裕があれば食べに行こう
「お兄ちゃん達目立ちすぎ」
「俺も目立ちたいわけじゃないんだけど、愛の存在が目立っているんだよね。俺は陰キャラなのに」
「お兄さんが陰キャラって冗談でしょ。どこからどうみても陽キャ集団の中心でしょ」
「黒崎さん。きっと俺も客観的に自分のことをみたらそうなるのかもしれない。でも本来俺と敬都は教室の端で2人でアニメやゲームの話で盛り上げるようなキャラなんだよ」
「そうなの?」
雫ちゃんが私に確認する
「本当だよ。お兄ちゃんは基本陽キャではないかな。まぁ今の状況観ても信じれないと思うんだけど」
「愛は俺のことを過大評価しているけど、実際にすごいのは愛の方で」
「確かに彼女さんのキャラはすごい」
「すごいでしょ。黒崎さん、人との出会いは人を変えるんだよ。ということを俺は証明しているんだと思う。改めてだけど真紀と仲良くしてくれてありがとう」
お兄ちゃんは雫ちゃんに頭を下げる
「やめてください。私が真紀と仲良くしたくてしているだけですから」
「それでもだよ。真紀は家で黒崎さんのことを話すとき楽しそうなんだよ」
「お兄ちゃん???」
「へぇ。真紀は家で私のことを話すとき楽しそうなんだ」
「ち、違うから。お兄ちゃん余計なこと言わないで」
「まぁいいじゃないか。話で聞くよりも黒崎さんのノリもいいみたいだし」
「私は結構適当ですからね」
「適当なぐらいが付き合いやすいこともあるさ」
「彼女さんがお兄さんを好きな理由がなんとなくわかります」
「雫ちゃん??!!」
「惚れたとかじゃなくてなんか落ち着くんだろうね。お祖母ちゃんの家みたいな感じ」
「えっそれ褒めているの?」
「褒めていますよ」
「なんの話しているの?」
急に後ろから聞き覚えのある声が聞こえる
「愛ちゃん?さくらさんに連れていかれたんじゃ」
「逃げてきたよ」
「ごめんお兄さん。やっぱ飼い主みたいな存在かも」
「だからそれ褒めているの?」
「はははははは」
雫ちゃんが爆笑していた
私もそれをみて今日来てよかったと改めて思ったのだった




