162話
「こんにちは黒崎さん」
「こんにちは」
オープンキャンパス当日俺たちは真紀と黒崎さんと合流して学校までいくことになった
学校の案内などはさくらさんと冬くんが全面的にするとうことになったので
俺と愛は付き添いという形で高校生になって初のオープンキャンパスにいくことになった。
入学して何回も開催されていたのだろうが、一度も参加したことがないからちょっと新鮮な気持ちになっていた。
学校につくと中学生の子たちがたくさん見学に来ていて在校生はその子たちの案内に忙しそうだった。
嶋野愛はやはりここでもポテンシャルを十分に発揮していた。
学校につくと中学生の視線は愛の方に集まっていた
「あの人可愛くない?」
「えっやばい」
「あんな男が彼氏なら俺でもワンちゃん...」
「あんな可愛い子がいる学校ならここで決まりでしょ」
中学生は気を使うことを知らないのか声のボリュームがでかい。
特に一人俺の方みて「あんな男」っていったやつがいたな。
俺はいいんだよ。
だって俺も君と同じことを考えているから。
こんな男が嶋野愛の彼氏なんて客観的にみたら同じことを思うだろう
でもそれは隣の彼女には通用しないんだよ
「いまなっていった?」
隣にいる愛が案の定キレかけている
彼氏のために怒ってくれるのは嬉しいのだが、もう少し相手を選んでほしい
「愛落ち着いて」
「みちゃん。私は落ち着いている。落ち着いてあそこにいるクソガキを潰してくる」
時々愛の口から出てくる「潰す」はこっちの背筋が伸びる
愛が男子中学生のところに向かおうとしていると
「はいはい。愛ちゃん落ち着く。真紀ちゃんと黒崎さんがみているからね」
「さくら」
「僕もいます」
「よかった。愛が中学生相手に暴力沙汰を起こすところだった」
「瑞樹が愛ちゃんを自由にさせすぎているだけだからね。ちゃんと首輪は繋いでおかないと」
「私いつの間に犬になったの?」
「えっ違うの?ワンちゃん可愛いからいいじゃん」
「最近さくらの私に対する態度が優しくないと思う」
「愛ちゃんは周りがみんな甘やかしてしまうから、私だけでも厳しくいかないとね」
「さくらにも優しくしてほしい」
俺たちにとっては平常運転だが真紀と黒崎さんは急な展開で戸惑っているように見えた
「ほら二人とも真紀ちゃんと黒崎さんが困っているよ。そのくらいにして」
流石冬くん。ちなみに今日の冬くんは女装で可愛い
「みっちゃんが冬くんに見惚れている」
そんなことを考えていると愛が隣からジト目でみてくる
「うん。今日の冬くんも可愛いよね」
「ありがとう松岡くん。ごめんね二人とも僕はこんな格好しているけど男なの。びっくりさせてちゃったらごめんね」
「いえ。めちゃくちゃ可愛いと思います」
黒崎さんが前のめりで冬くんに話しかける
「女の人にしか見えませんでした」
真紀も黒崎さんに続く
「ありがとう。真紀ちゃん。今日は二人のことをさくらさんと一緒に案内するからよろしくね」
「「よろしくお願いします」」
「それじゃ二人とも行こうか。瑞樹と愛ちゃんは教室に敬都と鏡さんが待っているから合流して」
「了解。それじゃ二人とも楽しんでね」
俺たちは真紀たちと別れて教室に向かった
教室に入ると敬都と鏡さんが楽しそうに話していた。
あの件以来進展があったのかどうかはわからないが、端からみたら既に付き合っているカップルにしか見えない。
でも敬都にも自分のペースがあると思うから何も言わず見守っている
「2人ともおはよう」
「瑞樹、嶋野さんおはよう。二人のせいで僕と鏡さん休日に学校に呼びだされたんだけど」
さくらさんは敬都になんていったのだろう
「私は休日に愛様に会えるからいいですよ。松岡はどうでもいいけど」
「鏡ちゃんありがとう。よしよし」
「へへへへへへ」
溶けそうなほどデレ顔になっている鏡さんをみるのにも慣れていた
最近鏡さんの態度に愛も応えるようになって二人の距離は縮まって鏡さんは違う方向でヤバい人になっている気がする
「そういえば今日は桐生さんはきているの?」
黒崎さんの一番の目的は桐生さんが。
その桐生さんが学校にきているかどうかは結構重要なことだ
「さくらさんの話だと今日は桐生さん中学生向けにfreedomとしてライブするらしいよ」
いつのメンバーには桐生さんがfreedomのボーカルということは伝えている
「なるほど。それなら黒崎さんも喜んでくれるかな」
「そうだったね。黒崎さんのは桐生さんの路上ライブきいてから音楽始めたっていっていたね。確かにあの歌きいたらはじめたくなるかもね」
「私は一度目の前で弾き語りしてもらったことあるけど涙が出た」
「えっそれずるい。いつ」
「えっと。中村に告白を断られたとき」
「それはごめん」
「へへへ」
何この二人本当に付き合っていないの?
敬都は自分に自信がどうとかいっていたけど、もう昔の弱弱しい敬都はどこにもいないんだから自信持っていいのに
「それで私たちはこれからどうするの?」
愛はそんな二人の空気を読まずに話しかける
敬都と鏡さんも自分たちの空間になりかけていたところを引き戻される
「そうだね。出店も出ているみたいだからブラブラいってみようか」
「いいね。お腹すいた」
「じゃぁいこうか」




